「菊地意訳『ロスト・スターズ』」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」、記念すべき第200回放送は、シーズン8の最終回。
恒例のリクエスト特集…ではなく、緊急企画。2013年11月に一度やって、かなり好評だったという1曲の歌詞を日本語訳していきながらじっくり味わうという企画。前回はフランク・オーシャンの「Super Rich Kids」でしたが、今回とりあげたのは現在公開中の映画「はじまりのうた」の主題歌である、アダム・レヴィーンの「Last Stars」。
菊地先生も涙が止まらなかったというこの映画を紹介した部分は、みやーんZZさんの書き起こしでお読みいただけます。
その後の実際に訳していった過程を文字起こししてみました。
(この翻訳企画、素晴らしい内容ですし大好きなのですが、文字起こしがどえらい大変です。あまり頻繁にやっていただけると困ります(笑)。)
なぜ、シーズンの最終回にこの企画?とも思いましたが、番組最後のメッセージが胸に沁みました。こういう企画を楽しんでもらいながら、真摯なメッセージはそっと添える程度…という、この粋さ!
この番組がずっと続いてくれることを願ってやみません。

はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

さて…ま、パッと聞き、いい曲ですよね。
どっちを使ってやっていこうかな。時間大丈夫かな、これ。いけるだろうか。ま、いけるとこまでいきましょう。
アダム・レヴィーンは声いいですけど、ちょっと聴き疲れするんで、やわらかいキーラ・ナイトレイ版でやっていきましょうか。
まず「ロスト・スターズ」…全部カタカナで進めますね、いちおうね。
「ロスト・スターズ」…これはまあ何ていうか、「ラスト・スターズ」とかですね、いろんな含意っていうか、連合的な言葉を呼んできそうな言葉ですけど。
「星がロストしてる」わけですね。まあ、失われた星でもいいんですけど、ここでの「ロスト」は何を失っているかっていうと、正確な軌道…星の。「軌道を失っている」っていう意味なんですよ。
なんで「ロスト・スターズ」ってのは、「正確な軌道を失ってしまった」っていうことで、これのサントラだとかいろんな字幕…等々ではですね、「さまよえる星」って訳されているんですけど。ま、とにかく軌道を失っているわけですね、「ロスト・スターズ」はね。星たち…ですよね。
「プリーズ・ドント・シー、ジャスト・ア・ガール…」、この「ガール」の部分はもちろん、アダム・レヴィーン版では「ボーイ」になるわけですけども。
「Please don't see just a boy caught up in dreams and fantasies」、カタカナで言うと「プリーズ・ドント・シー、ジャスト・ア・ガール・コート・アップ・イン…」。「caught」は「catch =捕まえる」の過去分詞ですね。「…アップ・イン・ドリームズ・アンド・ファンタジーズ」。一節としてそのまま直訳すれば、「夢や空想から目覚めない女の子だっていうふうに見ないでほしい。」ってことですね。
2行目はそれに対するアンサーになります。
「プリーズ・シー・ミー、リーチング・アウト・フォー・サムワン・アイ・キャント・シー」…この1回目の「Please don't see 〜」は「そう見なさないでくれ」っていう傾向が強いのに対して、次の「Please see me 〜」…「私を見てくれ」っていう。
だから、まあ…「私を見て」=「Please see me」で一回切れて、「reaching out for someone I can't see」ですから、手を差し伸べてるわけですよね。誰に差し伸べてるかというと、「someone I can't see」だから、「まだ出会えてない誰かに」っていう。まだ出会えていない何者かに、自分は手を伸ばしているんだ、と。
「夢や空想から目覚められないでいる女の子だって思わないでほしい。私はただ、未だ見ぬ誰かに手を差し伸べているところだっていうのを、見てくれ。」っていう感じですね、ニュアンスとしては。おそらくですけど。
で、この後…
