「映画と恋とウディ・アレン」



仕事休みの水曜日が、たまたま1日。
映画の日で1000円だから何か観に行こうと思っていたが、観たいのは来週から始まるものが多くて。
名画座早稲田松竹ウディ・アレン監督の特集上映をやっていたので、それを観に行くことにした。
ドキュメンタリーの「映画と恋とウディ・アレン」と、昨年のアカデミー賞でも話題になった「ブルージャスミン」の2本立てで、サービスデー料金800円とは、実にお得。
ウディ・アレン監督作品は近年のものから観始めてはいるが、なにぶん作品数が多いもので、なかなか網羅できない。
ウディ・アレンのこれまでの道のりを辿ったこのドキュメンタリー作品、「映画と恋とウディ・アレン」は、これから彼の監督作を観て行くにおいてもちょうどいいガイドともなる。
ギャグ作家からスタートし、本人が舞台に立つコメディアンとして一躍有名となり、そこから本人主演で映画の道に入ってきたことはよく知られているが、あらためてそのキャリアを振り返ると、脚本家としても映画監督としても、最初からその才能を誰もが認めた天才型だったことがわかる。
70歳を過ぎてもいまだにほぼ年1作のペースで映画を撮り続ける、その精力的な活動にはただただ感心するばかりだが、あくまでも「ウディ・アレンらしい」作風…シニカルで悲喜劇的な人間模様にこだわって作り続けていることが、逆に「いつものウディ・アレン」的に軽く捉えられ、実は過小評価されている才能のうちの一人であろう。
一方で、私生活でのスキャンダルで騒がれ過ぎていて、様々な浮き沈みを経験してきた人物でもあり、世間の人の好き嫌いが大きく分かれるイメージもある。
それでも、その作品は自分が今まで観たものはすべて面白かったし、毎回ある一定のクオリティは保証されている、評価の高い映画監督であることは間違いない。
さらに、数年に一度、スマッシュヒットを飛ばし、賞も数多く受賞。近年では「ミッドナイト・イン・パリ」のヒットが記憶に新しい。
多作過ぎるので、ありがたみが薄れているようだが、実は数年に一本は傑作級を撮っているのだから、かなり高打率のヒットメーカーでもあるのだ。
あらためてウディ・アレンの偉大さをひしひしと感じながら、このドキュメンタリーを観たが、その功績云々はともかくとして、やっぱり自分はこの人好きだな〜という思いも強くした。
シャイでシニカルな彼の目線から見た世界の切り取り方には、とても共感するし、自分の思うようにならないのは百も承知で恋し続けずにはいられない、これこそが生きる喜びなのだという、ささやかな希望を笑いと涙混じりに伝えてくれる彼に感謝したい気持ちでいっぱいだ。