テナー、最強。


ストレイテナーの新作「CREATURES」が非常に良くて、こればっかり聴いているこの頃。
アルバムを出す度に進化していく希有なバンド。曲の世界観はより深まり、バンドアンサンブルは強固になり、表現領域をどんどん拡大している。
この新作では、さらなる表現の自由を獲得したようだ。
前半の曲を聴いている間は、前作「Nexus」の延長上にある、ホリエのイマジネーションとエモーションを音像化したような曲を、さらに進化させようとしているんだな、と思っていた。
しかし、後半の5曲が今までのテナーにはなかったタイプの曲が並び、これが非常にいい!
きっかけは8曲目の「DONKEY BOOGIE DODO」だ。ファンキーでブルージーなこの曲は新加入の大山純の持ち込んで来た要素が大きく反映されているのだろう。前作には収めきれずこぼれたのだが、この曲が入るようなバラエティに富んだアルバムを作ろうとした、というようなことをインタビューでも答えていたが、まさにその試みは成功しているだろう。
そこから、フュージョンバンドのようなギターのカッティングで始まり、途中でメランコリック曲調に変化する「クラムボン・インザエアー」があり、60'sポップスのような雰囲気を持つ「Starless Coaster」、ポリスのようなギターのバッキングが印象的だが、歌メロはどこぞのJ-POPのような親しみやすさのある「Diamond Phillips」など、新境地の曲が並ぶ。
もはやどんな曲をやってもテナーのサウンドに落とし込めるという、バンドの自信がうかがえる。
圧巻は最後の「瞬きをしない猫」。この曲は歌詞は風変わりだが、これぞロック!という曲調はテナーのお得意パターンといえる。しかしこれを2分程のコンパクトに凝縮したアレンジにし、アルバムのラストにさらっとかます。「こんな曲はいくらでも作れるよ」と言わんばかりの余裕を感じる。
うーん、すごいバンドになっていくなあ、テナー。ライブが観たいぞ。

CREATURES

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