「Obscure Ride」

Obscure Ride 【初回限定盤】

Obscure Ride 【初回限定盤】



ceroの新作「Obscure Ride」…2015年のアルバム・オブ・ジ・イヤー、早くも決定しました。
すっかりロックも聞かなくなり、いろんなフェスのラインナップを見ても、名前は知っているが聞いたことがないバンドがどんどん増え、「もうおっさんになって、新しい音楽にピンとこなくなってしまっているのだ、オレも…。」と、少々寂しい気持ちになっているこの頃。
久々に心からハマったバンドがようやく現れた。
いや、去年のワーハピで初めてステージを観て、「お〜、なんか良さげなバンドじゃないか!」とはもちろん思っていた。しかし、まさかここまでいいとは…このアルバムを通して聞くまでは、ちょっと確信が持てずにいた。
ソウルやR&Bをベースに、ヒップホップを通過した、現在の都会の音楽…とかいうと、そんなバンドたくさんいるわけなんだが、ceroもシティポップ扱いされていたので、「あー、そういうセンスのいい系ね。」と片付けそうになっていた。
しかし、このアルバムはもう、ほぼジャズですな。しかも、グラスパー以降のいわゆる「今ジャズ」を、ここまでポップミュージックとして成立させてしまっているとは、驚いた。
最初のトラック「C.E.R.O.」や「ticktack」で聞かせるボーカルは、ラップというよりも、ジャズのアドリブのようなメロディラインで、歌モノとしては音程が取りづらいぐらいなのだが、それでもポップに響く。
「Elephant Ghost」や「Wayang Park Banquet」では、複雑なアフロポリリズムにも果敢に挑戦し、バンドが一段階も二段階も次のステージに進んだことを見せつける。
「DRIFTIN'」なんかは、ちょっと懐かしい90年代のジャズファンクのようで、オリジナル・ラブを連想させるが、まさにアシッド・ジャズを踏まえて、それをポップミュージックに昇華させたオリジナル・ラブがブレイクした時と同様の驚きがある。
彼らのキラーチューン、1stシングルの「Yellow Magus」も、アルバムに収録する際には、バージョンを変え、より洗練された演奏で再録しているのだが、これがグルーヴからしてほぼ別物になっている。そりゃこのアルバムのトーンに合わせたらこうなるか。
「Orphans」も「夜去」もシングルで聞いた時にいい曲だと思ったが、アルバムの中に実によく馴染んでいて、あらためてこの流れ中で聞くと、歌詞の良さも再発見できたりして。
いや、名盤。しばらくこればっかり聞いてりゃいいぐらい。

テンションが上がったので、カラオケでcero歌いたいな〜と思って、ひとりカラオケ行ったら、JOYSOUNDには「Yellow Magus」すら入ってなくて、愕然とした。早く入れてくれ〜。