「怒りのパワーを音楽に。」
「粋な夜電波」第196回放送は、久しぶりの「韓流最高会議」。
韓東賢さんとヴィヴィアンさんをゲストに迎えて、K-POP、K-HIPHOPについて徹底討論する60分。
人によって好き嫌いも分かれる韓国カルチャーですが、番組で紹介されたものはどれもクオリティの高いものばかり。
先入観や固定観念を取り払って、自由に音楽を楽しもうというムードに満ちた充実の内容でした。
番組後半の、韓国文化から感じる「恐さ」のエッセンスについて語られた部分を文字起こししてみました。
(※日韓合作ラップ Keith Ape『It G Ma』について語られた部分は、miyearnZZ Laboさんのサイトですでに書き起こしされていましたので、そちらでお読みいただけると思います。)
Illionaire Records - 11:11 (Deluxe Edition)
- アーティスト: コンピレーション(韓国)
- 出版社/メーカー: CJ E&M
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
- アーティスト: Paloalto (パロアルト)
- 出版社/メーカー: Genuine Music (HIPHOP PLAYA)
- 発売日: 2013/11/25
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
- アーティスト: Rinbjo
- 出版社/メーカー: ヴィレッジレコーズ
- 発売日: 2014/12/24
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (10件) を見る
菊地 はい、Rinbjo Feat. Paloalto で「反駁」という曲でしたけれども。ま、このPaloaltoさん…ここでは何て言うんですかね…アングリーといいますかね…
ヴィヴィアン はい。
菊地 ラウドな感じで。
ヴィヴィアン 珍しく。
菊地 珍しいですよね。ほんとは…って本当も何もないんですけど(笑)…
韓 (笑)。
菊地 実際会うと、まあ…何て言うんですかねえ…ぬいぐるみみたいなね…
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 可愛いぬいぐるみみたいなね。
韓 優しそうな感じですよね。
菊地 優しそうなね。
ヴィヴィアン 赤ちゃんみたいな顔ですよね。
菊地 そうそう(笑)。赤ちゃん顔ですよね。文字通りのベビーフェイスなんですけども。これは…ちょっといろいろ…テーマが「怒り」「恐怖」なので、「それでいってください。」って言った結果…
韓 うん。
菊地 やっぱり…大韓民国の方のパワーってのはすごいな!と。
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 すごいな〜と思って圧倒されまして。送られてきたものを…
韓 うん、うん。
菊地 普段はこんな人なんですよってのを、ちょっと聞いてみましょうか。
ヴィヴィアン はい。
菊地 「Au revoir」聞いてみましょうか。「Au revoir」はフランス語で、いくつかある「さよなら」の表現のひとつですけども。聞いてみましょう。
(曲)
菊地 はい、…と、まあ…こんな…これも、まあ…凄みあるっちゃありますけどね。もっとハッピーなのもいっぱいありますよ。
韓 これ、でも…好きです!
菊地 ああ〜、これ好きですか。
ヴィヴィアン おっ!
菊地 なんと!…不感症が治りましたか?
韓 いやいやいや…
ヴィヴィアン (笑)。
韓 治ったとかじゃないけど…。
菊地 (笑)。
韓 これは好きです。いいと思いました。
菊地 ほんとですか。ああ…いいですよね。
韓 うん、いいです。
菊地 えっと…そんな中ですよ。またもや、シンクタンクであるヴィヴィアンさんが仕掛ける…
ヴィヴィアン はい。
菊地 はい、よろしくお願いします。
ヴィヴィヴァン はい、4月29日、水曜日なんですけど、祝日です。
菊地 はい。
ヴィヴィアン この日、渋谷のduo Music Exchangeで、なんと…
菊地 duoに進出!
ヴィヴィアン duoに進出です!
