「cure jazz reunion について。」

「粋な夜電波」第145回は生放送で、「JAZZ WEEK TOKYO 2014」に出演する「cure jazz reunion」特集。
2006年に傑作アルバム「cure jazz」をリリースした1度きりのユニット、「UA × 菊地成孔」が8年ぶりに復活するので、いつもの前口上の代わりに、アルバムのライナーノーツの朗読で番組スタート。
リハーサル&プレ公演を終えて、沖縄から帰って来たばかりの菊地先生の土産話満載の回になりました。
沖縄話の一部を文字起こししてみました。

cure jazz

cure jazz

え〜…ま、UAさんとアルバムを作ったわけです。
で、半分がスタンダード、半分がワタシのオリジナルということで出したアルバムで。
今回はリユニオンなので、基本的には同じ曲を演るんですよね。コンテンツ先に言っちゃうといけないんですけど。
ま、とにかくアルバムが1枚しかないんで、そこから演るしかないんですが、ただ…お互いやはり8つずつ歳とってますので。お互い…っていうか、全存在が地球も含めて、8年歳をとってるわけなんで(笑)。
同じアレンジと歌というわけにはいきませんので、アレンジも変えましたし、これはもう観てのお楽しみ…というふうにしか言いようがないんですが、UAさんの歌、ワタシの歌、ワタシのサキソフォン、あとメンバーも同じメンバーですので、鈴木正人坪口昌恭、藤井信雄、でライブダブエフェクトでパードン木村…。今回はストリングスだのハープだのという上物のゴージャスなものは全部排して、シンプルにピアノトリオと歌とサックス…にダブエフェクトだけでライブを演ろうと思うんですけども。
で、もう手元にね…これは絶対まだかけちゃいけない(笑)…プレイするわけにはいかないんで、プレイできないんですが。昨日…国際通り…沖縄の那覇国際通りっていう…何て言うんでしょうね?…歌舞伎町みたいな所、歌舞伎町の区役所通りみたいな所(笑)で、そっから一本入った所…一本つっても、ほとんど数十メートル入った所に「桜座」っていう映画館があって、その映画館で演奏してきたんです。
UAさんが出してきた…UAさんはあんまりどうのこうの、うるさいこと言う方じゃないんですけど、今回のリユニオンに関して…ま、これはあっちこっちの媒体で喋ってるんで、あえて「夜電波」の時間遣うのももったいないような話なんですけど…。
ワタシが呼び掛けたとか、UAさんの方から打診が来たとかいうわけではなくて、これはフェスの主催者が「久しぶりにリユニオンやってみないかね?」って言ってきたんですよ。
それで…ま、よくある話なんですけど、「オイラはいいけどUAさんがYESと言わないんじゃないの?」というふうに申し上げました。
UAさんは、特に震災以降、沖縄に住んでらっしゃいまして、まあ…震災以降沖縄に行った人いっぱい居るんですけども、UAさんもその一人で。これはもう…訳も無く行ったわけではなくて(笑)、元々…加計呂麻島かな?…がなんかが、お母様の実家かなんかで、半分故郷でもあるので、地元に戻ったという側面もあると思うんですけども。
でもって、とにかくまず「リハーサルは沖縄でやること」、そして沖縄で渋谷の本公演の1か月前にプレ公演みたいな感じで「沖縄でもライブを演ること」ってのが、UAさんが…「その条件を踏んでくれればやってもいい」って話になったので、で一族郎党連れて行って来たんですよね。
まあ…話せばキリが無いんですけどもね(笑)…リハがね、コザって所で。これは70年代80年代には「ロックの街」って言われて。
ま、ここら辺はお若いリスナーの方は置いてけぼりになっちゃうんですけども…あんまりワタシの同世代、それより上の方に「分かる、分かる!」っていう番組にしたくないんですけどね(笑)…若い方にも聞いていただける番組にしたいんですが、まあ…「コンディション・グリーン」ですよね(笑)。あと村崎さんですよね。え〜…ムラサキさんっつっても村崎百郎さんじゃないですよ。違うムラサキさんですけれども(笑)。ジョージ(紫)さんの方ですけれども。
ま、そういった…一時期は「ロックの街」みたいに言われてて、それ以降コザってのも…ワタシ、沖縄…那覇は大好きで観光としては指折り…こないだ改めて数えたら20回以上行ってるんですけど。
