「なんて甘えたヤツなんだ!」

「粋な夜電波」第383回放送はフリースタイル。ゆるいトークと最高の音楽。
「アルバム丸々全部いい曲特集」ともいえる、充実の内容の回。
番組前半のトークの一部を文字起こししてみました。

VENTRILOQUISM

VENTRILOQUISM

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの、しかも妥協無き男…(笑)。薬は糖衣錠、カプセル錠のみならず、粉薬まで水無しで飲める、菊地成孔が…(笑)TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
まあ…水で飲もう…薬を水で飲むなんてのはね、甘えですよね(笑)。唾で飲まないと。やっぱり。ええ。
そうですね、ワタシなんか糖衣錠だったら唾で何錠でも…ひと瓶飲めちゃいますよね(笑)。そんな飲む必要無いわけですけども。
なんか最近世の中そんな…ここ20年とかじゃなくて10年とか5年ぐらいだと思うんですけど、もう…甘えん坊が勝ち組になる世界ですよね。
だって…ま、アタシなんかガキの頃から仕込まれてましたからね。「薬は水で飲むもんじゃねえ!」って言われて(笑)…「唾で飲むもんだ!」って。もう一所懸命ね、ゴフゴフ言いながら…龍角散とか唾で飲んでたりしたんですけど。
あの…何年前かな、医者の投薬…何だあれ?…調剤薬局に行ったら、おばさん…っていうかね、お母さまがね、ゴネてんですよ。どのぐらいの年齢だったのかな…自分の年齢が年齢不詳なんで、人のもわかんないんだけど。
とにかく薬が苦いのが嫌だから、「この薬、苦いですか?」って薬剤師さんに訊いてて。
「あー…それはちょっと苦いかもしれませんね。」
「あの…私、苦いのが飲めないんで!」っつって。
いや、「そりゃ『良薬口に苦し』って言うでしょう!」…って思ったんですけど。
その…「とにかく苦いのが飲めないんで。」…で、「ああ…。」っつって薬剤師さん困ってるんですよ。
「どのぐらい苦いですか?」っつって。「これは苦いですか?」…10種類ぐらい薬出てるんだけど、「これとこれ、どっちが苦いですか?」って始まっちゃって。
ちょっとメンタルが破裂した方かな?と思って楽しみに見てたんですけど、どうやらそうじゃなくて、単なる甘えん坊なんですよね。
そいで、その方が言ってたの。「なんか…薬をね、飲むときに…オブラートみたいなのあるじゃないですか。「あ、オブラートはあります。オブラートあります。」「いや、オブラートはダメなんですよね。オブラートじゃなくて、もっと美味しいゼリーみたいな…甘くて美味しくスッと飲めるゼリーみたいなのがありませんかね?」って、言い出して。
「なんて甘えたヤツだ!」…と思って(笑)。
「なんて甘え腐ったおばさんだ!」って思ってですね。
「昭和の銚子では龍角散飲むのにも水もお茶ももらえなかったんだぞ!」…って思って。うちだけですかね?…憤慨したんですけど(笑)。
何て甘えたヤツだ!…と思ったら、商品化されてメチャ売れてますからね、今ね。

もうちょっと前のね、料亭なんか行くとね、デジタルカメラで写真撮ると、大将が出てきて「写真撮んじゃねえ!」とか言って、バーンと追い出す大将が普通ぐらいで。少しジェントルな大将だと、「ま、お客さん。撮るのは構わないけど、ひと言掛けて下さいよ。」っていうのが普通で。
そんでもね、「いやぁ、ボクのカメラだから…ボクが発信するのは自由じゃないですか!」みたいな感じがいて、「なんて甘えたヤツだ!」って思ってたんですけど(笑)。
今、もう店のほうで「はい、写真どうぞ。」っていうね。結婚式の花嫁さんだとかの模様替えみたいになっちゃって。一皿一皿が。「さあ、写真撮ってくださいよ。」みたいなね。
まあまあ…フランス料理でプリザンテっつーんですけど、「これからこの鴨を焼きますよ。」とか「この鯛焼きますよ。」とかつって、調理する前に食材見せてから、引っ込めて…焼いてからまた出すっていうこともありますから、まあ…中世から、もしカメラがあったら、そん時にパシャパシャッて写真撮る時間なんでしょうけどね。プリザンテはね。
だけどそれにしても、もう今「写真撮らせないの?」って感じじゃないですか。「えっ!撮ったらダメなの?」みたいな世界ですよね。なんて甘えた世界なんでしょうね(笑)。
最近…やっぱり…若いミュージシャンとかとね、付き合いがあるじゃないですか。先週出てくれたODなんて、アタシの23下ですからね。下手したら…下手しなくても親子の年齢差ですよね。で…ODよりももっと若いミュージシャンとかもつるむんですけども。
カフェで3人で行って、2人は注文するけど、1人は注文しない…ってのが、まかり通ってるらしいですよね。
それはどうなの?…って思うんですけど。もうその事に憤慨してるのは古いらしいですよ。
この話したな、前。カットされたっけ?…もうあんま憶えてないですけど。
実際パリのカフェなんか行くと、何にも頼まずに座ったままの人がいるんですよ。
だから本来それでいいんだって言われたら、それっきりなんですけど。
ま…二重売りになったら申し訳ないですけど、「なんて甘えたヤツなんだ!」って感じですよね、とにかく(笑)。
で、頼まないで…ね、要するに何にも頼まないで座ってる人に聞いたんだって。「なんで頼まないんですか。何しにカフェに来てるんでしょうか。」っつったら、「雰囲気を楽しむため」ってのが1位で(笑)。2位は「友達が頼んだ物を少しずつ貰うため」っていう理由だったらしいんですけど(笑)…どうですか、これ。なんて甘えたヤツなんだって思いますよね。
まあでも…勝てば官軍ですからね。みなさん、どんどん甘えていきましょうね。
どのぐらい甘えれば、甘え倒せるんでしょうね。
「知らない間に再放送していた」…ってのは、どうでしょうね。で、「ギャラは貰う」っていうね(笑)。「甘えんのもいい加減にしろ!」っていうね。
「あんまり今回面白い曲とか面白い話が思いつかなかったんで、あの日…えーと、3年前のあれが面白かったんで、ちょっと流しといてもらえますか。」っつって、まかり通るってことですよ。
要するに、どんどん甘えていくってことが許され続けるってのはね。だと思いますよ。
あるいは、このままこの番組を…なんか適当に壊れるがままに、ニッポン放送でやる…ってことですよね。甘えもいいとこですよね(笑)。契約もへったくれもないんですから。
「いや、ちょっと…たまにはニッポン放送でやりたくて。ダメですか?」みたいな感じだと思いますけどね。そのうち、「そのことに目くじら立ててるやつがおかしい。」みたいなことになってって(笑)。
赤ちゃん世界ですよね。ベイビーワールドが待ってるわけですけども。
まあね、「来たるべきベイビーワールドまで…あと2年!」って感じなのか、よくわかりませんけども(笑)。「赤ちゃんオリンピック」ですよね。「金メダルの赤ちゃん」みたいな感じだと思いますけどね。「ローズマリーの赤ちゃん」みたいな感じだと思いますけども。
まあ…だんだん自分でも何言ってるか…フリースタイルだとね。

Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)

Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)