「Take my hand 〜」この「ハンド」はその1行前に出てきた「reaching」と掛かってるわけですよね。「手を出している」わけですから。差し伸べているわけですから。この手を握って欲しいわけです。「Take my hand」ですから。「その手を取って」。
その後…
これもね、カタカナで言ったほうがわかると思うんですけど。「レッツ・シー・ホエア・ウィー・ウェイク・アップ・トゥモロー」…つまり「let's see」ですから、「さあ、見ましょう」と。「where we wake up tomorrow」=「どこで我々が目覚めるか」っていうことですね。
だから、その会えない誰かに差し伸べた手を、まず取ってくれ、と。「この手を取って」、「明日二人が何処で目覚めるか」を「一緒に見よう」ってことですから。
なので、まあ…訳としてはですね。「この手を取って、明日は二人何処で目覚めるかしら。」
次…
「Best laid plans」ってのは「Best plans」のあいだに「laid」が入ってます。「ベスト・プランズ」は「最高の計画」…完璧なプラン、ね。で、「laid」ってのは「風呂敷を広げる」って日本語で言いますよね、「大風呂敷を広げる」。「laid plans」は「長期的なプラン」のことなんですよ。
ここが…ここもう訳せないですね。「完璧な計画も」って訳されると思います。歌詞カード、字幕平均で言うと。
「Best laid plans」は…要するにね、英語のほうが情報が畳み込まれてるってことが言いたいんですけど(笑)。
こう…まあ、長期的な展望…いろいろあるでしょうね。その…二人で子供を作って一緒に老いていこうってのも長いプランですし、それほど長くなくても、一週間一緒にバカンスで小旅行に行こうとか、そういう「laid plan」ってのは、長いプランですよね。一瞬のことじゃなくて。
それが…
「Best laid plans sometimes are just a one night stand」…「サムタイムズ・アー・ジャスト・ア・ワン・ナイト・スタンド」っつってるんですよ。
というのは、「時折」…「ジャスト・ア・ワン・ナイト・スタンド」…つまり、長く完璧なプランを立てたものの、それが「一夜限りで終わってしまうこともあるよね」ってことです。
で、次…
「I'd be damned Cupid's 〜」、「Cupids」…「キューピッド」が複数形で「キューピッズ」ってのも、なかなか聞かないですから。
これはですね、「D・A・M・N・E・D」…「ダムンド」、「I'd be damned」の「damned」とキューピッズの「demanding」…「D・E・M・A・N・D」、「A」か「E」かの違いで…要するに中韻を踏んでるんですけど。「damned」と「demanding」。
「demanding back」ってのは「全部戻せ」ってことなんですね。
で、「Cupids」が「demanding back his arrow」…「arrow」が、さっきの「tomorrow」と韻を踏んでんの。「let's see where we wake up tomorrow」に「back his arrow」っていうふうに掛かってるわけですね。
ま、その前に「I'd be damned」があります。「I'd be damned」は「Fxxk」とは言いませんけど、「なんてこった!」っていうようなことですよね。「えー、なんてこった。」キューピッドが…「天使が『全部の矢を返せ』って言ってるよ」ってね。
「So let's get drunk on our tears and」…「ソー・レッツ・ゲット・ドランク・オン・アワ・ティアーズ」ですから、「ソー・レッツ・ゲット・ドランク」、これはまあ…「酔っぱらいましょう」ってことですよね。
で、「オン・アワ・ティアーズ」…「我々の涙」ですよね。「on our tears」…この「on」が重要で、後節…後ろになってですね、「in our tears」が出てくるので、ここは訳し分けないといけないです、ほんとは。
まあ…そんな細かい事は、そういう仕事に従事されてる方をディスってるんでもなんでもなくて、あの…仕方ないんですけど、訳し分けられないんですけど、訳し分けるべきなんですよね。