ただ仕事で行ったのは今回が2回目で(笑)。1回目は与世山さんっていう…これもまたレジェンダリーな…今、与世山さん幾つになったんだろうな?…もう80近いのかしら。与世山さんっていうジャズヴォーカルの…ま、お婆ちゃんですね。「インターリュード」って店をやってて、そこでレコーディングして、沖縄でライブするってのが、これまた…もうすでに6〜7年前にあって。それも含めて観光では行ってるんですけど、その時以来ですね、ライブで伺わせていただいたんですが。
ただワタシ、沖縄に20回以上行ってるんですが、沖縄の海も沖縄の山も見たことがありませんで、完全街派、街っ子ですんで(笑)。ま、川は好きなんで、川は見たんですけどね(笑)。久茂地川ってのが流れてるんだけど、川沿いなんかは好きなんですけどね。
とにかく那覇のね、国際通りとその周辺と、あとは「ゴッパチ(58)」というね…「かりゆし58」ってバンドがありますよね、それはどっからきてるかというと、国道58号線っていうのがあるんですよ。それは那覇市那覇市ってのは沖縄の一番下ですよね、まあ、約…ね、一番下。そっから北上していく国道で、これに乗ってドーッと北上して行くとですね、いわゆる、ちょっと前には…ちょっと前にはっていうか、沖縄の方にとっては今でも身近でシリアスな問題ですけども普天間基地とかいった米軍の基地が、もうズラーッと並んでて。
で、当然ですけど米兵…特にマリーンズですね、海兵隊員を相手にするタトゥーショップですとか、ポールダンスのストリップの小屋とかが…それが既に潰れてたりしたりしてですね、その上にラーメンの大勝軒が入ってたりしてですね(笑)、スゴい…日米のカルチャー地層って言うんですかね、こう…地層の様に、タブローの様になってまして。それ見るのが好きで、ただゴッパチを行ったり来たりするのと、国際通りの周りをうろつくためだけに、沖縄に行くような人間なんですけれども。
今回、コザに初めて行ったんですよ。
コザはですね…激ヤバでですね(笑)。昼間から、ちょっと怖かったですね。
あの…車で…長沼と一緒に行きましたから、長沼の運転でレンタカーで段々段々、それこそゴッパチからコザに向かって行くんですけど。
初めて知ったんですけど、まあ…当たり前の事だけど、これは…カーナビに米軍の基地は映んないんですよね(笑)。
なんで、58号線を走ってると、カーナビの絵がね、真っ白になっちゃうの。真っ白?…真っ黒っていうの?
カーナビ全体の真ん中に、今自分が走ってる国道が示されるだけで、両脇が基地でもう何にも映んないですから。こっからカーナビで映っちゃったらヤバイですからね、機密が漏れるわけですから、映らないんですよ。
だから、珍しい絵だな(笑)と思って、いっぱい写真撮ってきたんですけど。両脇が延々と映んないのね。
で、基地が途切れてくると、こう…路地が映るっていうような状況のまま、コザまで行くんですよね。
コザは…もうぶっちゃけ、ヤクザの服と不良の服しか売ってなかったんで(笑)。あの…「サウダーヂ」の舞台になった甲府もヤバイんですけど、「甲府かな、コザかな、どっちかな?」って思うぐらい…。
まあ、なんか…広さのわりには安そうなマンションがいっぱいあったんで、「ひと部屋買おうか?」って思うぐらいの、ヴァイブスの合い方をしたんですけどね(笑)。そん中に突然、美味しいパン屋さんがあったりして。
まあ、そんな中、8年ぶりでUAさんに会いまして。
事前にあんまり会ったり話したりすると、こう…なんかいまいち面白くないじゃないですか。なんで、敢えて打ち合わせだとかメールのやり取り…まあ、それはどっちにしたって出来ないんですけど、Skypeですとかね、あと写真や動画を送り合うとかね、そういった事も一切せずに、「いっせーのせ!」でリハの当日8年ぶりで会おう…っていうような、まあまあ、そんなにガチガチに打ち合わせしたわけじゃないんですけど、なんとなくあうんの呼吸で段々そうなってって。
そいでコザまで行って、スタジオ行って、「ヤバイな、この街…。」っつって(笑)。
で、まあ…いろいろね、スケーターの店、地下格闘技のポスター…いろんなものがあって、スタジオ行ってスタジオの扉がバカン!と開いたらUAさんが居て…っていうような感じで始まったんですけど。
ま、1曲聴きましょうか。アルバムからね。この曲も演奏します。
カルロス・ジョビンの曲ですね。「ルイーザ」という曲です。この番組ではプレイしたことないんじゃないかな?
ワタシとUAさんとデュエットで歌っている曲です。「Luiza」聞いてください。 

※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。