「海街diary」
2015年、今年は邦画の当たり年?
当たりが多いかハズレも多いのかはともかく、個人的には今年は比較的邦画をよく観るようになっているし、下半期もわりと観ることになるだろうと思う。
それもそのはずで、園子温監督作が続々控えているからであり、すでに「TOKYO TRIBE」と「新宿スワン」を観ているのに、来週には「ラブ&ピース」、来月には「リアル鬼ごっこ」、さらに9月には「みんなエスパーだよ!」と、それだけでも5本観ることになる。
なんで、その勢いもあって、今年を邦画の当たり年と決めて…(そういえば今年最初に観た映画も「百円の恋」だったし。)「海街diary」も観てみたりして。
本来なら、テレビ局主導で少女漫画が原作で今をときめく若手女優が勢揃い…なんて触れ込みだと、スルーするはずだったが、原作が漫画とはいっても吉田秋生だし、監督も是枝監督だし…実はかなりいい前評判も耳にして気にはなっていたのだった。
仕事でこの「海街diary」に関連したレシピ本をやった時に、鎌倉という土地のその風景と生活環境に興味が出てきて、GWに鎌倉〜湘南に小旅行に行ったばかり。おかげで見たことある景色がどんどん作中で映し出されて、なんかこの映画のために予習しに行ったみたい。
たしかに景色は美しく、季節感も感じられるストーリー構成になっており、鎌倉という土地が舞台でなければ成立しない物語で、そこはきっちり押さえられている。
女優陣もみな美しく魅力的に撮られており、是枝監督は女優を撮らせたら最高の監督だという評価もあるのだとか。
普通なら「こんな美人揃いの姉妹なんかリアリティないわ!」とツッコみたくもなるのだが、3+1姉妹とはいえ、それぞれ個性が大きく異なっていて、それにまたピッタリのキャスティングなので、ひとりひとりが際立つし、さらにその長女と次女、次女と三女、三女と四女、長女と四女…など、その関係性の中でどういう性格なのかが分かるようなキャラクター配置になっているため、くどい説明がなくても、すんなりそれぞれの魅力が伝わってくる。このあたりはもともとの原作のキャラ造形の上手さか?
物語は三姉妹の腹違いの妹であるすずを中心に展開するのだが、ひとりの主人公の行動を追って行くという話運びではなく、それぞれのキャラクターのいろんな組み合わせでの各エピソードのシーンを繋ぎ合わせることで、作品世界全体を作り上げていくという感じ。
とにかくキャスティングはほぼ完璧じゃないだろうか。
四女・浅野すず役の広瀬すずは初々しいし、香田家長女・幸役の綾瀬はるかは凛としてしっかり者だが脆いところも見えるし、次女・佳乃役の長澤まさみは奔放で気が強くてエロいし、三女・千佳役の夏帆は暢気でちょっと変わり者…ちゃんとそう見えるよ。しかもこの四人が和気藹々、喧々諤々やってるところが微笑ましく、ほんとに姉妹に見えるし、実在感ある。
…なんだフジテレビ映画だって、ちゃんと役に合ったキャスティングで、やればできるんじゃない。
登場人物の男性陣も個性的だが、みんないい人で安心して観れる。リリー・フランキー、堤真一、加瀬亮、鈴木亮平など、今旬の役者を豪華に投入しているのに(レキシの池ちゃんまで!!!)、ちゃんとキャラクターに合った起用。
脇も樹木希林や風吹ジュン、大竹しのぶで固められちゃったらこの作品の中に、芝居の出来ないアイドル俳優など入り込む隙は無いだろう。
芝居の安定感、監督の確かな力量。へんに泣かせにかかる過剰な演出などなく、淡々としたトーン。説明過多に陥ることなく、でもきちんと登場人物の感情の動きは伝わる演出。
心穏やかなままで自然に各キャラクターに共感を寄せることができた。
余計な先入観も払拭されて、素直にいい映画観たと思えたな〜。
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