ここでね、「on our tears」ってのは、慣用句として「So let's get drunk on our tears」…一緒にね、「酔っ払って、泣きましょう」っていうふうに…ニュアンスで、訳されたり捉えたりされがちなんですけど。
これはまず「一緒に酔おう、酔っ払おう」ってことを言い切った後で、「on our tears」ですから、「我々の涙によって」ってことで、酒じゃないんだっていう。涙を飲んで、それによって酔っ払うんだってニュアンスがちょっと入ってるところを、超訳したいですよね。
「一緒に酔おう、僕らの涙で」ってのが超訳ですよね。ま、まあ…超訳ってほどでもないですけど。詩的訳だと思いますね。
この後、詩の文節とメロディの文節と違ってて、続いてます。
「tears and God, 〜」ってなってて、「and God」は言うまでもなく「神様」ですよね。で、この「and God」はもう次の行に入ってるんですよね。
…少し長めに聞きましょう。
「アンド・ゴッド・テル・アス・ザ・リーズン」…「youth is wasted on the young」ですね。「アンド・ゴッド・テル・アス・ザ・リーズン」=「神様、理由を教えてほしい」…ね。その後にね…
ここ早口になります。「ユース・イズ・ウェイスティッド・オン・ザ・ヤング」…「the young」ね。
「wasted」は、もう…何ていうか「意味が無い、無価値化される」ってことですね。
これはね…「神様、理由を教えて」…歌詞カードだと「青春が過ぎ去っていく」って書いてあるんですよ。それでいいです、全然。
ですけど、ここはもうちょっと複雑な言い方になってて、「youth is wasted on the young」になってますから、「神様、なんで若い間に…」、要するに「on the young」ですから、若者の中で「youth」=「若さ」が「無価値化してしまうんでしょう」…「wasted」ですから。
「私は若者なのに、若さっていう価値が崩れ去っていきます」っていうことなんですよ。グリグリに訳せば。それを「神様、理由を教えて。青春が過ぎ去っていく」って訳すのは、石持て追うことではありませんが、ま…そういうニュアンスがあるのだ、ということで次いきますね。
はい、ここ同じメロディですけど…
「It's hunting season 〜」…「ハントゥン」っつってますからわかりにくいですけど、「ハンティング」ですね。「狩り」です、狩り。狩りのシーズンになると、どうなるかっていうと…
「and the lambs are on the run」…これも早口です。「アンド・ザ・ラムス・オン・ザ・ラン」っつってますね。
これは「lamb」と「run」が掛かってて(笑)。「lamb」は「子羊」です。ラムのことですよ、ラム肉。
「狩りのシーズンになると、子羊は走り回り」…
「Searching for meaning」=「意味を探し出す」ね、意味をサーチし始めるんだ、と。ま…子羊は狩りのシーズンになれば、狩られて殺されるわけですから、走り回りながら意味を…その何故こうなるのかっていう意味を「探しだすの。その理由を…」、全部掛かってるわけです。最初の「and God, tell us the reason」に。「神様教えて」って。
「若いまま、私の若さは意味を失っていき、狩りのシーズンになると、子羊は走り回って、自分たちの生きる意味を探し始める。どうしてなのか、教えてください。」
「But are we all lost stars, trying to light up the dark?」…「バット・アー・ウィー・オール・ロスト・スターズ、トライング・トゥ・ライト・アップ・ザ・ダーク」ですから、「私達はみんな、さまよう星なのだろうか。」
どうしてかっていうと、「trying to light up the dark」…「暗闇を照らそうとする」わけ。
自分の軌道を外れてるわけだから、この星は。なんで、そこの暗闇は自分の管轄じゃないわけですよね。で、その自分の管轄じゃないところまで照らそうとするわけ。それほど「我々はさまよう星なのか?」っていう。
ここはやっぱり「lost stars」で、「trying to light up the dark」ですから、光を灯す…灯せるはずもない場所を、光を灯そうとしている「さまよう星なんだろうか?」って、神様に訊いてるわけですね。


