【CD】ホントのきもち/矢野顕子

ホントのきもち

ホントのきもち

本作はくるりの岸田が作詞作曲に関わり、数曲プロデュースもしているというので、ぜひ聴いてみたいと思っていた。
結果からいうとこのコラボレーションは大正解だと思う。
矢野顕子という人は、その多彩な表現力で振幅の大きいヴァイブを与え、曲の力を無限に引き出せる凄い人だ。と同時に、その声には、童謡だろうがヒット曲のカバーだろうが「何歌っても矢野顕子」になってしまうという、強烈なオリジナリティがある。
最初は「くるりの新曲・フィーチャリング矢野顕子」のようなつもりで聴いていた。もちろん随所に岸田ならではのメロディライン、バックのサウンドは感じられ、それは矢野顕子の新しい魅力を引き出している。
しかしだんだんと、岸田繁特有の複雑多様性をはらんだ曲のニュアンスを解釈し、さらに増幅するその力量に圧倒されていった。
聴きどころはヴァージョン違いで収められている「Night Train Home」。構築された音像によって景色を浮かび上がらせるヴァージョンと、それをピアノ1台で表現してしまうアコースティック・ ヴァージョンのふたつを聴き比べると、彼女の凄さがよくわかる。
このコラボレーションは是非続けてもらいたいなあ。