「『LUPIN the Third -峰不二子という女-』O.S.T.制作秘話。」

今週の「粋な夜電波」第83回は、菊地先生が音楽監督を務められましたTVアニメ「LUPIN the Third -峰不二子という女-」のオリジナル・サウンドトラックのCD発売を記念した特集。発売前にいち早くオンエアされた楽曲を聞いて、アニメの方のDVDも欲しくなりました。
アニメのサントラ制作現場の様子を細かいところまで教えてくれるだけでなく、キラースメルズ・ヒシダさん絡みの爆笑エピソードも飛び出した充実の内容でした。
その制作秘話の一部を文字起こししてみました。

LUPIN the Third 峰不二子という女 オリジナルサウンドトラック

LUPIN the Third 峰不二子という女 オリジナルサウンドトラック

はい。時刻は夜7時をまわりました。あらためまして、こんばんは。ジャズミュージシャンの、そしてですね…
あの…こないだバーでテレビをマスターと一緒に観ておりましたら、アニマル浜口さん一家が家電品を何十万円かでこう…買う…何ていうんですかね?…ま、家電品屋さんのタイアップ番組なんですけど、家電品屋さんで何か買う、と。各々がお好きな物を買うんだと。浜口さんはカラオケセットとかですね、…で、京子ちゃん…娘さんがホームベーカリーが欲しいって言ってですね、ホームベーカリーを選びに行くんですけど、ホームベーカリーいっぱいありまして、「これにする!」って決めたホームベーカリーが、今までのホームベーカリーより優れた機能があります、と。その機能は何かというと、昨日残ったご飯…冷や飯ありますよね、その冷や飯からパンが作れます!っていう機能だったんですよ。そいで三人が非常に喜んでそれを買うんですけど、ワタシ酔っぱらって観てて、「このうちでご飯余るの?」って言ってしまってですね(笑)。そいで脇にいたマスターに「菊地さん、やっぱり口が悪いねえ」って言われて、「いやいや、口は悪くないですよ」っていう、ちょっとした押し問答の末、雰囲気が悪くなってしまった、菊地成孔です(笑)。

今週は「LUPIN the Third -峰不二子という女-」サントラ特集。私が手がけました発売前のサウンドトラックをいち早くオンエアしております。

まあ、本日、販促…何つったらいいんでしょうね、あられもないね、いい大人がはしたないこと極まりないんですけど、自分が作った盤の、自分が作ったっていうかね、自分が音楽監督をやった盤の販促ということで、しかも番組最後の30分は、販促が販促を呼ぶかたちでですね(笑)、来週やるワタシが新宿PIT INNでやるパーティーの告知…ていうか、ここに出演する人がドドドドッて大挙してやってくるっていうですね。

…まあ今日はとにかく盤がトラックが43あるんですよね(笑)。O.S.T.ってのは何でもそうなんですけど、短いんですよ一曲一曲が。で、「粋な夜電波」ファンの皆様におかれましては、いくらスピンオフの外伝ものだとはいえですね、あの「ルパン!」っていうセリフをヒシダさんが歌ってるんだっていう(笑)。ヒシダさんがシャウトしまくってますから、ルパンね。例えばですね…

これかな?…あ、これこれ…ヤバイですよ、これ。
(曲)
…ま、こんなの使われるわけねえよと思って(笑)。
試しに、ヒシダさん、スタジオにいらしてたんで、「ヒシダさん、これルパンだから…」この演奏…先に演奏録っちゃって、「演奏に合わして、『ルパン!ルパン!』って言ってもらえますか?」っつったら、「ああ、いいすよ!」っつって。はい!っつったら、ものすごいテンションで「ルパン!…」(笑)…色々余計なことも言っちゃって、こっちでカットしたりして、「それ言っちゃダメ!」みたいなことまで言い出しちゃったりして、ノリにノっちゃってね。
こんなのもありますし、あと…そうですね。
これね…ほんとに仕方なくですけど、ワタシが歌ってるバージョンが採用になったんですけど、ほんとはヒシダさんに歌わせる予定だったっていう曲があって。そいでヒシダさんに歌ってもらったんですけど、ボツになっちゃって(笑)。…これホント笑ったんですけど、ヒシダ・バージョンをねえ…O.S.T.に入れてえなと思ったんですけど、それを入れる権利とかもないんですよ、ワタシには。
これは元々ヒシダさんのために作ったんですよね。で、ボツになって、ガイドでヒシダさんに聞かせるために…歌ってガイドが要るじゃないですか、で、ガイドのためにワタシが歌ったのが、そのままオンエアになっちゃって、しかもO.S.T.に入っちゃったっていうんですけど。こういう…
(曲)
いかにね、ヒシダさんのために作ったメロディかってのは、聞いてわかると思うんですけど。

