「ドラゴン・タトゥーの女」


仕事が終わってから、レイトショーで「ドラゴン・タトゥーの女」を観てきた。
スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー「ミレニアム」シリーズの映画化で、ハリウッド・リメイクの第一作…らしいのだが、原作も読んだことがなければ、元のスウェーデン版の映画も観たことがない。
ただなんとなく面白そうだと期待して、内容もよく知らないまま観た。
どうもミステリーらしく、謎を残したままの少女疾走事件の真相を解こうとする雑誌記者・ミカエルが主人公の話らしいが、事件に関わる登場人物の数が多いうえに、スウェーデン人の名前と顔が憶えにくくて、なかなか話の筋が掴めない。
まあ、謎解きの部分で見落としているところが多くあったとしても、気にせずに観てていいのだろう。大事なのは「ドラゴン・タトゥーの女」こと、リスベットに対してキャラ萌えできるかどうかだ。
その点ではやっぱりリスベットは見た目のインパクトも強いし、ミステリアスな魅力があって、強く惹かれた。
しかし、見ていてあまりに痛々しい。壮絶な過去のトラウマを抱えてそうだし、常に誤解を受け、多くの人に傷つけられてきたようだ。そしてこの本編の中でも、弱みにつけ込む弁護士のブタ野郎に性的暴行を受けたりもする。
…レイプシーンって、見せられるともの凄く心がかき乱されて不安定になるから、映画の中で最も見たくないもののひとつなのだが、ここでの暴行の様子は特におぞましくて参った。
前作の「ソーシャル・ネットワーク」があまりギミックに頼らずとも面白いドラマを刺激的な映像で見せる映画として非常に完成度が高かったので、デヴィッド・フィンチャー監督も洗練されて落ち着いてきたのかと安心して油断してたが、甘かった。…そもそも「セブン」の監督なんだということをすっかり忘れておったよ。
その後、リスベットが弁護士に復讐するが、そこも「あんだけ酷いことされたんだから、やっちまえ!」と同情はしたけども、だからといって痛快な気分にはならない。復讐の仕方もえげつないしねえ。
まあ、それだけ心に傷を負っているキャラだからこそ、やがてミカエルと信頼関係を築くことが出来た時のせつなさが増幅されて、グッときてしまうのではあるが。
映画の前半でそれぞれの事情が並行して説明されていくが、なかなかふたりが出会わなくて、結構じらされたが、実はそこが良かったりもする。
バイクをかっ飛ばすところや、異常なまでの集中力で資料に当たり、天才的なハッキングの腕で真相に迫ろうとするリスベットは、やっぱり見ていてカッコいいなと思った。
観客にそう思わせた時点でこの映画は8割方成功といっていいのだろう。3部作全部映画化されるのだろうか。続きが見たいという気にはなるね、確かに。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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