「病床のメリークリスマス。」

先日「ダブセプテット公演延期のお知らせ」を読んで、菊地先生が今度はインフルエンザを患われたことを知り、放送が危ぶまれた「粋な夜電波」第86回。
生放送だというので、また無理して出演されるのかな?と思ったら、男性アナウンサーの方が代役で喋っていて…と思ったら、マネージャーの長沼さんでした!
菊地成孔のいない菊地成孔の粋な夜電波」。
突然の代役だというのに、落ち着いた話し方で、しかもラジオ向きのいい声(笑)。ほかにも、選曲補佐の中村さん、先日も出演されたエアプレーン・レーベルの阿部さん、交通情報の山崎景子さんも急遽スタジオに駆けつけ、夜電波ファミリーが結集して、パーソナリティ不在の放送をカバーしたという…逆に貴重な回になりました。
放送中で病床の菊地先生と電話で繋がったところを文字起こししてみました。

菊地成孔の歌唱による「ザ・クリスマス・ソング」

菊地成孔の歌唱による「ザ・クリスマス・ソング」

長沼 では、ここで皆様お待ちかね、今まだ臥せってるんでしょうか?…菊地さんを…。
えっとですね、普通、身内は「菊地」とか言うんですけど、さすがに本人と話す時は、いつも「菊地さーん」「長沼くーん」なんで、ここだけちょっと「菊地さーん」で勘弁してください。…というわけで、ちょっと変な感じです。菊地さーん!
菊地 …はい、どうも。
全員 (笑)。
長沼 菊地さん、もう…僕、スタジオ来てから水3リットルぐらい飲んでるんですけど。
菊地 はい。ご苦労様です。…音がいいんで、すぐ近くにいる感じがして、ちょっと嬉しいです。
長沼 はい、僕もやっと菊地さんが出てきてもらって、ちょっとホッといたしました。
あの…まずはですね、具合も悪いので今日の放送、まだちゃんと聞けてないと思うんですけど…。
菊地 ラジオは持ってるんですけど、付け方がわかんないんで、静か〜な部屋でずっと待ってました、今、電話を。
長沼 わかりました。まずはリスナーの皆さんにひと言ご挨拶をお願いいたします。
菊地 はい。あの…長沼君が番組パーソナリティになってると聞いて…今、漠然と察知して、驚いているんですけれども。
全員 (笑)。
菊地 え〜…すいません、ほんとに。あの…この歳になってですね、ワタシ7年前にインフルエンザやりまして、5年前にマイコプラズマやりまして、どっちもちょうど抗体ていうか、免疫が切れたと思うんですよね。それが今年揃ってやってきたんで、あとはノロをやれば三冠王征服ということになりますんで…。
長沼 やめてください(笑)。
菊地 まあ、あの…周りが止めると思うんですけど、やはり挑戦して行こうかなという気持ちは…。
中村 (笑)。
菊地 今日はあの…何にもなければ、もっと滅茶苦茶で構わないんですけど、昨日、公演の延期ということがありまして。これ、ワタシのキャリア…30年にならんというキャリアですけど、二度目のことでして、非常に申し訳なく思っております。中止ではありませんので、延期ですから、また暖かくなった頃に必ずやらせていただきますので、まずはその点、昨日公演をお楽しみにされていた皆様におかれましては、この番組を通じてではありますが、申し訳ありませんでした。それ以外の方々に対しては、「まあ…こんな感じだよ。」というところで…(笑)。
全員 (笑)。
長沼 ありがとうございました。菊地さん、それで、今日ですね、実はスタジオに、いつもの中村さん…ムネユキさんと、エアプレーン・レーベルのベーアー。
菊地 はいはい。
長沼 ま、ここまでは想定内なんですけど、交通情報の山崎さんまで来ていただいてるんですけど。
菊地 ああ〜。
山崎 オッパ〜、ケンチャナヨ
菊地 (笑)。ネーネーネー。…山崎さん、すいません。え?ホントですか〜。山崎さん、そこにいるんですか?
山崎 そうですよ。オッパのために来ました♡
菊地 いやあ、すいません。今年は我々の関係がとうとう外にバレてしまった年でもありましたけど。
山崎 ダメですよ、それ以上言っちゃ!(笑)。
菊地 そうですか、ダメですか。…そうですか…ほんとですか…今ちょっと…うわあ…対応できずにスイマセン。
山崎 (笑)。
菊地 ほんっとに申し訳ないです。
長沼 じゃあ、中村さん、阿部さんからも、それぞれひと言ずつ菊地さんとお話を…
菊地 あ、それいい! それはいいです!
全員 (笑)。
阿部 ええっ!?…さみしいじゃないですか。
菊地 あ、ベーアーじゃない。
阿部 どうもどうも、お疲れさまです〜。
菊地 (笑)。…何?お疲れさまですって…。
阿部 ああ…御大事になさってください。
菊地 してますよ〜。
阿部 あっ…スイマセン。
菊地 誰にも会えずに、じっと一人でいるんですよ、部屋に。隔離なんでね、ちょっと。
山崎 あの、今、菊地さんにメールがきてるんですけど、いいですか?
菊地 はいはい。
(「菊地さんにとって最大の恐怖は何ですか?」というリスナーからのメールを読む山崎さん)
菊地 …最大の恐怖ですか?
山崎 はい。
菊地 あの…ひょっとしたらこのフォームで番組がずっと続けられるんじゃないかっていう…。
全員 (笑)。
山崎 乗っ取っちゃう感じですか?…まさかの。
長沼 菊地さん、それ僕も最大の恐怖です(笑)。