はい…これはぜひヒシダさんに!と思って。で、夕焼けのシーンとか多分あるだろうから…。あるだろうから…っていうのは、さっき言った通り、全然観ないで作るんですよね。なんで、勝手に想像して、多分峰不二子がバイクとか乗って、バーンって走って、シリーズ1っていうの?…こう…「あっし〜もっとに〜」みたいなのあるじゃないですか。あれみたいな感じでヒシダさんが歌ったらいいなと思って(笑)、作って「これはヒシダさんだよ!」っつって、…まかりまちがってこれが国民的コンテンツ…ま、最初から深夜枠だとか聞いてたんで、外伝でスピンオフってのはわかってたんですけど、人気出たりしたら…後世に与える…ね?…影響が…ヒシダさんの「ダヴァダ〜ッ」っていう(笑)…あのダミ声で、ヒシダさんがノリノリで「ウ〜ウ〜ウ〜、ダヴァダ〜ッ」って、左とん平の「ヘイ・ユウ・ブルース」みたいになっちゃって(笑)。どうしようかな、これ?…って思ってたら、案の定カットになっちゃったんですよね。
…あ、そうそうそう。今あの…サブからね、チャーリー・コーセーになり損ねた!」っていうね、あの…何って言うんですか?…「ギャグの道標」みたいなのが飛んできましたけもどね(笑)。…ま、チャーリー・コーセーさんですよね、元のね、「あっし〜もっとに〜」ってのね。…チャーリー・コーセー、菊地セーコーとか、まあ、ずいぶんからかわれたもんですけども。

…まあまあ…そんなんですよね。だから、どうやって作るかっていうと、オーダー表ってのがあって…オーダー表ってのは、最初に必要だと思われる表が…「コミカル1、コミカル2・3…、シリアス1・2・3・4…、ブルージー1・2・3・4…、バトル1・2・3・4…」とかっていうような、大雑把な紙が来て、それしかないの資料が(笑)。それを観ながら、…それ観て「こんな感じかな?」って入れていくんで。
で、上がった時にはこうやってカッコいいタイトルみたいなのを付けてくださんで、なんかこう…丁寧に作曲したみたいな感じですけど、もう仕事は大変でね、100…何トラック入れたかな? さっきのクソダヌキの高見Pってのに聞けば、すぐ分かるんですけど。128…とか130とかのトラック納品した思うんですよ。
130トラックって…いかに1トラックが短いとはいえ大変ですよね。とにかくバンバンバンバン入れて、これでも足りないとか言われてきたりして。で、しかもね、使われるの半分くらいで、…O.S.T.に入ってるのも43ですからね。
だから…なんていうんでしょう…途中から、「これは使われるだろうな、使われないだろうな」とかって、さっきのヒシダさんじゃないですけど、もう思いが入っちゃって「これは使われないと嫌だよ」と思ったりしたりするじゃないですか、例えば。逆にそれが落ちたりすると、こう…辛いものがあるって話を聞いてたんで、ま、何にも考えず、「どれが使われようが、どれが使われまいが、どこを切ってもいいよ」みたいな感じで、どんどんどんどん納品していくんですね。…ま、そういうやり方で作ったんですけど。

LUPIN the Third 峰不二子という女 BD-BOX [Blu-ray]

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