「菊地成孔特集のミュージックマガジン」


過去ずっとロッキン・オンクロスビートを買い続けていたが、ミュージックマガジンはほとんど読んだことがなかった。
以前ディスクユニオンでバックナンバーが大量にまとめて1000円くらいで売られており、それを買って読んではみたが、内容がカタログ的で、読み物としてはあまり面白くない雑誌…という印象。(山崎洋一郎氏は田中宗一郎氏などの個性の強いライターの文体に慣れ過ぎていたというのもある。)
しかし最近は新しい情報を求めてロック雑誌を読むこともなくなり、ラテンやジャズに興味が出始めてきているので、よりミュージックマガジンの読者層に近づいていってるのかもしれない。
先月号が岡村ちゃんの特集号だったし、第二特集でブラジル音楽も取り上げられていたから買ってみたのだが、700円という値段のわりにはやっぱり内容は薄くて物足りない。
わかっちゃいるけど、今月号は菊地成孔先生の表紙&巻頭特集号とあれば、買わないわけにはいかない。

ラジオ「粋な夜電波」でもご本人がおっしゃっていた通り、DCPRGの新作が発売されるタイミングだから取材を受けたというのに、新作にフォーカスを当てたインタビューにはなっておらず、過去の作品を紹介するディスク・ガイドもカタログ的なまとめ方で、やはり読み物としては面白味に欠ける。
特集といっても24Pくらいを割いただけなので、これでは菊地氏の幅広過ぎる活動を網羅しきれるわけもなく、取材対象に対して熱意が感じられないんだよなあ。(「文筆家・菊地成孔」に注目して書かれた、大和田俊之氏の文章は、個人的なエピソードを交えた興味深い内容になっていた。もっと長いものが読みたい。)
極めつけはアルバム・レビューのコーナー(P153)での松尾史朗氏のレコメンド…を読んで怒り心頭。こんな悪意に満ちた文を書き散らす、この人物は一体何様なのか。
ググってみたらどうも評論家活動もやっているジャズ喫茶のマスターなんだとか。
こういう排他的な人物がジャズを狭いジャンルに押しとどめているんだ。
ジャズ喫茶を敬遠するのには、「菊地成孔さんのラジオを聞いて、ジャズに興味が出て来たばかりなんですけど…」とか言ったら鼻で笑われるに違いない…という思い込みがあるからなのだが、やっぱりこういう人達っているんだなと暗澹たる気持ちになった。
作品に対する好き嫌いはそれぞれあるだろうから、盤の内容に対しての悪評はともかく、「…幹の部分だけじゃなくて細部まで多彩な知識をひけらかした、重層的な割に薄っぺらな構築物。おそらく一生変わらないのだろう、やり口は。」という言い草が不愉快。単にこの人が菊地氏個人に対して良い感情抱いていないだけじゃないか。
おまけに「名門インパルスへの録音? 今時このレーベルの権威なんて誰が欲しがる。いらつかせるばかりか、妄想で澱み、濁った音塊。」…ときた。
…インパルスのレーベル担当者は、名誉毀損で訴えたらいいと思う。
菊地さんがインパルスの名前で箔を付けようとしてるんじゃなくて、名門復活にひと役買おうとしてるんだよ!
実際、ジャズのジャの字も知らなかった自分のような人間が、このDCPRGのアルバムで初めてインパルスの事を知り、購入予約をして楽しみに待っているんだから。
…この雑誌について、ますますマイナスの感情を抱いてしまっているが、次号予告を見たら、来月号は「特集◎現在の小沢健二」らしい…。
ああ、やっぱり来月も買うことになりそうだ(笑)。

ミュージック・マガジン 2012年 4月号

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