「康夫ちゃんが直接ガラケーにオファー。」

「粋な夜電波」第174回放送はフリースタイル。
TABOOレーベルの隠し球の情報公開などトピックも満載でしたが、久々にゆるくていい感じの面白話もたくさんありました。
田中康夫先生から菊地成孔先生に直接届いたオファーのメールが最高に面白かったので、そのことについて語られた部分を文字起こししてみました。

文藝 2013年 11月号 [雑誌]

いまどき真っ当な料理店 (幻冬舎文庫)

あとはですね…シーズン７的には…何でしょうね？
今、ケータイをね…ワタシ、完全なガラケー派ですけどね。
ガラケーにだって届く！
何が届くか？
…田中康夫さんからのメールが届くってことですけれども（笑）。
普通、私信をラジオで読んだりしたら絶対いけないですよね。一番やっちゃいけないことです。
ですが、おそらく康夫ちゃんなら怒らないだろうという（笑）…推測に基づきましてですね、ていうか、これ読んで欲しそうなメールなんでね。
え〜…これスゴイですよ。直接来るんですから。直接ケータイに。ガラケーに。
〈都度都度失礼致しますデス。〉
この「デス」がカタカナになってますね。
〈菊地成孔様。田中康夫でごじゃる。〉
…（爆笑）…もうこの段階で「読んでくれ！」っていう。〈田中康夫でごじゃる。〉
〈ぜひとも『33年後のなんとなく、クリスタル』への推薦文、50文字前後をお引き受け頂きたく、平身低頭、匍匐前進、お願いするでごじゃる。ペコペコ、ペコリーノ。〉…（笑）。
もう…（笑）…もう！って感じですけどね。
ペコリーノというのはちなみにね、チーズの名前なんですよね、これね。こういうところはグルメですよ、さすが田中先生。
ま、ワタシも…何て言うんでしょうねえ…テメエの実家がメシ屋だったっていう程度の話ですけど、なんか…グルメ界のハスのハスの端っこに置いていただけているような…アレではありますが。
なにせ、玉村豊男先生と田中康夫先生がワタシの２大師匠ですからね、グルメ的にはね。師匠っつったって、勝手に本読んだだけですけど。
結構…ほとんど行きましたよ。ワタシね、ツブしてくの好きで、ミシュランもどんどんツブしてますし。でも一番最初にね、まだ今ほどインカム無かった頃に、なけなしの金でツブしてったのが「いまどき真っ当な料理店」の上下ですからね。「康夫ちゃんの行った店、全部行くんだ！」っていうね。
で、〈…ペコペコ、ペコリーノ。文面はおふざけチックですが、気持ちは真剣。どうぞよろしくね♡〉
ってメールが来てまして（笑）。
で…『33年後の…』…読む物多くて困っちゃう、もう。『33年後のなんとなく、クリスタル』、著者17年ぶりの小説、もうゲラがドサッと届きまして、それと同じ分厚さの『MADURO』創刊号がありますから、これ二つ読まないといけないんでね。えー…もうヤバい。読む物が増えちゃったんですけれども。
もう平身低頭しまして「田中先生、光栄の至りに…これほどの光栄はございません。書かせていただきます！」っていうメールを即送らせていただきますと、３分と待たずに即返事が来まして（笑）。
返事のタイトルが「キャオ！ワオ！」ってカタカナで書いてあるっていうね（笑）。
〈おありがとうごじゃりまチュ。〉…「チュ」がカタカナですからね（笑）。
〈ゲラを事務所にお届け致します。新たに趣向を凝らした脚注は、只今吟味中。週明けにはこちらもお届けします。〉なんつって。
「なんとなく、クリスタル」っちゃあね…ま、要するに何でこんな、田中康夫さんからメールが来るかって事も、最近聞き始めた方はわかんないでしょうね。番組で朗読したんですよ。
これはもう20世紀を代表する…なんかノベルティのおふざけ小説かなんかだと思ってる方とかもいっぱいいるんだけども、どんでもないです、これはホントに。
もう江藤淳先生、野間宏先生という錚々たる方々が、出版当時から絶賛はしてたんですけどね。どうしてもね、軽いチャラい…それこそ「チャラ爺」ですよ…チャラ小説だと思われがちなんですけど、そんなことはないんですよね。
ま、高橋源一郎さんが「マルクスがもし小説を意企してたら、『資本論』の次に書いたのはこういう小説だろう。」って言ったらしいですけど、まあ…さすがの高橋源ちゃんですよね（笑）。源ちゃん…全然知りません…面識無いですけどね。
今もう…すごい勢いが…今日で最終回だ！っていう。ま、来週、何事も無く続くんですけど。その勢いがありますけども。
で、番組で朗読したの。それが「金曜ロードクショー」の元になったんですよね。だから第一回目は『なんとなく、クリスタル』なんですよね。それからガルシア＝マルケスになって、筒井康隆先生になったんですが。
というわけで、今手元にはね、メールはあるわ、ゲラはあるわでね。今TBSの…番組の、ワタシの卓上が「田中康夫祭り」になっている状態ですけどね（笑）。

新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。