え〜…2番もこの調子で進んでいきます。
「Who are we?」=「私達は何者なんだろうか?」
「Just a speck of dust within the galaxy?」…「銀河の中の〜」、「within」含まれる…ま、散らばってるって感じですけど。「Just a speck of dust」…これは「スターダスト=星屑」って言葉がきれいですよね。慣用句的に「スターダスト」って言葉のきれいさを卑しめてるんですね。
「speck of dust」「Just a speck of dust」…「スペック」はまあ…今、日用語になってて、「効能書」みたいな意味で、性能みたいな意味でスペックって言いますけど、これはもうちょっと…「能書き」みたいな感じで、単なる…まあ、「ジャスト・ア・スペック」ですよね。「スペック・オブ・ダスト」…「意味のない小さい塵みたいなもんだ」っていう。「銀河の中に散ってる」。
「Who are we? 〜」…「私達は何者なの? 銀河の中に散ってる、意味の無い屑だ」と。
で、次に「Woe is me. 」この「フー」が、発音記号的にはまったく同じなんですけど、「W・H・O」ではなくて「W・O・E」ってのがあるんですよ。この「W・O・E」の「フー」ってのが…
この次…「ウォウ〜」みたいな感じですけど、「フゥ〜」ですね。
これはですね、「woe」は「悲嘆、哀しみ」です。「W・O・E」は。なので「Woe is me」ってのは、「私こそが哀しみなんです」って言ってるんですね。
で、これは前の「Who are we?」=「我々は何者なんだろうか。私達は何者なの?」ってのに対して、ま…ちょっと洒落た表現ですね。「Woe is me. 」=「私は悲嘆そのものである」と。
「if we're not careful turns into reality」…「油断していると、それは現実になってしまうんだ」と。
こっから先も「Don't you dare let our best memories bring you sorrow」…また、「tomorrow」「arrow」に掛かって「sorrow」=「悲しみ」が出てくるんですけど。
「ドンチュー・デア」=「潰さないでくれ」…ね。「レット・アワー・ベスト・メモリーズ」…「ウチらの一番いい思い出を悲しみに変えてしまわないでくれ」。これは悲しみに変えてしまいそうだから、ですね。
「Yesterday I saw a lion kiss a deer」…「deer」は雌の…、あ、「lion」は「ライオン」ね。「deer」は雌の鹿なんですけど、なぜか…あらゆる翻訳がここを「バンビ」ってなってんですよね(笑)
「kiss a deer」ってのは「バンビがライオンにキスする」…つまりその…食物連鎖っていうか、肉食・草食、食うもん・食われるもんっていう掟の中はまあ…ありえない。童話みたいな感じですよね。
「昨日それを見た」って言うわけ。昨日僕は…アタシは、「バンビにキスするライオンを見たんだ」というくだりがありまして。
「Turn the page」=「ページをめくると」…
ここ聞き取れますよね。「ターン・ザ・ページ・メイビー・ウィル・ファインド・ア・ブランニュー・エンディング」=「ページをめくれば、新しい結末を見るかもしれない」。
「Where we're dancing in our tears and God 〜」と、こうなるわけですけど。
「ウィー・アー・ダンシング」…今度は、さっき言ってた「in our tears」なんですよ。「ダンシング・イン」っつってますよね。「in our tears」。
さっきは「drunk on our tears」、こっちは「dancing in our tears」。同じ「our tears」ですけど、こっちは「in」なんで、「dancing in our tears」…「涙に濡れて踊ってる」っていう、一般的な物の言い方でいいと思いますね。
これはまあ…「ページをめくって出会う新しい…」…「brand new ending」でしょう、これが。…ね。
だから、実際涙に濡れるもなんも、一緒に踊ってないんですよ。これ…別れてしまうんだけども、ページをめくればね、「最高の思い出を悲しみに変えないでくれ」と。「バンビにキスするライオンですら見たんだ」と。「ページをめくれば新しい結末に出会うかもしれないじゃないか」。
「涙に濡れて…でも一緒に我々は踊っているかもね」と。「〜しれないよね」っていう、エンディングに対する示唆ですよね。
この後、サビは繰り返しになりまして、こっから…
この後に新しいパートが付くんですね。
「I thought I saw you out there crying」…「I thought I saw」これはポップソングにはやたら出てくる表現ですけども。「I thought I saw」…まあ、シャレになってますからね。
「I thought」は「気がした」、「I saw」は「見た」ですから。
「you out there crying」…「out there」がすごい重要ですね。「外で泣いて」んの。
「I thought I saw you out there crying」なので、「私はあなたが外で泣いているのを見た気がした」っていうのがね。
「I thought I heard you call my name」…これも次は「heard」になって、「I thought I heard you call my name」=「泣きながら、私の名前を呼んでる気がした」のだと。外で…「あなたが外に出て泣き、私の名前を呼んでる気がした」。
次に「I thought I heard you out there crying. But just the same」…「ジャスト・ザ・セイム」に続きますけども。
最後の3行目は「I thought I heard you out there crying」…今度は、1行目が「saw」だったのに対して「heard」になってるんで、「聞こえた」んだと。さっきのは「見えた」んだと。「you out there crying」は一緒なんですね。
ここね。「But just the same」…3行が連詩っていうか連句になってて、「あなたが外で泣いているのを見た気がした。その中であなたが私の名前を呼んでる気がした。さらに言うと、あなたの泣き声がはっきりと聞こえた気がした」と。
で、最後に「But just the same」…「だけど」、「ジャスト・ザ・セイム」ってとこなんですよ。ここが意訳・超訳のしどころでもあるし、逆に直訳のしどころでもあるんですよね。ここはいいとこだと思うんですよ。この詞の何番目かにいいとこだと思うんですけど。
これも字幕、歌詞カード…ごめんなさいね、ほんとに(笑)。字幕と歌詞カード担当された方は、ワタシよりずっと英語力がある、すごい優れた方でリスペクトしてるって前提でしゃべってるんですけど。
あの…やっぱお仕事柄というかね、これはその…そういうことがあっても、「でも、何も変わってないよ。」っていうふうに訳さざるを得ないですよね。そのぐらいがリアルタイムで流れていった時の上限でしょう。
ただ、これは「just the same」ってのは、今言った三つ…「外で泣いてる」絵、「自分の名前が呼ばれている」という音、そしてその「鳴き声」…外から聞こえてくる「crying」…この三つが同じものだ…というところが、ここの白眉ですよね。いくつか白眉が出てきますけどね。
これは、英語平均の中でも、だいぶいい詩だと思います。
名作詞作曲だと思うんですよね。ええ。
…とまあ、「ロスト・スターズ」というタイトルの意味から含めて、シンプルなラブソングですけど、英語ってのは韻を踏んだりね、ちょっとした単語の違いでターニングを作ったりツイストさせたりするっていう意味で、ポップスの歌詞はほんと素晴らしいですよね。
だから「いいな〜」って思うと、詩もいい!ってことなんですよね(笑)。


