「ロイホのリズム合戦!」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」、第34回放送は「ソウル・バー〈菊〉」の2回目のオープンだったわけですが。今週も最高の選曲と、最狂のWBO話(悪くて、バカで、面白い)をたっぷり聴かせてくれ、最高でした。
中でも番組後半の、菊地さん行きつけのロイヤルホスト東新宿駅前店で、ぶっ込まれたリズム合戦に応酬したという話は爆笑モノでしたので、文字起こししてみました。
TBSラジオ以外のネット局の皆さんで、後半エンジンかかってからのWBO話が生で聴けなくて残念に思っている方も多いでしょうね。(ま、この話はPodcast配信されるとは思いますが)…読んでも面白い菊地さんの話を記録しておくことは、意味あるんじゃないかと思いながら、起こしました。今週の話は擬音とか実際の叩く音も多くて、文字にするの難しかったですけど(笑)。
この話の流れで(?)紹介された…(笑)、ジェラルド・ピーノの曲も最高でした。初めて知りました、ジェラルド・ピーノ。
自分が全く知らなかった音楽をガイドしてくれ、自分が見聞きすることのないWBO話で笑わせてくれ、知的好奇心下世話好奇心を同時に刺激してやまないこの番組。…おそらくギャラクシー賞受賞は時間の問題だと思ってます。

Heavy Heavy Heavy

Heavy Heavy Heavy

こないだですね。久しぶりですね、ロイホの話するのも。ロイホでですね、ワタシ、ぶっ込まれまして…。え〜、ぶっ込みかけられまして。
この番組でほら一応こう…ね、いろんな店でいろんな面白い話を採集してるわけですけども。WBOのチャンピオンを決定すべく、採集してるんですが。ロイホが多いんですね。
で〜、ま、ロイホロイホと、こう…ね、話してるわけですけども。
やがてやはりこう…ラジオでずっとロイホロイホっつってると、そういうことがこう…フィードバックっていうんですかね。あれが…リスナーだったのかどうなのか…、いまだにわかりませんけど。
…だいたい25時半ですね。あと30分で閉店っていう時間に、こう…行ったんですよね。そいで〜、ワタシもうそん時ベロンベロンに酔っぱらってたんで(笑)、あの…3丁目で、比較的早くから飲み始め、1時にほぼ沈没し…、えー、ロイホの、あの…ドリンクバーでティーブレンドしてね、あの…アジアの茶葉だけで6種類くらいあるんで、ティーブレンドして、冷たくしてね、てん盛りの氷にザッと熱いのかけて、これひっかけて帰れば、スッキリするだろうっつんで…、行ったんですよ。
行って…こんななって(笑)。ほとんど45度くらいに傾いじゃって、こう…。そいで椅子に座ってたんですよね。
で、リズムがこう…、有線からは、あの〜…、7丁目のロイホは、あの〜、ジャズなんで。常にこう…ジャズ喫茶さながら、モダンジャズが流れてるんですよ。で…、なのにも関わらず、別のリズムが聴こえ…、パタパタ…聴こえてきて、ふっとこう…振り返ったら、こう…シート…なんつったらいいんですかね…、ソファ越しに、向こう岸…ですよね。だかあワタシとこう背中合わせみたいな形…のところに、えー、青年が居て、こう…リズムをとってるんですね。すごい勢いで…。パタパタッ…パタパタパタパタッ…てとってんですよ。それがこう…エイト・ビートなんですね。ツッツッタッツ、ツッツッタッツ…って。ほいで…こう…見たら、こう…白いイヤホン…垂れてるんで、え〜、アイ…ポッドですか、あれは…、え〜、よく分かりませんけど(笑)。白いこうツルッ…ってんで、こう、一心不乱に叩いてんですよね。ほいで、パタパタパタパタ…叩いてて、「おお〜、なかなかこう…ね、一生懸命な青年だ」って思ってパッと見たら、パタパタパタパタ叩いていながら、こっちチラッと見たんですよ。
