「サマー・ウォーズ」

サマーウォーズ [DVD]

これは夏の間に観ておくか、と思って細田守監督の劇場用アニメ映画「サマー・ウォーズ」を観てみたが、面白かった。
冒頭にインターネット上の仮想世界「OZ」（「Wiiの間」のすごく進化したやつ？）の案内動画が流れるのだが、それが村上隆的だったのに面食らった（後で、村上隆×ルイ・ヴィトンのコラボ時に製作されたムービーが細田守によるものだったことを知り、納得）。人々はそのヴァーチャル空間の中で自身のアバターを使い、様々なサービスを受けることができる。全世界で数億人がアカウントを持つOZは、日常生活からも切り離せなくなっている、という設定。
一方、主人公の高校生ケンジは、彼がひそかに恋心を抱く夏希先輩に頼まれて、彼女の実家に一緒にいくことになるのだが、その実家がある長野県上田市が作品の舞台となる。
城下町の旧家に親戚一同が集まり、家長である夏希の祖母の90歳の誕生祝いを盛大にやるという。このどこか懐かしい日本の原風景、そこで過ごす夏の日の現実感と、OZの人工的なバーチャル・リアリティがどこでどう繋がってくるのか、やや半信半疑のまま観進めていった。しかし、このふたつの世界観を同時に成立させたところがこの作品のユニークなところ。細部にまでの徹底したこだわりと、それぞれのキャラクターを生き生きと動かす演出で、荒唐無稽な話に観る者を入り込ませる力技には感心した。
人々の交流と周囲の風景、その時の季節感などで演出された叙情性と、対照的に、仮想空間だから思いっきり出来る派手なアクションによる娯楽性を追求し、緩急を見事に使い分けている。ラストに向かって徐々に加速していくのも痛快だった。
アニメには全く詳しくないので、他の作品と比べてこの作品が「アニメとして」どれほど優れているのかはよくわからない。ただ、普通にアクション娯楽映画として楽しめたと思う。


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