「はじまりのうた」
- アーティスト: サントラ,セシル・オーケストラ,ヘイリー・スタインフェルド
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2015/01/21
- メディア: CD
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「夜電波」で、主題歌の「ロスト・スターズ」を翻訳していくという回があって、番組中でも菊地先生が絶賛されていたので、早急に観に行かねば…とは思っていたのだが。
TCGのメンバーズカードを持っているんで、ヒューマントラストシネマ渋谷か、シネ・リーブル池袋のどちらかで観ようと思っていたけど、どちらも上映が夜の一日1回のみ。それも仕事が終わってから行くには間に合わない微妙な時間だったので、そのうちそのうち…と思っているうちに上映終了してしまった。
あわてて新宿ピカデリーの21時20分の回を観に行きました。
キーラ・ナイトレイとマーク・ラファロ主演。「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督。
といっても、「ONCE ダブリンの街角で」を観ておらず、それどころかキーラ・ナイトレイの主演作すら、ちゃんと観てないかもしれない。「夜電波」での紹介がなかったら、完全にスルーしていただろう作品。
落ちぶれた音楽プロデューサーであるダン(マーク・ラファロ)が、失意のどん底の時にたまたま入った小さなバーで、グレタ(キーラ・ナイトレイ)の歌声を聞いて、その才能に惚れこんで「一緒にレコードを作ろう」と持ちかけるが…というストーリー。
話としてはシンプルで、よくありそうな物語だが、気の効いた演出と俳優の好演もあって、せつなくてグッとくる非常にいい映画に仕上がっていた。
とにかく音楽を扱う映画は、音楽そのものが良くないと台無しになってしまうことが多いのだが。
主人公が自信なさげに歌う、その歌がちゃんと良くないと、「君には才能がある!デビューしよう!」とかセリフで言われても白々しいだけだし、「この曲がヒットしてブレイクしました!」という設定だとしても、それが本当にヒットしそうな曲じゃないと何の説得力も持たない。
その点では、この「はじまりのうた」はポップミュージックのサクセスストーリー映画として、ほぼ満点に近いのではないだろうか。
この映画は、時に日常に魔法をかけるポップミュージックの力を、本当に信じている…と感じた。
だからやっぱりこの作品は、作中の音楽を手がけた、グレッグ・アレクサンダーにつきるんだな。
(マルーン5のアダム・レヴィーンがノーギャラで出演したことで話題になったらしいから、プロモーション映画なんじゃないかとみる向きもあるかもしれないが。でも、ちょっと憎まれ役をちゃんと演じてたので逆により好感が持てる。)
元ニュー・ラディカルズ。98年の「You Get What You Give」ヒット一発で消えたと思われていた、グレッグ・アレクサンダーが、曲を提供する裏方として地道に活動していた。「Glee」での再評価も追い風となったか、今回のサントラ起用。
どうしてもダンやグレタ、彼女の元恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)ら、登場人物に彼のこれまでの音楽人生への思いが託されているような気がしてならない。
歌と演奏以外にもいいシーンはたくさんあって、弾き語りの曲を聞いているだけなのに、ダンの頭の中にアレンジのアイディアが湧いてきて、それが実際に目に見えてくるというところは、すごくいい演出だったし、ラストシーンでのダンの何か言いたいけれども言葉が出てこない時のせつない表情なんか、最高にグッとくる。
それでも映画を観ている間に涙がこぼれる…というところまではいかなかった。
あえて難を挙げるなら、「せつなくてハートウォーミングな小品」にしては、音楽が良過ぎることなんじゃないだろうか。
個人的には、この映画のいろんなシーンを思い返しながら、ヘッドフォンで「ロスト・スターズ」を聞いている独りの時が、一番泣ける。
こないだの「夜電波」の翻訳企画があったおかげで、歌詞の意味もすんなり入ってきて、より心に沁みるしなあ。
あとは…マーク・ラファロの顔を見てると、どうしても…いつかハルクに変身しそうな気がしてしまうのが難点か?(笑)。
- 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- 発売日: 2014/11/27
- メディア: DVD
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