「愛と幻想のファシズム」再読。

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

いや、もう何度も読み返しているのだが…。
現在のどうにも八方塞がりの政治の状況を考えれば考えるほど、気が滅入ってくる。
危険な考え方なのは承知だが、この小説の狩猟社のような組織による大胆な改革が行われないものかと望んでいる自分がいるのよねえ。
確かに読んでいて痛快だもの。
弱者切り捨てに賛同するつもりはないが、もう少しシンプルな原則に立ち返って、せめて優先順位を決めて問題の解決に対するスピードを上げていくことはできないものだろうか。
それにしてもこの小説が書かれたのってもう四半世紀前になるんだなあ。世界はまだ冷戦構造の状態の時に、資本主義の暴走とグローバル化の波に翻弄されてプライドを保てなくなっている日本人の姿をすでに予言していた村上龍氏の想像力と先を見通す目の確かさには脱帽…を通り越して畏怖すら覚える。
映画化してくれないかなあ。