「最後に歌に辿り着く。」
「粋な夜電波」第389回は、TABOOレーベルより満を持してアルバムをリリースする、オーニソロジー=辻村泰彦さんをゲストに迎えて。
奈良から上京して現在に至る流れが語られた、番組最後のトークの一部を文字起こししてみました。
- アーティスト: オーニソロジー
- 出版社/メーカー: SMM itaku (music)
- 発売日: 2018/12/05
- メディア: CD
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菊地 はい。「粋な夜電波」…ラストランですね。あと8回…の中の、ラストから…ラス8からラス7にかけて(笑)、オーニソロジーを特集しておりますけれども。
辻村 (笑)。(メールを読んで)
菊地 …ま、この番組もさぁ、実は相当前に出てるよね。
辻村 ええ。ああ、そうですね、そうですね。
菊地 沙良ちゃんとコントやったもんね。野球のね。
辻村 ええ。
菊地 なんか、奈良だって理由だけで、あの日「甲子園のコント」にしたんだよね。
辻村 はい。
菊地 で、青羊さんがこのバンドのハードリスナーだってことから、おそらく甲子園の連想から、最初の「夏の景色」に繋がったと思うとね…
辻村 (笑)。
菊地 なにかジーンとくるものがありますけどね(笑)。
辻村 繋がりますね(笑)。
菊地 あの甲子園コント、酷かったですけど。まあ、それはともかく…あれで出て「エレタメモア」のデモを流したりして。
辻村 そうですね。
菊地 で、その後「TABOO」的には…「ガンダム サンダーボルト2」のほうに「骨砕かれても」って曲で…
辻村 ええ。
菊地 まあ、音楽番組で時間に余裕があったらかけますけど、時間に余裕が無いからかけませんけどね(笑)。
辻村 (笑)。(メールを読んで)
菊地 そうですよ。あのねえ…さっき一番最初に結構無駄な時間使って、全タイトル読み上げさしてもらいましたけどね。ま…言っちゃ悪いですけど、一番最後に一番いい盤が出来たと言わざるをえないですよね。とにかくね。自分の作品も含めてですけども。
(メールを読んで)
菊地 ま、MVはこないだ撮影がね…
辻村 はい。
菊地 1日に3本撮りっていうね。地獄の…(笑)。
辻村 ありましたね(笑)。
菊地 あの後、しばらく俺、具合悪かったよ(笑)。早朝に集合して…早朝じゃねえや、深夜に集合して。
辻村 そうですね。
菊地 翌日の夕方に終わるっていうね。いやあ、それぐらい大変でしたけども。
辻村 ええ。
菊地 そもそも「オーニソロジー」にしたっていうのは、多分ジャズが好きだからでしょ?
辻村 はい、はい。
菊地 ね。チャーリー・パーカーの曲名でもありますよね。
辻村 うん。
菊地 てか…俺が一番知りたかったのは、なぜ「TABOO」レーベルにエントリーしてきたのでしょうか。
辻村 いや、それはもう菊地さんの…僕が奈良にいた時、「夜電波」も聞いてましたし。
菊地 ああ、ほんとですか。
辻村 うん。菊地さんの情報をバーっと見ていった時に、なんかのなんかで「デモテープあればください。」みたいなのを見て…
菊地 ああ、書いてあってね。
辻村 そん時にちょうど僕の…オーニソロジーのデモが出来たんですよ。
菊地 うんうん。
辻村 で、これどうしようかなと思ってたところ、もう思い切って「送ってしまえ。」と思って。
菊地 うんうん。
辻村 …たのが、きっかけですね。
菊地 なるほど、なるほど。ま、「夜電波」も聞いていた、と。
辻村 ええ。
菊地 まあ、今ね…オーディションとかさ。
辻村 はい。
菊地 「デモテープください。」とか言うと、とりあえず「デモテープ/オーディション」で検索して、常にそれで探してて、何でもいいから送ってくる人いるからね。
辻村 うんうん。
菊地 いまやもうオーニソロジーの名ベーシストですけど、DC/PRGの近藤くんね…
辻村 (笑)。
菊地 DC/PRG、知らずに応募してきたからね。
辻村 そうですね(笑)。
菊地 ポリリズムやったことないのに応募してきて、そのまま入団…あまつさえ入団しちゃったというトンパチですけど。
辻村 (笑)。
菊地 まあ…元々あの人、マーカス・ミラーが好きなんで。
辻村 ああ、そうですか。
菊地 まあ、オーニソロジーのほうが合ってるよね。正直、DC/PRGより。
辻村 (笑)。
菊地 …替えようかな(笑)。
辻村 (笑)。
菊地 まあ、それはともかく。プライヴェートの話は次回にしましょうか。
辻村 はい。はい。
菊地 いろいろその…「なぜそんなにエロいのか?」…エロいっていうか、エロさってのはいろんな基準があるから難しいけど。
辻村 うーん。
菊地 はっきりとエロティークだと言っていいと思いますけど。辻村くんの声がね。
辻村 はい。
菊地 そのエロさが、どういう意味合いでどういう根拠で出来てきたのかっていう話はね…
辻村 はい。
菊地 ま、いろいろ…「ただ単にスケベだから。」とかさ、ガキの使いじゃないんだから、そんな簡単にはいかないですよね。
辻村 (笑)。
菊地 奈良県のどこですか。
辻村 奈良県の天理市ですね。出身。
菊地 ああ、天理市ね。うん。有名な市だよね。…そういう言い方は関東の人間として…というエクスプレインさしてもらうしかないんだけど(笑)。
辻村 (笑)。