…で(笑)、これ酔っぱらってたからだろって言われたらそれっきりなんですけど、…目が合ったんすよね。で…「あ、合った」って思って、まあ、いいじゃないですか。目が合って、でまたパッ目背けたんですよ。で…パタパタパタパタ…ドンッ…って終わって、「ああ…、終わった終わった」っつって、で、こっちはお茶作ってこう…飲んでね、グタ〜っとしてたら、また、…パタパタパタパタパタパタパタパタッ…さらにちょっと激しくなって、パタパタが…。
で、「あれ?また激しくなったよ」って、こう…振り返ったら、もう…、向こうが見てたの、こっちを!(笑)
…ほんで、さっきは偶然合ったんですけど、ちょっと激しくなったから、振り向いたら、もう見てたわけ、向こうが。「アアッ…」って思って…、「ヤバイッ…」。…で、なんかね、目がちょっとね…、なんつったらいいんですかね…、あの…挑みかかるような目…っていうかね(笑)。あの、目なんですよ。
「ヤバイ、これはぶっ込みかけられたかな」って思って。こんな…、なんって言ったらいいんですか…、夜陰に乗じてっていうんですかね、こう…酔ってる隙にね、文字通り後ろからぶっ込みかけられたら、もうヤバイじゃないすか。や…キタ〜と思って、いつもロイホロイホ言ってるから、ひょっとしてこれ待ち伏せられたかな?っていうような、まあ…、酔っぱらい独特の発想ですよね(笑)。…んで、パッと見たんですよ。
で、こう…パタパタパタパタやりながら、こっち…こう、すごい見てんですよ。今度はもう目離さないで、どっちがこう…先に目離すか…、要するにガンタレ競争ですよね。先に目線切った、メンチ切った方が…、要するに切るってのは、先にメンチを切断した方が負けですから、グ〜ッとこう…見ちゃって。向こうもパタパタパタパタッってやりながらこっち見て…。「…こ…エイト・ビートばかやろう!」って思って…。…(笑)その…、ツッツッタッツ、ツッツッッタッツ…ってカチンカチンの8ビートなんすよ。で、膝をこう…叩いてるわけ、こんななって…。「…ヒザ、ばかやろう!」「…これぁ…バカ、エイト・ビート!」って思って。
もう、こっちから目線切って、お茶くいっと飲むわけにいかないじゃないですか英国紳士じゃあるまいし。これはもう…乗るしかないってんで。ま、場合によっては「菊地が逃げた」って言われ…、なんかにこう…つぶやき…ですかぁ?…(笑)やられたらもうヤバイですからね。これは逃げるわけにはいかないんで、もう、猛然と…(笑)。すごい勢いで…「おぅ、青年!」っていう…ヒザ叩いてんじゃない!っていう。あの…、キックは、心臓の上ですから(ドンドンッ)。あの…分かりますか?分かりますよね?…あの、大人の方なら。キックは…キックってあの…ベース・ドラムのことですけどね。キックは、大胸筋の左。これは…(ドンドンドンドン)拾ってますかね。キックは左の胸の上。そいで、スネアは左のみぞおち…ってのが、一番909に似てんですよ。なんだ!、909っって!…109じゃないすよ。(TR-)909はハウスのリズム・ボックスのことなんですけど(笑)。あの…一番、身体でね、…身体からリズムが出ますね、人間。ね?、叩けば出ますよ、叩けばホコリの出る身ですけれども。叩くとリズムが出てくるわけです、ボンボンボンボン…ホコリと共にリズムが出るんですが。キックは(ドンドン)胸の上。これはこう(ドンドン)…マイクで拾うと軽いですけど、自分的にはドスドスっていいますから。ドスドス、パーンっすよね。(ドッ、パーン、ド、パーン)こうでしょ?…膝なんかこう…ペチペチペチペチいっちゃって(笑)、こう…駄目なんですよ。