朝青龍は好きじゃない、けれど…。

 朝青龍という力士は個人的にどうしても好きになれなかった。傲岸不遜な態度がどうしても感じ悪くて。
 それでも週刊ポスト4/2号に寄せられていた荻原浩氏のエッセイを読んで、自分の中の偏見に気づかされて反省するところがあった。
 ワイドショーとかで、朝青龍についていろいろ論じられているのを聞いたりしていたが、この荻原氏の文章ほど簡潔で的を得ていると感じた意見はなかった。
 氏は、
「品格だのなんだのと、具体的な定義も定かでない価値観をまして外国の人に押しつけるのは、来日して日の浅い人間の箸の使い方に、いきなり怒り出しているような不自然さがある」
と、一連の報道などに対する印象を述べ、
「相撲という日本人がナンバーワンであるべき国技のトップに、外国人が立つのが気に食わない、という屈折した気持ちがなかったか」
と指摘する。これには確かに自分も思い当たるところがあるなあ。
 これを「イチロー首位打者を穫ったのに、我々の国技ベースボールに値するアメリカンスピリッツがない、とかでバッシングされたら腹立つでしょ?」と、うまく例えられていて、すっかり合点がいったのだった。
 日本古来の伝統を外国人力士に理解してもらう努力も必要なのかもしれないが、協会は、実際外国人力士に頼って興行しているのだから、「これはちょっと外国の人には理解されにくいかもしれないなあ」と、譲歩する姿勢も見せないと。やっぱりオープンにするべきところはしないと、あの閉鎖的な体質が様々な問題をより複雑にしているところがあるんだろうと思った。

朝青龍から笑顔が消えた本当の理由

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