菊地 結構な…進出ぶりですね。
ヴィヴィアン 結構…な、はい。韓国で今一番…アンダーグラウンドなんだけど、ちょっとメジャーに片足突っ込んでるような感じで、一番人気を博している「Illionaire records」っていうレーベルがあるんですけど、そこのDok2とThe Quitte…この二人のライブを渋谷duo Music Exchangeで行います。
菊地 はい、この「行います!」と明言しているのは、なぜかというと…ヴィヴィアンさんが行うわけだからですね(笑)。
ヴィヴィアン そうです。
韓 (笑)。
ヴィヴィアン 実は去年の10月もこの二人のライブやったんですけど、その時も大盛況で。
韓 うん。
ヴィヴィアン で、本人達が「また日本でやりたい。」っていうふうに言って来たので。
菊地 はいはいはい。
ヴィヴィアン 「じゃあ、やりますか!」って…
菊地 ヴィヴィアンさん、もうぶっちゃけ…何て言うか…日本に数少ないアンバサダーの一人ですよね。
ヴィヴィアン そうですね(笑)。
菊地 完全にそうですよね。
ヴィヴィアン はい。
菊地 逆の人いないのかな〜と思いますけどね。
韓 うーん。
菊地 逆の人いてくれよ…という気持ちですよ。
ヴィヴィアン いない…ですね〜。
菊地 まあ、ぜひ!…あ、1曲聞きましょう。
ヴィヴィアン はい、Illionare Records (Feat. MC Meta)で「연결고리 (YGGR)」。
(曲)
菊地 はい。では、率直な…また…
韓 えっ?
菊地 2発目ということですけど、書記長!…こちらはいかがでしょうか。
韓 うーん…すごく好き…ではない!
菊地 (笑)。
ヴィヴィアン ちなみにこの曲、つい先週、韓国で一番大きいヒップホップのサイトがあって…
韓 うん。
ヴィヴィアン 「HIPHOPPLAYA」って言うんですけど、そこの今年の曲に選ばれました。
韓 うーん。何て…うまく言えないんですけど…恐いんですよね。
菊地 まあ、そうですね。
ヴィヴィアン あー、まあ…そうですね。
菊地 そう、そう。恐さ…ね。それねえ…Kムービーが入って来た時、キム・ギドクとか…
韓 うーん。
菊地 ああいうのが入って来た時、ワタシいまだに…韓国の映画は恐いんですよ。
韓 ああ〜。
菊地 でもね、TVドラマは全然恐くないの。うん。
韓 うーん、なんだろ?
菊地 初期の頃はね、単なる…最初の頃、何て言われてたっけなあ…Kハリウッドじゃねえや、Kアクションとかなんとか言われてた、結構スパイ物でドカーンとかいう…のですら恐いし。
韓 うん。
菊地 人間ドラマもね、人の恨みとかの重みが…全然違うな、日本と!と思って。
韓 (笑)。
菊地 宮部みゆきさんどころじゃねえやっていう、恐さがあって…
韓 うん。
菊地 やっぱね、韓国のカルチャーで、日本人がなんか今ネガティブになる部分があるとして、それを具体的なことじゃなくてエッセンスとして取ったら、やっぱ恐さってあると思うんですよ。
ヴィヴィアン うん。
韓 うーん。
菊地 うん。先日ね、アカデミー賞の発表がありまして、あの…面白いんでもう7回目ぐらいですけど、何回も言いますけど、犬の鳴き声を模した…
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 局が完全中継したんですよね。
韓 ええ。
菊地 今年ですね、受賞式で…ま、あれなんですよね…ちょうど公民権から50周年だということで…キング牧師の…(『SELMA(原題)』)
韓 はい。
菊地 なんとしかし、このアカデミー賞ノミニー作品を日本は公開してないんですけど。公開予定も立ってないんですよ。
韓 うん。
菊地 ですが、アメリカではたいへんな…特に主題歌がジョン・レジェンドとコモンがやってるんですね。
ヴィヴィアン うん。
