日本代表、対パラグアイ戦。

素人が勝手なことを言っているというのを百も承知の上で、ベスト16対決のパラグアイ戦の感想を述べさせてもらうと、見所の少ない退屈な試合だった。
もちろん、選手たちの健闘を讃える気持ちはあるが、決勝トーナメントに入ってからの強豪国の戦いぶりと比べると、あまりにもお互い消極的で、世界のトップレベルのプレーを見せようとする気概のなさには失望した。
内容がひどかっただけに、どんな形であれ、勝利という結果が欲しかった。ここを突破すれば、スペインかポルトガルと真剣勝負できるという、もう二度とないかもしれない機会が与えられただけに、そこを経験できなかったことが悔やまれる。たとえ大敗しても、世界のトップとの実力差を痛感することが、今後へ繋がると思っていたからだ。
今回の試合は我慢比べになることは事前に予想されていたので、最悪スコアレスドローでPK勝負になるかもとは思っていた。ただ、PKになれば日本有利だと信じていただけに…残念!
意図して仕掛けた攻撃の数が少なく、中途半端なクリアボールの浮き球の競り合いでの身体を張った潰し合いの場面ばかりが目立ち、ようやく攻撃に転じようとしたときにはパスミスばかりで流れを切ってしまう。この試合展開に関しては、むしろパラグアイチームの方により不満がある。南米のチームらしいラフなプレーも、球際ギリギリのところでなら許されるが、自らの攻撃が行き詰まった時の苦し紛れのファウルのアピールや、ボールと無関係なところで削ろうとするところなど、目に余るものがあった。それに対する主審のジャッジに大しても不満が多い。ゲームをコントロールする役目の一部をレフェリーが担っているとしたら、今回の主審によって台無しにされた場面も多かったように思う。
そういう意味では、日本チームに運がなかったともいえる。
ただ、最後の最後で運を引き寄せるためにも、リスクを取って攻めるべきだったのではないだろうか。もっとやれるはずという期待があったからこそ、こんな形でのワールドカップ終戦というのは納得しかねるなあ。
まあ、当初はここまでやると誰も予想もしていなかったことだし、選手は本当によくやった。ただ、それとは別に、今回の大会を通して、代表チームの組織づくりとそれをサポートする協会の対応、その一連の流れはきちんと検証し、反省点は明確にしてほしい。
「惜しかった」「よく頑張った」で終わらせて、結局協会の問題点をうやむやにして、「次はもっと上を狙えるかも…」という漠然とした期待感だけを引っ張って、また4年後までずるずるいくというのだけは勘弁してほしい。
…だが、シニカルな自分は、きっとこれで結果オーライで、協会幹部は何も責任をとらず、体質は変わることはないだろうと悲観的に予測している。おそらく日本チームの健闘を讃える声で、例えばセルジオ越後氏が、今後の日本サッカー界全体を見通して苦言を呈したとしても、それはかき消されるだろう。
相撲協会にしろ、サッカー協会にしろ、民主党にしろ、抱えている問題は同じだ。
結局、誰も真実を明らかにしようとしないし、誰も責任をとろうとはしていないのだ。

カメルーン戦文春臨時増刊 2010年 6/25号 [雑誌]

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