「モバイルハウスのつくりかた」


坂口恭平氏に興味を惹かれ、もっかちょっとしたマイブームなのだが、ユーロスペースで公開中のドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」も、そのうち観に行きたいと思っていた。
ただ21時からのレイトショーということで、タイミングが合わずなかなか観れずにいて、そしたらTwitterユーロスペースでの公開は今週末までだったということを知る。あわてて観に行くことに。
早く仕事が終わる日に渋谷まで来たはいいが、逆に21時まで時間が空いてしまったので、コーヒーショップに入って「東京0円ハウス0円生活」の文庫本を読んで1時間粘ることにする。
ユーロスペースの会員を更新したので結局必要なかったのだが、坂口氏の著書を持参すると通常料金から400円割引になるという面白いサービスもあると知って、鞄の中に入れておいたのだった。
結果的に、映画を観る前に「東京0円ハウス0円生活」を読んでいて良かった。
ともかくその斬新な新政府活動に興味を惹かれたので「独立国家のつくりかた」をまず読んだのだが、この映画は路上生活者の住まいからヒントを得て、移動できる住居を自作してみようと試みる過程のドキュメントなので、その内容は「東京0円ハウス0円生活」にこそ詳しく書かれていた。
隅田川エジソン」のモデルとなった鈴木さんや、「多摩川ロビンソン・クルーソー」と呼ばれる方も実際に登場し、ホームセンターで買い集めた材料のみで、家を作っていく様子は、秘密基地を作ろうとしていた少年の頃を思い出させて、見ていてワクワクした。
もちろん試行錯誤はあるが、大きな困難にぶつかったり、断念せざるを得ないような状況を跳ね返して…というようなドラマ的な展開はなく、ただ淡々と作業していく様子が映される。坂口氏がトークイベント等で話す時の映像も挿まれるが、熱い語りで啓蒙しようというつもりもあまり感じられず、淡々と自らの経験を語る。メディアで紹介される時の肩書きや紹介から、かなりエキセントリックな人物のように思われがちだが、これを観ていると、0円生活の提唱や新政府活動も、あくまでも自分の生活と地続きに行なっていることがよくわかる。
映画作品としては、リアリティを失わないように、あえて意図的な編集や演出を加えないという手法を選択したのだと思われるが、まあ、ぶっちゃけ…ホームビデオを見せられているようなもので、娯楽的な要素には欠ける。
しかし、もうそのやっていること自体が面白いので、最後まで退屈せずに観れた。(坂口氏に特に興味がない人にはつまらないかも。)
こうなると、坂口氏の著作を原作に、劇映画に仕立て上げたという「MY HOUSE」の方も観てみたくなるが、宇多丸氏の影響で堤幸彦監督にはマイナスの先入観を抱いてしまっているからなあ…。過剰に演出されて、坂口氏の活動が誤解されて伝わるような作品になってないといいけど。

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

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