菊地 で、この主題歌がとんでもないパワーを持ってて、長いアカデミー賞の授賞式の中でも、全員がスタンディング・オベーションして、ほとんどの人がガチ泣きしたってのは、そのシーンだけだったんですけど。
ヴィヴィアン うーん。
菊地 そのシーンに込められてるのは、やっぱりね…怒りっていうか…
韓 うーん。
菊地 やっぱ凄いですよ、怒りを超えてっていうか(笑)…笑いながら言っちゃいけないですけど、あまりのことに笑ってしまうぐらいの…
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 凄いパワーなんですね。
韓 うん、うん。
菊地 で、あれもね…何にも知らない子どもが聞いたら、恐いと思うんですよね。
韓 うん。
菊地 あれのコモンの魂の演説も、聞きようによっちゃ恐いと思うの。
韓 うん、うん。
菊地 だからやっぱり、世界中でアフロアメリカンの人たちってのが最初に、その怒りみたいなものを…っていうか、聞いたら恐がられるかもしれないものってのを、美的に、あるいはコミカルに、セクシーに、音楽に変えたっていうのを最初にやったと思うんですね。
ヴィヴィアン うん。
菊地 だから、我が国が発してる事ってのは、格差社会とか言ってますけど、韓国における格差や、北米における格差とは比べ物にならないじゃないですか。
韓 うん。
菊地 あるいは中華人民共和国における格差とかとは。
ヴィヴィアン うん。
菊地 ま、ま…比べ物にならないって言っちゃいけない、大変な格差なんだって言われたらそれっきりですけど。
韓 うん、うん。
菊地 やっぱ格差ってものの中から出てくる怒りとか、いろんなその…パワーっていうものが、音楽になってるかなってないかっていうのは、お国柄だと思うんですよね。
ヴィヴィアン うん、うん。
菊地 で、日本が柳腰ではんなりした国…ね、「カワイイ」ってもんが世界中にどんどんどんどん行っちゃっているってのは、ある種しょうがない。これから日本はやっと…
韓 うん。
菊地 言い換えれば、ソウルミュージックだとか、韓国の音楽…特にヒップホップみたいなもの…に、通じる…
韓 うん。
菊地 ひょっとしたら、恐いやもしれぬぐらいの、パワーってものを持っていくのかどうかってのは、これからの我が国のね…
韓 うん。
菊地 特に音楽の…大きな問題だと思うんですけど。ま、どう転がって行くのか、ほんとに難しいですけどね。
韓 悪く言えば、没落後のね…
菊地 はい。
韓 没落後って言い方でいいかわかんないですけど…ま、そういう話ですよね。
菊地 そうですね。
韓 うん。
菊地 もう「一億総中流」とか言って、いい調子でやってた時代の名残の…「カワイイ」ってロココみたいなもんが、今世界ですごい愛でられてんだけど…
韓 うん。
菊地 ま、そのまま逃げ切るかどうかっていうところに…(笑)。とはいえ、今日なんかもそうですけど、日韓の…少なくとも音楽では交流…
韓 うん。
菊地 それもね、ハッピーフィールで「お手盛りじゃねえの?」みたいな雰囲気じゃなくて、ほんとに交流してんだって感じが出始めてますから。
ヴィヴィアン うんうんうん。
菊地 ま、ま…そのことをね、Paloaltoさんのことも含めてですけども、まあまあ…これから刮目して見て行きたいと思いますけど。
韓 はい。
菊地 え〜…今日だいぶこぼしましたんで、Podcastイッソヨ…ってことでですね(笑)。
ヴィヴィアン はい。
菊地 どこがオンエアに使われるかわかりませんが、オンエア聞いた方もぜひPodcastも聞いていただきたいですね。
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 あの…我々、韓流最高会議は「韓国万歳!」という集団ではないので…
韓 (笑)。
菊地 ダメなもんはダメと、フェアにジャッジしている感じですので。