「ぼくのエリ 200歳の少女」

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

「KICK ASS」のクロエ・グレース・モレッツ主演でハリウッドリメイクされた「モールス」が、この夏日本でも公開された。
その元の作品である「ぼくのエリ 200歳の少女」を観た。
結果的にスウェーデン映画というのを初めて観ることになったのだが、内容についてはほとんど知らずに観たので、先入観や予備知識に邪魔されず、没頭して楽しめた。
スリラー描写も徹底しているし、緊張感もあるのだが、何よりその映像の美しさが印象的で、「ホラー映画」だということをほとんど意識しなかった。深い森や雪景色は美しく、静謐な街並みにデザインの洗練された建物や家具等、そして金髪の美しい少年や黒い瞳の少女たち、彼等の着ている赤や青の服の鮮やかさのコントラスト……。映るものすべてが美しく、北欧らしさを強く感じた。
80年代初頭に設定されているらしく、その当時の雰囲気も重要だと思った。古くからの言い伝えもまだ信憑性を残していただろうし、また現在のようにグローバル化されすぎていない地方都市の閉塞感は、この作品の恐怖の下地になっている。
そういう不穏な空気の中で、孤独を抱える少年が謎の少女に心を寄せていくストーリーは痛ましく切ない。
起こる惨劇は恐ろしいのに、対して少年と少女の想いはますます純化していく。そして彼らは逃げ場のないところへ追い詰められていき、観ていていたたまれなさを感じた。
大感動の一本というわけではないが、心を震わせるいい映画だったと思う。リメイク版もそのうち観てみたい。

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