「百円の恋」



今年1本目の映画館鑑賞作品は「百円の恋」。
たまたま仕事が早く終わる日があり、18時台の回が観れそうな映画館を調べたところ、テアトル新宿に間に合いそうだとわかった。
伊勢丹横の富士そばで春菊天そばをかっこんで、急いでテアトル新宿に行くと、水曜サービスデーだからか予想以上の混雑。
なんとか後方の席を取れて入場。
町山さんも「たまむすび」で、今年の日本映画をまとめて観た時の感想を述べられた時に、「安藤サクラさんが『ロッキー』になっていく」様子がすごいと好意的に評価されていたので、観たいと思っていた作品。
安藤サクラさんという女優は、それこそ「愛のむきだし」を観た時に、強烈な印象が残り、その後も「なんなんだろうな…特別美人というわけじゃないのに、どうにも気になる女優さんなんだよな…。」と思っていた。
今回のこの主演作を観て、あらためてその役者魂というか、不細工な表情も醜くなったボディもすべて曝け出す、その心意気に感服した。
そこのみにて光輝く」の池脇千鶴さんを見た時にも思ったが、近年の日本映画でリアル方向でいい作品となると、どうしても現代の若者の貧困や絶望に向き合わざるをえないところがあって、その時に女優さんが「自分がどう見られるか」に意識的になり過ぎたり、いろんな制約があって、表現をソフトにしたり美しく見せるような撮り方をしたりすると、台無しになってしまいかねない。そこで役に徹した結果とはいえ、醜悪な部分も堂々と曝け出す勇気が今の女優さんには問われている気がする。
実際にこの演技で安藤サクラさんは数々の女優賞を受賞するなど、高い評価を得たようだ。
単にボクシングのトレーニングを本格的に行なった、そのストイックさに対する努力賞的なものではなく、最初は自堕落で何の希望も持たなかった主人公の一子が、どんどん変わって行く様を体現していたし、目の輝きからして変わっていく演技は素晴らしいと思った。
いわゆる「負け犬たちのワンスアゲイン映画」でありながら、最終的には何かサクセスしたわけでもないのだが、そこがこの作品のいいところ。
でも、確実に観て元気をもらえる。いじらしい話好きの自分にはたまらない一本。

百八円の恋(初回限定盤)(DVD付)

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