「さらば、松本人志」


週末、BSで「松本人志大文化祭」と銘打って8時間くらいのスペシャル番組が放送されていた。
我が家の「スゴ録」のキーワードでの自動録画が対応して、残り少ないHDの容量を圧迫していたわけだが、結局観ず仕舞い。
月1の定期放送化になった、NHKでの松本人志のコント番組「MHK」の初回放送も録画されていたが、「ああ、そういやそういうのやるんだっけ」という感じの、我ながら冷めた対応。
鳴りもの入りで始まった新番組だったにもかかわらず、初回放送の視聴率が2.9%と惨敗で、いよいよダウンタウン凋落ぶりが覆い隠せなくなってきたというネットのニュース記事もあった。
そんなにひどかったのか?と思って、後からその初回放送を観てみたが、確かに、もう笑えない…。
あれほどダウンタウン松本人志信者だった自分にしては意外なほど、ここ数年のダウンタウン離れが加速していたのは確か。それでも次世代を担うお笑い界の新星が現れるわけでもないので、全盛期程の勢いがなくなったとはいえ、まだ「ダウンタウンは面白い」と思えていた。
この人の才能が枯渇する日がくるとも考えられなかったが、残念なのが今の松っちゃんの面白くなさが「周囲にスポイルされた結果」によるところが大きいことだ。
「ああ、もう松っちゃんダメだ…」と思うに至った、自分の中で決定的な要因は、映画「さや侍」の出来の酷さを目の当たりにしたことだったが、映画監督としての彼の力量を疑問視している人が多いなか、「海外で評価が高い」とか、見え見えのエクスキューズによる箔付けを、観客に対してだけでなく、なにより松本人志本人をその気にさせるために、利用しているのはよくないと思う。
自分の力が衰えているのに周囲に褒めそやされ、持ち上げられて、本人だけが気付かない「裸の王様状態」になっていることなど、松っちゃん本人が一番望んでいないのではないか。
ストイックに真剣勝負に挑み続けていた全盛期のような姿勢を維持してくれとは求めない。だが、あの頃に「もし自分が衰えた時の引き際」に対して決意したところがあったなら、そこをなあなあにしたまま消えていって欲しくない。
今でも「まだオレは天才や。オレの笑いがわからんやつはアホや。」と言わんばかりの態度を取り続けることは、松本人志の才能に畏怖し夢を抱いて支えてきたファンに対して、あまりに不誠実なのではないかと思う。