「9月4日の夜電波前口上」

「粋な夜電波」での菊地さんのクールな語りを文字起こししたことを、Twitterのdenpa954宛に報告致しましたところ、数多くのリツイートをいただきまして。
調子に乗って第三弾。9/4日放送分の前口上を文字起こししてみました。
博識過ぎてどこから何を引用してくるか予想が付かない、知識の守備範囲がイチロー並に広い菊地氏であるがゆえ、耳覚えのない単語が出てきた時にウィキペディアを当たってみる手間は結構かかっている次第でございます。
人の褌で相撲をとるかのように、菊地氏の魅力ある言葉を利用して自分のブログのアクセス数を稼ごうってな、ケチな了見ではございません。
菊地氏が奏でるサックスの流麗なメロディを真似して吹いてみることは不可能なれど、せめて言葉のグルーヴを掴まえてステップを合わせてみたいと望む、いちファンの所業なのでございます。熱心なるファン並びに関係者の方々にはご容赦いただきたいと…
…おっと、自分の口調まで菊地氏に感化され始めている(笑)。
よろしければ、番組テーマ曲を再生しながら、菊地氏のスイートヴォイスに脳内変換してみて下さい。

あなただけこんばんは。悲しみよ、こんにちは。そして、武器よさらば
虹の向こうは晴れなのかしら、あなたの街のあの辺り。
ゲリラ豪雨に虹は出ず。その名も涙雨と呼ばれた情緒纏綿(てんめん)。
しとしと雨すら失った、未来の東南アジア・ニッポン。
残暑御見舞い申し上げますという時候の挨拶も虚ろに、気候は温暖湿潤気候から熱帯モンスーン気候へ。紀子は少女から女へ。最短のルートは環七から山手通りへ。「BeauTV〜VoCE」は平子理沙氏から道端ジェシカ氏へ。そして、「粋な夜電波」は「ラジオ寄席」へと。
我々の逢瀬も残すところあと四回と相成りました。
「September そして九月は September さよならの国
誰もが大規模な節電も水の買い占めもせずに終わり、奇妙な安心と不安を、
水着に包んだままビーチでがむしゃらにキスをした。
西暦は2011回目、不思議な味わいの夏を送る、9月最初の放送です。
近松門左衛門がタイムスリップしたならば、ケータイ小説にしたに違いない。
あと四回のデートで別れなければならぬ身となった、フリーターの佐吉とキャバクラ穣お佳代の道往き。観覧車デート中に交付された、民主党による「つけ睫毛禁止法」による大暴動を逃れ、舞台は激動のお台場合衆国から激動のアメリカ合衆国へ。
ロング・アイランドに着くやいなや、今度はアメリカ民主党による「ポジティブ・シンキング禁止法」によるニューヨークの大暴動。手に手をとってNASAへ潜入。観覧車からロケットに乗り換え、この星を脱出する。しかして辿り着くは火星ならぬオフブロードウェイ。なんと最後は舞台ミュージカルになるという、「猿の惑星」ばりのどんでん返し。
主題歌「一度目はキス、二度目もキス、三度目はどうしていいかわかんない」が、全米チャートで最高6位までアクションと弱火が灯った模様。
…などと、SFまがいもつれづれなるまま。今夜もお相手を務めさせていただくのは、不肖、私ジャズミュージシャンの菊地成孔でございまして、ただいまお聴きの番組テーマ曲はチャーリー・パーカー・オールスターズによります「Blue Bird」。1947年の録音です。
港区赤坂を照らす月は今宵もLEDかLSDか。ささやかな幸福の象徴・LDKでご覧下さい。まちがっても「L.O.V.E.」ではご覧にならぬよう。「Lunatic, Orgasm, Violence, Energie」の略ですから、あれは大変な危険物であります。
というわけで「菊地成孔の粋な夜電波」、21世紀の21回目は「美男子ジャズ特集」。前回に引き続き今回もまた「オール・ザット・ジャズ」、しかもワタシが丹誠込めてこしらえた盤でございます。
美男子とはなんぞや。韓流とはなんぞや。ジャズとはなんぞや。
虹を失った国の週末、その真夜中あたり。神学の難問にも似たトライアングルに55分間で解を導く、クール&アグレッシブをご堪能あれ。
美男子に付き物のアマレット、そしてビターチョコレートをご用意下さい。それではまいりましょう。

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