「『BIRTH OF DOMMUNIST』制作秘話。」
第127回の「粋な夜電波」は生放送。野球中継の関係で裏送りになる可能性もありましたが、無事にTBSでもオンエアされました。
「この番組がメインの販促ツール」と言われているように、店頭発売の予定がとりあえずない、ジャズドミュニスターズのアルバム完成記念特集となりました。
制作過程の話もたくさん聞けた、内容の濃い特集。その一部を文字起こししてみました。
本日はですね、JAZZ DOMMUNISTERS(ジャズドミュニスターズ)。
こないだ…前回のスペシャル・ウィークにね、天才・大谷能生君を招いて、結果として、それまで「単独一位」だったのが「同率一位」に微妙に下がったという…とこですね、やっぱね(笑)。
おそろしい負の力を持った天才。…ま、負の力があるってことは、逆の力もあるってことですけどね。
マイメン・YOSHIOと一緒に、ヒップホップのクルーを作りまして。
まあ…彼が41、ワタシが50ですから。
最近ね、あの…今日の放送っていうのは…今日の放送に限ったことじゃないですけど、「ヒップホップもともと聞いて好きだ」っていう方には言わずもがなの話ばっかり、「見たことも聞いたこともないよ」って方には「へー、そうなんだ。」って話が続きますけどね。
最近はね、ジャズ・ミュージシャン…特にサキソフォン奏者がラッパーに転身するって例がちらほらあったりして、トレンドになるんじゃないか?と言われてる中…なんですよ、実は。
なんですけど…ま、そんな中、確かに大谷君もワタシもジャズのサキソフォン奏者であることには変わりなく、ある意味「トレンドに乗った」ということも言えなくもないんですけど(笑)。
まあ…41歳と50歳っていうコンビってだけでも、ちょっと軽くオカシイですし、「大谷君とワタシが二人でトレンドに乗った」って言葉を口にした段階で、ちょっとこみ上げるものがあるぐらい(笑)…の人間ですからね。全然トレンドに乗ってないんですけども。
ま、ニューヨークに「sterling sound(スターリング・サウンド)」っていう…マスタリングっていってね、もうミックスダウンし終わった音源を最終的に製品にする段階をマスタリングっていうんですよ。で、このマスタリングが特にHIP-HOP、R&Bっていうような、生声と打ち込みの音でできてるもの…この融合ですよね、…のジャンルにとっては重要だって言われてて。
で、そこをまあガッツリ…ニューヨークのスターリング・サウンドで、トム・コインっていう…ね。これはもうなんていうか…スターリング・サウンドの両巨頭のうちの一人ですけどもね。…にやってもらって、戻ってきましたので、やっと完成したということで、今日はお聞きいただき…。
で、販売中…ですね。…販売中じゃない、間違えた(笑)。予約を受付てるんだ。
正式発売が11月2日?3日?…全然違った(笑)。えと…もう一回言いますね。正式な発売が11月6日です。6日に発売されるんで、まあ、まだちょっとあるんですけども。
店頭に置きません。それから、Amazonさんにも置かないので、これはまあ…うちの取締役…うちは代表取締役のワタシと取締役しかいないんですけども(笑)。ま、取締役曰く、「途中の…中間搾取を避けるんだ!」って…そんなこと言ってないですけど(笑)。「自社流通だけでいきます。」という…何か…高い志でやってまして。
〈ソウルバー(・菊)〉の時にバーテンで出てくる、ベーアーっていますね。あいつはワタシの口真似だけで存在するんじゃなくて、実在するんですけども(笑)。
実在するベーアーが運営している、その名も「BEA-TONE(ベートーン)」って…ワタシが名前付けたんですけど(笑)…BEA-TONEっていうオンラインショップでしか販売しないので。ま、そこに予約していただく形になります。(中略)
先ほどお聞きいただいた「XXL」ってのはね…。
…ていうか、「ヒップホップって、どんなふうに作るんだろう?」とか…みなさん、ほんとご存知ないでしょうね。
で、逆に…リスナーの方でね、自分もやってるって方は、ほとんどの方がもう作ってる方だと思うんですよ。
