「2017年正月、香港にて。」

「粋な夜電波」第294回は、実質年明け一回目、しかも生放送。
お正月休みに香港へ行かれた時の土産話をされた部分を文字起こししてみました。
番組企画イベント「リアルジャズバー〈菊〉」のチケット発売も、番組オンエア開始と同時に発売されました。しかし、人気のあまり即ソールドアウトということで…残念ながらチケット取れず。ぜひ第2回以降の開催も検討していただきたいです。

え〜…「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの…そして、まあ…今年は酉年ですんで、やはり年間を通じてですね、ケンタッキーフライドチキン並びに鳥貴族さんには、全商品を半額にしていただき、そしてですね…「前年より売上額が倍になる、というような事が起こればいいのにな。ついでに、橋本マナミさんはもう『不倫したい人』とか『エロい』とか、そういうのは一切やめていただいて、子供番組で歌のおねえさんになればいいのに。」と思ってやまない、菊地成孔が…TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
今週は生放送です。

(中略)

現在、私…正月に香港に行っておりまして、香港風邪をひきましてですね。「ホンコンかぜ」って言葉も昭和の言葉ですけどね。喉頭炎を患っておりまして、少し低めの声になっておりますけども(笑)。大きな声を出すとね、そのまま…マイルスと同じことになっちゃいますんで。今日はものすごいロートーンで番組を一時間進めさせていただくことになっております。
「なっております。」って、自分でそうなったんですけども(笑)。

(中略)

ま、あの…香港に行っておりまして。
そうですね、痛感した事と言えば…ま、香港にね、何しに行ったかと言えば…正月から。
ま、革命の状況ですよね。雨傘運動以降の香港の革命はどうなっているのか?って思って、香港にうかがったんですが。
え〜…ガイドに載っている「ここは美味い!」という、どの店に入っても、もう東京のほうが美味いんで。
東京デカダン…「東京グルメデカダン」とワタシ勝手に呼んでますけど。
もう世界の何処に行っても、何食っても、東京が一番美味いんで。ガックリしてしまうっていう(笑)。
早く帰って近所の中華料理屋で餃子食いてえなって思ってしまった…というような顛末でございますが。

(中略)

ま…でも、デカダンは味わいましたよ、ほんとに。
「添好運(ティンホウワン)」っつてね、「香港に行こうとしたら絶対にここに行け!」って言われる飲茶屋があるんですよ。飲茶屋なんてね、掃いて捨てるほどあるんですよ、香港はね。
でも「『添好運(ティンホウワン)』行け。」と必ず書いてあります。なぜならミシュラン星付きで、最も安く大衆的に食べられる店」だということなんで、なんですかね…コスパで考えた時に一番いいって事なんでしょうね。
でも、あんまり日本人の方いませんでしたけど。そもそも正月に香港で過ごそうって日本の方、あんまりいないと思うんですけども。
で、「添好運」…行ってみたんですよ。ま…美味しかったですよ。美味しかったですけど、水道通り沿いにある「鍋家(コウヤ)」と変わりませんでしたからね、あんまりね(笑)。「鍋家」の方が美味いんじゃないかな?と思うぐらいでしたけども。
ま…それはともかく。
相席になるんですよ、やっぱり。ああいうエネルギッシュな街ではね、もう相席なんか当たり前で。
で…向かいに座ったね…人が、相当変わった方が(笑)…やっぱ香港ってのは、ワタシも一時期「ソウル病」と言いましょうか…明洞に行きつけで、すっかり香港やバンコクにお見限りって時期があったんですけど。ソウルばっかり行っちゃって。
香港はね…一時期よく行ってたんですよね。久しぶりに行ったんですけど、やっぱ変わんない…革命は起こんないなっていう気はしましたけどね(笑)。それはともかく、面白い人がいることは変わんないんですよね。
コンバット風の格好でね、なんての…ランボーみたいな格好してるんですよ。軍式のチョッキにTシャツみたいな感じで。髪型も…狼カットっていうんですかね(笑)…ランボーみたいな髪型してるんですけど。
手に…それを握り締めて入って来たんですけど。
何を握り締めて入って来たかわかります?…銃とかじゃないですよ。サバイバルナイフとかでもないですよ。何だと思います?
生野菜なんですね(笑)。生野菜のね…サラダが作れるさ…ビニールでパックされたさ…自宅でサラダが作れるセットみたいなのあるじゃないですか。スーパーマーケットで売ってるやつね。あれをね、持って入って来たの。
こう…健康を考えてるんでしょうね。飲茶だけじゃ野菜が足りない!って。そりゃあ、飲茶に生野菜なんか無いですからね(笑)。
スゴかったですよ、ほんとに。ガンッ!って座って、まず自分の席のとこに、外から…ま、明らかに持ち込みですけど、生野菜のパックをバンッ!って置いたの。
で、目の前にフィンガーボウルがあるんですよね。やっぱ飲茶は手で触っちゃったりする物もあるんで。
そのね…フィンガーボウルと、あと飲茶ですから一人一人お茶が入ったポットがあって、空になったらおかわりできるわけですよね。ま…中国茶が入ってるわけですけど。
で、いきなりね…そのボウルにね、ポットのお茶を全部ドボドボドボ…って入れたの。
だから…一気飲みすんのかな?って思って(笑)、すごい楽しみに見てたんですけど。そんなに…ワタシが考えるほど、つまんない事じゃなくて、もっと面白い事が起きるんですけどね、香港なんかだと。
ドボドボドボ…って全部お湯に入れて、どうしたと思います?…クイズ2問目ですけどね。
箸、それから醤油だの何だのを…ほんとはね、飲茶ってのは醤油なんか付けちゃいけないんですよ。「日本の奴らはハーガウに醤油付けやがる。」なんて言われるんですよね。ハーガウってのは海老蒸し餃子ことですけどね。飲茶の王道ですよね。あれはもうそのまま食わなきゃいけないん…ですけど、いちおう置いてあります、もう観光食堂でもあるんで。
その…箸、小皿、醤油などの…広東弁ではオテショとかいうんですけどね、そういった物を全部、そのドボドボって注いだ湯呑みの中に投げ込んで、洗ったんですよね。潔癖症だったの。
潔癖症ランボー(笑)…がですね、生野菜を食いながら…ムシャムシャ!…生野菜→飲茶、生野菜→飲茶!っていうね、往復。餃子一個食っては生野菜を食ってってことを交換(笑)。しかも自分で洗った…食器は全部自分で洗って。
しかもですね、マイ箸を持ってたんですね。カバンの中からマイ箸を取り出して、マイ箸で食って(笑)。すごいマイペースな人だな…って思って(笑)。
その人がワタシの目の前に座ったんで。それは楽しかったですけどね。はい。

Letieres Leite & Orkestra Rumpilezz

Letieres Leite & Orkestra Rumpilezz

プエルト・リコのボレーロ姫

プエルト・リコのボレーロ姫