「菊地成孔と大谷能生の2001〜2012総括」


大谷能生40歳記念7Daysパーティー」と題されたイベントは、荻窪Velvet Sunで、朝昼夜の1日3回公演×7日間という、ちょっとどうかしてるスケジュール(笑)。
全公演の通し券などというのも発売されていて、時間の余裕があったら全部観たいくらいだったが、お盆も通常通り仕事だったのでかなわず。ゲストに菊地先生を迎えてのトークの回、「菊地成孔大谷能生の2001〜2012総括」だけはちょうど休みだったし、なんとか行くことができた。
荻窪にも久しぶりに行ったし、駅からちょっと離れたところが会場で、なんとかギリギリ間に合うぐらいに着いた時には、あまり広くはない店内にお客さんがぎっしり。目の前には浴衣姿の大谷さんと、その横に菊地先生。…おお!JAZZ DOMMUNISTERSじゃん。
いちおう大谷さんと菊地先生がコンビで仕事を始めてからの12年間を振り返って総括するということになっているが、当然話は大幅に脱線したり時折暴走したり…。でもお客さんの方もそれを期待しているところがあり、爆笑に次ぐ爆笑で大いに盛り上がった。
東大での講義を準備している頃の話から精神病理の話になり、結構ギリギリの話なのにそれを笑い飛ばしてしまう痛快さ。大谷さんの揺るがない自信と楽天性は、軽い統合失調症によるものではないかという指摘には、本人も爆笑。そして二人して軽躁なので、行動がどんどんエスカレートしてしまい、シュールレアリスムの領域にまで踏み込んでしまうのだという分析には、笑いながらもなぜか納得した。
さらに大谷さんの根本は「チューリッヒ・ダダ」に近いのだとも…。いよいよ10年遅れで本格的に21世紀に突入し、第二次大戦前の状況に酷似して不穏な空気が漂い始めた現状をふまえ、もし戦争が起きたらどうするか?という問いに対する大谷さんの回答は、あまりにも大胆で、菊地先生も大爆笑。…これぞダダイストたる所以か?
そのあまりに膨大な知識量とあらゆるジャンルからの引用、独自の再解釈による表現から、一般的には難しくてわかりにくいと思われている大谷さんの活動について、菊地先生は「大谷君は高級すぎて、咀嚼するのが大変」なのだと語り、「大谷君を真に理解できているのは世の中に3人…いや2人…、ひょっとしてひとりかもしれない。…そのひとりというのはオレだけどね!」という愛のある言葉も飛び出し、おふたりのファンは嬉しくなる瞬間もあった。
このコンビでの仕事が今後もずっと続けられることを切に願っております。
とにかく内容が濃くて面白過ぎるトーク・イベントだった。大げさかもしれないが、個人的には「今後どう生きて行くか」に対する大きなヒントをもらえたような気すらしている(笑)。


大谷能生のフランス革命

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