「007予習中。」

ライムスター宇多丸のシネマランキング2012で、批評したその週にそのまま年間ベスト1を獲得した「007/スカイフォール」。
一昨年の年間ランキングが発表された時も、1位になった「サウダーヂ」を観ていない状態で聞いて、「そんなに面白いのか? なら観てみよう」と思って後追いで観たら、ぶっ飛んだ。結局、自分の中でも2011年度のベストワンの作品になった。
という経緯があったので、「スカイフォール」も後追いで観てみようと思っている。しかしそもそも自分は、007シリーズというものを1本も観たことがないのだった。
単に観てみようというきっかけがなかっただけなのだが、これだけのロングシリーズともなると、今さらどの1本から観始めればいいかも迷う。
そんな時に、TBSラジオ「たまむすび」の町山智浩氏の映画紹介コーナーで、「スカイフォール」が取り上げられたのを聞いたら、「初めてこれを観るというのでも十分楽しめるが、『ゴールドフィンガー』だけは観ておいた方がいい」と言われていたので、じゃあそこから予習しようと思った。
ゴールドフィンガー」は初代ジェームズ・ボンドショーン・コネリー時代の作品なので、今観るとやはり古くささは感じる。それでもクールで、ちょっとエッチなタフ・ガイというボンドのキャラクターの魅力はよくわかったし、荒唐無稽なスパイ・アクションというジャンル・ムービー的な楽しみ方も全然悪くなかった。その後に、今回の「スカイフォール」に繋がる直近の過去2作、「カジノ・ロワイヤル」と「慰めの報酬」を観た。ボンド役がダニエル・クレイグになってからリブートされたシリーズということになるのだろうか。
しかしこの2作品がかなり面白くて、自分の中でのジェームズ・ボンドのイメージが、すっかりダニエル・クレイグで決定付けられてしまった。
ボンド役の俳優によって、ユーモラスな伊達男という側面が強調された作品も多いようで、自分もそういう先入観を持っていたのだが、今の時代のリアリティを体現するのに、無骨でニヒルだが芯の強い男であるダニエル版ボンドのキャラクターにすっかりハマってしまった。
やや時代遅れ感のあったスパイ物というジャンルを、テロとの戦いというテーマで現代的にブラッシュアップしたのも、よりリアルに感じられていい。
これは是が非でも「スカイフォール」観なくては! かなり期待が大きくなってきた。