「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」

デル・トロといえば役者のベニチオ氏しかしらなかったが、「ヘルボーイ」の監督はギレルモ・デル・トロ氏。
メキシコ出身で、元々は特殊メイク・造形の専門家だった監督らしい。
自分は宇宙とかモンスターとか魔法とかの類いの映画はあんまり好きじゃなくて、原作がアメコミというだけでちょっと敬遠してしまうのだが、「ヘルボーイ」特にこの続編「ゴールデンアーミー」は批評家などからも絶賛されているのを見聞きして気にはなっていた。
ちょうど「ザ・シネマ」で放送されたのでこれを録画して視聴。
これは、最高のファンタジック・アクションムービーだ!
観たら絶対好きにならずにいられない登場人物(怪物?)たち。主人公の赤い悪魔・ヘルボーイはもちろん、パートナーの〈燃える女〉リズ、インテリ半魚人のエイブ、エクトプラズム人間のヨハンなど、キャラクターが奇抜で異形なのにもかかわらず、とても人間くさいのが魅力的。ファッションや小道具、ちょっとした仕草まで、こだわりぬいたディテールの積み重ねが、非現実的なモンスターたちに生き生きとした存在感を吹き込んでいる。
その彼らは超常現象捜査局に所属するエージェントで、人間のために闘ってくれるのだが、モンスターゆえに疎外感を感じていて、その苦悩が切ない。恋をし、悩み、迷い、怒り…人間よりも人間らしく生きている。
レッド、ブルーと呼び合い友情関係にあるヘルボーイとエイブが、ビールでべろべろに酔っぱらいながら、バリー・マニロウの「Can't Smile Without You」を歌うシーンは笑えるし泣ける!
超オタクのギレルモ監督らしくこだわりぬいた絵作りで、なんでもかんでもCGに頼るではなく、アクションシーンは身体を生かした迫力もあり、セットも作りこまれ、計算されぬいた仕掛け満載の舞台をモンスターたちが縦横無尽に暴れ回る。宮崎駿作品にも強く影響を受けているらしく、ファンタジーにあふれる場面では幻想的で美しい映像も見せてくれる。ほんとに最高のエンターテインメント
原作にわりと忠実な映画化「ヘルボーイ」の続編ということだが、「ゴールデンアーミー」は、ほどんどギレルモ監督のオリジナルストーリーといっていいようなものになっているという。この監督の熱意とこだわりを注ぎ込んだことで、第一作をはるかに凌ぐ傑作になっているらしい。これで評価がさらに急上昇した監督には次回作のオファーが順番待ちの状態になっていて、パート3を撮るとしてもかなり先になるという話だ。
個人的には「One Piece」や「ドラゴンボール」の世界観も、この監督なら一級品の映画に仕立てられるんじゃないかという期待まで抱いてしまった。日本の漫画も安易な映画化をせずに、これくらいの創意工夫と努力を注ぎ込めばとびきりの映画になれるのにと残念にも思った。