- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/06/25
- メディア: DVD
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彼女は本作「冬の小鳥」でデビューし、一躍、天才子役として名を馳せるようになったそう。…なのでいずれ観たいと思っていたが、ようやくDVDで観賞。
キム・セロン演じるジニが、孤児院に入れられたが、自分が捨てられたということを認める事がどうしてもできず、父親が迎えに来てくれるのを信じて待ち続ける…という話。ひとことでまとめてしまうと、ただそれだけの話で、特に大きな事件が起きたりして、ストーリーに起伏がある内容ではない。
ただそれだけの話だが、子どもが健気すぎる…というだけで涙を誘わずにはいられない。けれど、不幸な少女を見て「まあ、かわいそう…」と同情するだけの、お涙頂戴の作品でもない。
無駄なセリフをほとんど排し、短い一場面の中で見せる役者の表情、人物同士の立ち位置などで、何が起こったかをすぐにわからせ、同時にこの後の展開も予感させる、シンプルだが考え抜かれた演出。
静かなトーンのまま淡々と進むが、細かいエピソードの積み重ねで、どんどん主人公に感情移入できるようになっているので、退屈な感じはまったくしない。
最近のいわゆるジェットコースタームービーといわれるような、めまぐるしく人もカメラも動く場面の連続で、観客を飽きさせないような作りの映画は、そこまでに乗れてればいいが、乗り切れなかった時は、どんなに画面の中で大騒ぎしていても観ている側は逆に退屈するということが起きてしまう。「はいはい、ここハラハラドキドキするとこなのね。もうわかったから、で?」という冷めた感じ。
それに対してこの作品は、音楽で盛り上げることもほとんどなく、見た目には大きな出来事は何も起こっていないのだが、子どもが精神的に追い詰められると何をしでかすかわからないという不安感を持ちながら観ていくと、すごくスリリングな場面にも感じられ、実際にハラハラドキドキする。これは演出も見事だが、やっぱりキム・セロンの演技の凄さによるところが大きい。
最後にわかりやすいハッピーエンドも用意されていない。むしろ、この先この少女はどうなっていくのかと気になるままで唐突に終わる。
だが、少なくともエンドロールが流れる間、観た者はこの少女のこれからの人生がどうか幸せになっていきますようにと願わずにはいられないだろう。
自分はこの作品を観て実際に涙を流したわけではないが、真の「泣ける映画」とはこういう作品なのだという思いを強くした。
…やっぱり、テレビCMで「全米が泣いた…」とか仰々しいナレーションが被さったり、映画館を出てきた観客に「もう、泣きました〜!」とか感想を言わせているような宣伝の仕方をしているような作品は観る気が失せるなあと思ってしまうのだった。
…ちなみにこの「冬の小鳥」の主人公がこの後辿り着いた先で、隣に冴えない質屋のおじさんが住んでいて、実はそのおじさんは闘ったらもの凄い殺戮マシーンでした…という想像をしてしまうのは、やっぱり「アジョシ」のインパクトが強過ぎるからなんだな…。決して「アジョシ」を「冬の小鳥」の続編だと思って観てはいけません(笑)。
アジョシ ウォンビン・エディション(初回生産限定) [DVD]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2012/02/02
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