だから(ドン)…こうやってやんだバカヤロウって(笑)。その8ビートのBPMに思いっきりポリリズム、ドッドパ、ドッドッパ、ドッドッパ…(笑)ですね。あのボワ〜ッ…乗せて乗せて…、この…、向こうが伴奏するような格好にね、持ってって。こういう時のタイマンで、引くわけにはいかないすからね。こう、リズムでね。しかもまあ、こっちも歳より若いって言われる方ですけど、どう見ても未成年…なんすよ。だから「青年、これだ、これだ!」っていうね。ボッボパッパッ、ドッドッパッパ、ドッ、ドパパッ…すよね。思いっきりこう…ポリでポリでこう…かぶってかぶって…ブワ〜ッって…。
…ま、この話ね、エキサイティングなわりにオチたいしたことなくて、「怒られた」っていう(笑)…オチなんですけど(笑)…。
怒られちゃったっていうね。「すいません…」っていう。「もう閉める…」、もう…勝手知ったるね、ワタシの顔も知ってんじゃないかと思うんですよ、週に2回以上行ってますからね。「すいません、もう閉店なんですけど…。他にお客様は…あんまり居ないんですけど、すいません」っていう、わかって下さいみたいなウィズダムきたんで、二人揃って、「ハイ、すいませんでした」って言って、止めたっていうね。…結局ね、ドロー。まあ〜、俺が勝ったって言いたいですよ。自分がマイルスだったら「俺の勝ちだ」って言うと思いますよ。「あん時は俺は勝った」ってね。でもまあ、ワタシ、彼ほどエゴがでかい人間じゃないですからね。まあまあ、これはやっぱり最高裁に持ってっても、やっぱりこう…ドロー…とね、いうことだと思いますけどね。
まあそういう…(笑)気分ですね。そういう気分に乗っかった音楽…、1曲いきたいところでですね。
え〜、ここら辺でもうソウル・バーだったら、この状況で、「Movin',Movin',Movin'!」で、JBでしょ、やっぱりね。ジェームズ・ブラウンで、ソウル・パワー、ダーン!ってきて、ソウル・パワー、ソウル・タワー(Nソウルタワー)行かないと。あの…番組があっちゃこっちゃ…ねえ、あの…少女時代特集戻っちゃいますけど。…なんですけど…、ま、ここでカーティスもかけてJBもかけちゃねえ…、ほんとに普通の(笑)三丁目のソウル・バーになっちゃいますんで。
ジェラルド・ピーノいってみましょう。え〜、ジェラルド・ピーノ誰よ?ってね。…方もいらっしゃると思いますが、この方は、あの…60年代のミュージシャンですけども、まあまあ、「オラが国のJB」ですよね。当時もうジェームズ・ブラウンが、え〜、ブラック・ピープルがいる国だったらどこにでも(笑)。もう…ひと駅ごとにジェームズ・ブラウンがいたっていう時代…ですけども。え〜、どこのジェームズ・ブラウンかっていうとですね、これ西アフリカなんですけども。シエラレオネっていうね、まあ、小国…ですよね。え〜、西アフリカのシエラレオネ出身っていうか。ま、この…今日本で聴け…そうだな…どうなんだろう?…聴けるアルバム1枚だけなんですけど、日本語の解説で読める、いわゆる日本盤は、少なくとも絶対1枚だけなんですが。え〜、ジェラルド・ピーノ&ザ・ハートビーツっていう人達です。なにせフェラ・クティがこいつのライブ見て、踊り狂ってフェラ・クティになったっていう…人ですからね。
はい。え〜、ジェラルド・ピーノ…。今、このね…ワタシの…結局ドローに終わったわけですけど。このリズム合戦挑まれて、乗ったっていう気分で、ジェラルド・ピーノそのまま移入して聴いてみて下さい。ジェラルド・ピーノで、「ボーン・トゥ・ビー・フリー」!

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