「メソッド初等科、終了。」

いちラジオリスナーのミーハー意識から、菊地成孔先生が教鞭を執る映画美学校の音楽美学講座・メソッド初等科の教室に足を踏み入れたのが1年前。
とうとう最終日を迎えることになった。
ほんとなら先月には全予定を消化しているはずなのだが、幸か不幸か先生多忙(と病気)のために、数度の休講と補講のスケジュール調整の難航により、年末まで時間をかけて面倒みていただくことができた(笑)。
最初から音楽理論をバリバリ学ぶのだという意気込みを持ってスタートしなかったのだが、「毎回面白い話が生で聞ける」というのをモチベーションに、全24回、なんとか皆勤できた。
そして最後の授業は、生徒の作品発表会。
これまた偶然にも、来年度より音楽講座の経営母体が美学校の方に移るため、2年目に引き続き高等科に進むということができなくなった。ので、実質の「卒業制作」。
自分も拙いながらも曲を作り、「恥をかくのもまた勉強」と自分に言い聞かせ勇気を振り絞って提出した。
いやあ、正直、こんなに緊張するとは思わなかった…。
この日、仕事終えてから学校に向かう予定だったのだが、朝は4時には目が覚めてしまい、歌詞カード作ったり、自己紹介用に名刺を作ったりなんかして、最後まで慌ただしく作業。仕事中も妙にお腹がくだって何度もトイレに行く始末。
最後の授業が始まっても、他の人の作品のクオリティの高さに感心しつつも、「あんなものを提出してよかったのか…」と自分のことを考えると不安で仕方がなかった。そして自分の作品は、発表順が最後になってしまい、膝がガクガクするほどにまで追い込まれてしまった。
…発表が終わった時には、それまでの緊張が嘘のような安堵感。意外にも◯の評価をしてくださった方が多く、先生も◯に一票入れてくださったので、それだけで一気に報われた思いがした。
いや…提出してよかった。

授業後は近くの居酒屋で打ち上げ。
「作品を発表しておくと、ここでの飲み会が盛り上がる」というのを励みにしていたところは大きかったので、存分に楽しんだ。
作品を発表したことで、いろんな人に顔と名前を覚えていただきやすくなったし、教わったことを図にまとめた資料も持参して行ったので、それを先生にも見ていただいて、名刺交換もさせていただいた。
授業が終わって飲み始めたのが23時前だったのだが、翌日の仕事を休みにしていたので、最初から朝まで飲むつもりだった。同じ考えだった方も多く、みんなで朝まで楽しく飲むことができた。
深い時間になったのをいいことに、後半は図々しくも先生の隣に居座り、いろいろアドバイスなどもいただいたりして、本当に貴重な時間になった。許されるならこの時の会話を録音しておいて、文字起こしして自分だけのテキストとして持っておきたいぐらいだ(笑)。
しかしいくら完全夜型の生活をされているとはいえ、菊地先生のタフさには驚いた。居酒屋の個室の隅に腰を下ろしてから一度も席を立つことなく、全員の話を聞き、すべてに誠実に答え、面白い話題を惜しみなく繰り広げ、ずっ〜と休みなく喋り続ける。話があまりに面白いので聴き入っていたら、気付けば早朝4時半。
ここ最近徹夜などしたことがなかった自分も、久々に朝帰り。こんな楽しい飲み会もずいぶん久しぶりだったなあ…。
いったんこれでクラスは終了になったが、今後も短期の講座や先生の私塾など、いろいろなかたちで、今回のご縁は続いていくことになると思う。
貴重な経験をさせていただいた映画美学校関係者の方々に感謝。
同じクラスで共に勉強した方々には親愛の情を。
そして菊地成孔先生には、いちファンを超えた個人的な尊敬と感謝の念を抱いております。
ありがとうございました。