70年代のフォークに似てますね。もうギター持って歌ってる方は、やってる人なの。…えーと…今の喩え…わかんないでしょうね(笑)。
「聞くだけで演らない」って率がすごい少ない音楽なんですよ。…「聞くし、演ってるよ。」って人が多い音楽ですよね。
フォーク以来だと思います。打ち込みが発達して、発表する場もいっぱいありますから。
なので、「もうそんなん知ってるよ。」っていう人も多いと思いますけど、関係ない人には全然関係ないんでね。
まずは、カラオケみたいなのがくるんですよ。例えばさっきの曲だったら…
(ビートを流す)
こういうのがくるんですよ。これは何にものっかってないわけ。すっぴんのがくるんですよね。
ビートメイカー…これはワタシの生徒の田中君っていうね、(中略)天才トラッカーで、いくつか「先生、こういうの作ってんですけど。」ってくるんですよ。
で、こんな感じになってるんですよ。
で、まず「これのギターの音抜いて。」って言って、抜かせてやわらかくして…そいでスタジオで、すごい聞くの。もう…100回ぐらい聞くんです、ホントに。そうすると、その曲のテーマっていうか…ヒップホップには…
ここら辺ね、この番組…微妙ですけど、ジャズファンの方で聞いてる方、いっぱいいると思いますよね、お父様方とかで。
ジャズとすごい似てるんですよね。ジャズの孫だと、ワタシ思いますけど。ジャズがお爺ちゃんで、息子がファンク・R&Bで、孫がヒップホップだと思うんですよ。で、まあ…この話、番組でも何回かしましたけどね。
で、孫は可愛いですよね。やっぱお爺ちゃんから見ると。お父さんから見ると息子はウザイ(笑)。ま、仲良い親子もありますけども。二代離れちゃうとね。
「テーマ」って言うの。ラッパーにね、カラオケ、こう…トラック配りますよね。ビートを。
そうすっと、みんな…OMSB'EatsもMARIAも、みんながみんな「菊地さん、これテーマは何ですか?」って言うの。ジャズっぽいでしょ。
ジャズもテーマが無いと始まんないですよね。
で、テーマ?…これはジャズでいうテーマ、英語だと「theme」って言いますけど、ジャズだと演奏が始まる前に「♪タバダバダバッパーン〜♫…」って演るわけですよ。…じゃあ、あれね。終わったら一人ずつソロになって「♪タブルダブルドゥバルダブドゥ〜♫…」、はい、終わったら次…「♪ダバドゥブルダバドゥブ〜♫…」。
…これ、マイクが回ってくるわけなんでね。ヒップホップと全く同じですよね。
で、テーマを決めないといけないの。リーダーっていうか、プロデュースする人が。
で「どうしようかな、どうしようかな〜?」っつって、これなんかは聞いてて…
こう…わかんないの、最初。「あれにしようかな、これにしようかな〜?」っつって。
そいで、ある時…やっぱりこれもね…何ていうかね…クリエイトの真髄と言いましょうか、何十回何百回って聞いて夢の中にも出てくる…って状態になった時に、ある日「ハッ!」てひらめくんですね。「あっ!…これはレズビアンの話だ!」っつって。
(中略)
まあ…まだね、前半で1曲しかかけてないじゃないかとおっしゃる方もいるかもしれませんが。
とにかく全曲聴けるんでね。なんかいろいろ、こう…制作にまつわる話とかの方が面白そうじゃないか…という感じですよね、ホントに。
…そうやって、こう…トラックに入れ込んでいくんですよ。テーマを。
テーマをあげないと、ラッパーは書いてきてくれないんで。
あ、まあまあ…「ノー・テーマで。」って場合もあります。
その場合は、これもね、ジャズと同じですよね。ジャズも「ノー・テーマで。」ってなったら、これも百鬼夜行ですよ。どんな演奏になるか分かったもんじゃないっていう(笑)。
…感じで、やっぱテーマが…「theme」がその曲を統括…律してるんですよね。
だからそこを決めて渡してあげると返ってくるって感じですね。
で、まあ…ビートメイカーが作ったものに関しては、プロデューサーであるワタシが考えるって感じですね。
※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。