「ワールド・ウォーZ」

WORLD WAR Z

WORLD WAR Z

月曜の夜、仕事帰りにレイトショーで「ワールド・ウォーZ」を観た。
ブラッド・ピット製作・主演のビッグバジェット作品だが、TBSラジオ「たまむすび」での町山智浩氏の紹介を聞いて、観たいと思っていた。
※以下、ネタバレ含みます。

町山氏の紹介で「ゾンビ映画」だということは知っていたが、元々ゾンビだとかのホラー映画にはほとんど興味が持てない自分ですら、これは面白いんじゃないか?と思えた予告編。
かなりスケールが大きそうだし、ここまで世界規模でゾンビ化ウィルスが蔓延したら、どうやって解決するのだろう?と、気になってしょうがない。
しかし、映画配給側は「ソンビ映画」だというと興業的に不利になると判断し、あくまでもブラピが家族のために戦う感動作品として宣伝しているようだ。
元国連職員で優秀な調査部員だったジェリー(ブラッド・ピット)は、危険が伴う仕事から引退し、家族とともに過ごすことを選んでいた。
ある日交通渋滞にはまった中で、人々を凶暴化させる謎の疫病が急速に拡大してパニック状態になる現場に居合わせてしまう。
家族を連れて避難すると、国連の元同僚より原因究明に力を貸してくれという要請があり、ジェリーは再び危険な任務につくことになった。
…というストーリーだが、確かに荒唐無稽なところはあるが、パンデミックものとしてのリアリティはあるし、近未来シミュレーションとしても観れる。
でも、やや説明不足というか、細かい設定はうやむやにして、とにかく大量のゾンビがうじゃうじゃ出てきて、さあ大変!というとこで押すパニック映画…にしては大風呂敷広げ過ぎだったのかもしれない。
3Dで観たらゾンビうじゃうじゃは凄まじい迫力だったし、次から次に危機が迫る展開はスリリングでもあった。
しかし、ビラピを単純なヒーローにしないためか、家族を人質に取られて渋々調査に乗り出している主人公を応援する気にはなれず、その割には「そんな権限がなぜオマエにある?」とツッコミたくなるような大胆かつ独善的な行動をとったり、いくらゾンビ化したとはいえ、今さっきまで普通の人だった大勢の扱いのぞんざいさなど、脚本の粗さが目立つ。
イスラエルでのゾンビ大群が壁を乗り越えてくる映像は強烈で、そこがクライマックスなのかと思いきや、後半は研究所の室内で、ゾンビに気付かれずにサンプル体を取って戻ってくるという…ワッ!と脅かす小ネタ程度を重ねた、すごくスケールの小さな話になってしまう。
そして最後は「戦いはまだまだこれからだ!」的な、ジャンプの打ち切りマンガのようなエンディング。
さすがにちょっとこれは…。まあ、結構楽しんだけど。