それではあらためて、全部含めたうえで、アダム・レヴィーン版…これは映画の…あんまり言っちゃうとネタバレになっちゃいますけどね。
キーラ・ナイトレイ版の方がいいじゃないか!」っていう男性リスナーの方もいるかもしれませんけども。
一番最後に全部…菊地意訳ですよ。菊地意訳ですから当然これ、間違いも超訳もあると思います。
英語に堪能な方の御指摘をいただけると、ほんとに嬉しいと思います。
それと合わせて聞いていただきたいと思います。
映画「はじまりのうた」の主題歌ですね。「Lost Stars」、アダム・レヴィーン版で聞いていただきたいと思います。



Please don't see just a boy caught up in dreams and fantasies
「見つめないでくれ。夢や空想から逃れられない少年じゃないんだ。」
Please see me reaching out for someone I can't see
「よく見てくれ。未だ見ぬ誰かに手を差し伸べてるだけなんだよ。」
Take my hand let's see where we wake up tomorrow
「この手を取って。明日は何処で目覚めるのだろうか。」
Best laid plans sometimes are just a one night stand
「完璧なプランが一夜限りで終わってしまうこともあるよね。」
I'd be damned Cupid's demanding back his arrow
「なんてこった! 天使が矢を全部返せって言ってる。」
So let's get drunk on our tears and
「今夜は酔っ払おう。僕らの涙で。」

God, tell us the reason youth is wasted on the young
「神様、理由を教えて。若い時期が過ぎ去っていきます。」
It's hunting season and the lambs are on the run
「狩りのシーズンになると、子羊達は逃げ惑う。」
Searching for meaning
「意味を探すために。」
But are we all lost stars, trying to light up the dark?
「僕らは皆、彷徨う星なのだろうか。暗闇を照らそうとしている…」


Who are we? Just a speck of dust within the galaxy?
「僕らは何者なの? 銀河に舞い散っている無意味な屑なのだろうか。」
Woe is me. if we're not careful turns into reality
「悲しい。だって、油断しているとそれは現実になってしまう可能性があるからね。」
Don't you dare let our best memories bring you sorrow
「僕らの最高の思い出を悲しみにしてしまわないで。」
Yesterday I saw a lion kiss a deer
「昨日、ライオンが雌の鹿にキスするのを見たよ。」
Turn the page maybe we'll find a brand new ending
「ページを捲ると、そこには別のエンディングがあるかもしれない。」
Where we're dancing in our tears and
「僕らはそこで一緒に泣きながら踊っているかもしれないしさ。」


God, tell us the reason youth is wasted on the young
「神様、理由を教えてください。青春は意味を失っていきます。」
It's hunting season and the lambs are on the run
「狩りの季節に子羊達は走り回り、」
Searching for meaning
「意味を見つけようとします。」
But are we all lost stars, trying to light up the dark?
「神様、僕らは彷徨う星なのでしょうか。暗闇を照らし出そうとしてるなんて。」


I thought I saw you out there crying
「君が外で泣いてるのを見た気がしたよ。」
I thought I heard you call my name
「君が僕の名前を呼んでる気がしたよ。」
I thought I heard you out there crying
「君の泣き声が聞こえた気がしたんだ。」
Just the same
「でも、これらは全部…同じひとつのこと。僕らは何も変わっちゃいない。」


God, give us the reason youth is wasted on the young
It's hunting season and the lambs are on the run
Searching for meaning
But are we all lost stars, trying to light up the dark?
But are we all lost stars, trying to light up the dark?


Songwriters/BRISEBOIS, DANIELLE / ALEXANDER, GREGG / LASHLEY, NICK / SOUTHWOOD, NICK
Published by Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC


…はい、というわけで、4年間お送りしてまいりました「菊地成孔の粋な夜電波」。
もしあなたが自信を失い、疲れ果てて、自分や誰かを呪いそうになって、生きてく意味がわからない子羊のようになって、そして…もしそれが金曜の深夜12時近くだったら、ラジオをつけてください。
狩りの季節に子羊たちは走り逃げ惑う。その意味を探して。
言葉の意味が分かったレコードのように、もう終わったかと思い込んでいたあなたは、その時よみがえるでしょう。
来週からは9番目の季節。春から夏にかけてのあの季節がやってきます。
聞いてくれてありがとう。また来週。
お相手は菊地成孔でした。