新宿鮫。

狼花―新宿鮫〈9〉 (光文社文庫)

狼花―新宿鮫〈9〉 (光文社文庫)

なんかにわかに警察小説ブームが個人的に到来した、のか?…。
ソウルケイジ」に続いて「狼花〜新宿鮫IX」読了。
ま、これもわざわざ買ったわけではない。「ご自由にどうぞ」コーナーからもらってきた。
大沢在昌という名前は知っていたけど、作品は読んだことがなかった。
そうか、これが有名な「新宿鮫」シリーズなのか…。が、いきなり9冊目からというのも…。
しかし読み終わってみると、1巻から読まなくても別に構わなかったようだ。逆に先入観なくすんなり入れたし、初モノとして素直に楽しめた。
現実の警察組織の裏側ってどうなのかわからないけど、細かいところまで調べあげて書いているのだろう。かなりリアリティがあって、官僚機構としての警視庁と巨大犯罪組織としてのヤクザ、外国人犯罪グループの複雑な絡みがよくわかって、勉強になります!って感じ。恐ろしい世界だけど、こういうことも知っておいた方がいいのかもしれない。…鵜呑みにし過ぎなのかな。
ハードボイルド小説といえば、私立探偵が主人公というイメージが強いが、日本、特に都市を舞台にした現代劇では、警察官が主人公の方がリアルだし、いろんな葛藤を抱えた人間が描きやすいのだと思われる。
このシリーズのヒットをきっかけに、最近の警察小説ブームがあると言われているのにも納得がいく。
登場人物の魅力、プロットの面白さ、筆致のダイナミズムなど、ヒットする要素はすべて詰まっている。
残り8冊も刊行されているのだから、これからちょこちょこ読み進めてみよう。楽しみがまた増えた。