【CD】SNOWKEL SNORKEL / シュノーケル

半年ほど前に偶然「大きな水たまり」のTVスポットを観た時から気になっていた、全員眼鏡の3人組、シュノーケルのデビューアルバム。
懐かしさを感じさせるフォーク調の曲とディスコリズムの絡みが新鮮だった1stシングルの印象から予感していたが、かなり「曲の書ける」バンドである。どの曲もサビがすぐに口ずさめるキャッチーさがあり、新人バンドとしてこのアルバムの完成度はかなり偏差値が高い。
その反面、楽曲重視の無難なアレンジによって、音の強度に物足りなさを感じてしまうのも事実。
バンドサウンドであることの必然さをダイレクトに響かせていない気がしてもったいない。
それでも、ヒップホップを通過した最近の新人バンドにありがちなツギハギだらけの曲とは違い、ギター一本で出だしから最後まで紡ぎ出したような「歌」を丁寧に聞かせているこのアルバムは、さっと聴いてすぐに忘れられてしまうようなことはないだろう。
個人的にはアルバム後半の曲群、特に「レコード」や「REWIND」などの80年代の歌謡曲のようなアレンジの曲が違和感と共に強い印象が残った。
正直言ってダサイのだが、今流行の音から逆行しているかのようなこの路線の拡大が、意外にこのバンドの立ち位置を際立たせていくことになるかもしれないという期待も持てる。
数年か後に振り返った時、「あのデビュー作に実はバンドの魅力がすべて詰まっていた」と思わせるような1枚になるのかもしれない。