菊地 それが一番恐れてることですよね。やっぱり。…だいじょぶなんじゃないかなっていう。山崎さんが前に出てると、それでもうオッケーなんじゃないかっていう。お役御免かしらっていう感じですよね。
山崎 戻ってきてください。
菊地 はい。戻りますよ、それは必ず。…ほんとに山崎さん、すいません。なんか久しぶりですよね、山崎さん…
山崎 いやいや、オッパのためなら何でもやります。
菊地 いや…そんなこともう…。山崎さん、おっかないから…ファンの方が。適度な距離感でこれからも愛し合っていきましょうね。
長沼 (笑)。
山崎 は〜い。
長沼 えっと、中村さん何か…菊地さんとありますか。
菊地 ああ、中村君。
中村 どうもどうも、お疲れさまです。大丈夫ですか?
菊地 いや、大丈夫っていうかね(笑)。この歳で…あの、オレ昔熱病やったじゃない?
中村 はいはいはい。
菊地 あの時はね、42度が2ヶ月続いたんだけど。
中村 ギョエ〜…はい。
菊地 そん時は身体が若かったんだよね。
中村 ええ、ええ。
菊地 やっぱ49でね…合わせたんだね。…あ、合わせてねえや、49度出たら死んじゃうわ。
中村 (笑)。
菊地 49歳で39度超えね。そこにね…タミフル
長沼 (笑)。
菊地 ひと言ねえ…これ放送中どうだろうね。…異常行動に出てしまってね。やはり。
中村 (笑)。
菊地 「これが異常行動か!」っていうようなね。
中村 なるほど。
菊地 …行動に出てしまったので、ちょっと記憶があまりないんですよね。
中村 あら。大丈夫ですか、ほんと…。
菊地 もうね。とにかく…壁に「ノロ」って書いたりして。
中村 (笑)。もうじっとされてんですか、ずっと。
菊地 …なんって言ったらいいんだろうね。やっと…動いてますよ、うん。
中村 なるほど。
長沼 菊地さん、一回、なんかものすごい絵文字のメールがきたんですけど、あれ…なんだったんすかね?
山崎 ええ〜!?
菊地 いやあ…異常行動でしょう。
全員 (笑)。
菊地 あのね、相当な異常行動…あのね、最初は異常行動、異常行動とか言って笑ってたんだけど、やっぱり…。
長沼 (笑)。
菊地 あの…医者行ったでしょ。急激に熱が上がったんで、「インフルエンザ、チェックしてください。」つったら、医者がめんどくさそうに「はいはい。」って言って、鼻にボンって突っ込んだわけ。あの…なんか棒を。
長沼 綿棒みたいなやつ。
菊地 うん、綿棒みたいなやつ。そいでペッてやるじゃない。そうすっと若いきれいな看護婦さんが脇にいてはけてね、戻って来たらさ、様子がおかしいわけ(笑)。
長沼 (笑)。
菊地 パッて見たら、先生がああいうのは…なんていうんですか、いわゆる二度見っていうの?
山崎 (笑)。
菊地 一回見た後、こっち喋ろうと思って、もう一回見ちゃって。
長沼 (笑)。
菊地 要するに数値があるらしいんだけど、それがね…その段階で異常なわけなんだけど。「え?…こんなに?…」って言ったわけ。
長沼 (笑)。
菊地 「こんなに?」って医者がオレにじゃなくて、看護婦に言ったんで。だから看護婦も黙って頷いたんだよね。
全員 (笑)。
菊地 医者がさ、「これはインフルエンザです。」って言いながら、さっきまで結構距離を近づけて「ええ、どうなさったんですか?」って言ってた医者が、こう…のけぞり気味になって、マスクをバーンってオレに1個投げて渡して、「…して!…それを!」って(笑)。
長沼 (笑)。
菊地 で、マズイな…って思って。それ始まりで、タミフルが5日分出てですね、今、飲み切るところですけど。とにかくあと、メールをいろんなとこに打たなきゃいけないでしょ。
長沼 (笑)。
菊地 …長沼くん、一回来たでしょ、部屋に。
長沼 一回行きましたよ、行きました。
菊地 あれも覚えてないもん。
山崎 ええ〜!?
菊地 「あれ?長沼くん…が来たような気がするな…」って思ってさ。「公演を延期にしたような気がする」…とかそういう感じで、「オレ、変なこと言ったんじゃないかな?」とかね。
長沼 (笑)。
菊地 で、メールの送信歴見たらね、絵文字とかね(笑)。
長沼 絵文字すごかったですよ。なんかニコニコしてる…
山崎 え?女の子が使うようなやつですか?
長沼 そう。スマイルマークとかハートマークとかが、文末文末に入ってて。「あれ?何で菊地さんから、こんなメールきたんだろう?」と思って。
菊地 あれねえ…あれは異常行動だよ、しつこいようだけどね(笑)。
長沼 あれ、びっくりしましたねえ。
菊地 とんでもないとこにメール出しちゃったりしてね。久しぶりの人とかに。
長沼 (笑)。…やっぱタミフルすごいですね。そんだけ効くんですね、きっとね。
菊地 いや…タミフル、ヤバイですよ。効きますからね。効くかわり、やっぱちゃんと保護者の方が付いて周りを観察してないと、ヤバイなと思いました、タミフルは。
長沼 そうですか〜。
菊地 おかげさまで、もう異常行動も収まって、通常のグッタリした人間になってるとこですけどね(笑)。
全員 (笑)。

オリジナルサウンドトラック 「大停電の夜に」 Wait Until Dark

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