菊地 なるほど。じゃあ、天理市から…オーニソロジー活動していて。
辻村 そうですね。
菊地 子どもの頃から音楽やりたくて。
辻村 うん。そうですねえ。ま…小ちゃい頃にクラシックピアノをやってて。
菊地 うん。
辻村 そうそう。もう…結構ね、10歳ぐらいの時に坂本龍一が好きだったんですよ。
菊地 なるほど。クラシックピアノやってて坂本龍一好き…別に何の不思議も無い流れですよね。
辻村 そうですね。で、まあ…ピアノやってて、クラシックばっかりやってて。坂本龍一ゆう人がピアノで曲を作ってる、と。
菊地 うん。
辻村 面白いなあ、と思って。
菊地 うん。
辻村 で…そこで一旦ピアノは切れるんですけど。
菊地 うん。
辻村 次はギターとか、軽音楽のほうに興味を持ち出して。うん。その…ギターを持ち出して。歌を歌うのは、だいぶ後なんですけどね。
菊地 なるほど。歌い出したのは、もっとずっと後なんだと。
辻村 はい。
菊地 なるほど。まあ、ある種…才能が資質が開花していく典型的な例だよね。その…歌の才能がある人が、最初から歌ってるって場合もあるけど、逆もあって。要するに、だんだんだんだん…本当の自分に向かっていくっていうか。最初クラシックピアノやってたんでしょ。
辻村 そうそう。
菊地 で…そのままやり続けてたと思うと、ゾッとするでしょ。
辻村 ええ(笑)。
菊地 で、それは挫折して。ま、俺も最初ずっとクラシックやってたの。あのまま、やってたらと思うと、ゾッとするけど(笑)。
辻村 うーん。
菊地 で…やめて。ほいでもって、ジャズギターになって。
辻村 はい。
菊地 で、ギタリストとして行こうとしてたんでしょ。
辻村 まあ…作曲とか、音楽をジャズを通じて勉強したいなと思ったんです。
菊地 なるほど、なるほど。
辻村 はい。
菊地 まあ…ジャズがなんかいろんなもののモチベーション与えるパターンですよね。
辻村 そうです。はい。
菊地 とはいえ、ジャズを通じて、ジャズギターで作曲する作曲家っていうのも、まあ…夢は…ちょっとそれだけでは…って形になって、歌うようになったわけでしょ。
辻村 そうです。
菊地 でも、まあ…歌が一番いいもんね。結局。
辻村 (笑)。
菊地 作詞作曲も素晴らしい。その第二期に培ったもんでしょうけども。最後に歌に辿り着いた時には、そんなに別に自分の歌が…と思ってなかったでしょ。
辻村 うーん、そうですね。
菊地 うん。あのね、オムスとかも言うんだけど、自分の声が嫌いだって言うの。
辻村 ああ。
菊地 うん。びっくりするよね。
辻村 うん(笑)。
菊地 あんないい声なのにね。
辻村 いいっすね。
菊地 だから…そういう才能のあり方もありますよね。
辻村 うん。
菊地 だから…最初から自分の魅力ってのが分かってて、バンバン売り出せる人ってのは…それはそれで天才なのかもしれないけど。
辻村 うん。
菊地 どっちかっていうと、俺の知る限り、自分の事が分かってなくて、だんだん開花させられたり開花してったっていう人のほうが、力強いですね。
辻村 ああ〜。
菊地 まあね、レコ発…アルバムが出たら必ずレコ発ライブってのがあるもんですけどね。
辻村 はいはい。
菊地 どこでいかような形であるのでしょうか。
辻村 来年1月29日、代官山「晴れたら空に豆まいて」さんで、やらせてもらいます。
菊地 はい。ま、こういう御時世ですからね、お店のほうのホームページに情報出ると思いますので、チェックのほうよろしくお願いします。
辻村 はい。
菊地 ま…そんな辻村くんのパーソナリティーに迫るのは、次回!…ということにしまして(笑)。
辻村 はい。
菊地 今週はその坂本龍一さんのね、カバー曲が入ってる…
辻村 はい、はい。
菊地 坂本龍一さんのさ、曲のね…
辻村 はいはい。
菊地 いっぱいあるよね。
辻村 いっぱいありますね。
菊地 うん。何を、どうやってカバーするのかって事は、すごい問われるでしょ。センスがね。
辻村 ああ…はい。
菊地 やっぱり…名曲ばっかりだから。
辻村 はい。
菊地 楽しみでもあるけど、やっぱ怖ろしいことでもありますよね。
辻村 うん。
菊地 で、この曲…は、ま…歌モノだからってこともあるでしょうけど。
辻村 はい。
菊地 やっぱ名曲ですよね。
辻村 はい。凄いですね。ええ。
菊地 これは…坂本龍一さんのどの作品がいいんだとか言うと、もう…外野が大ゲンカになるんで。
辻村 (笑)。
菊地 下手な蜂の巣は突きませんけども。「B-2 UNIT」は最高傑作と言ってもいいよね。
辻村 ですね。
菊地 その中でも、この曲が…「B-2 UNIT」に針を下ろして、テクノの音楽が流れるのかな?…YMOみたいなのがね、流れんのかなと思って楽しみにしてて、この曲…この歌聞いた時の衝撃はね。
辻村 (笑)。
菊地 一生…スウィート・トラウマだよね。ある種ね(笑)。「Thatness and Thereness」っていう曲ですね。
辻村 はい。
菊地 こちらを辻村くんがカバーしています。こちらを聞いてお別れしたいと思います。
辻村 はい。
菊地 え〜…ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしてまいりました「菊地成孔の粋な夜電波」、そろそろお別れの時間です。それではまた来週、土曜深夜4時にお逢いしましょう。来週もオーニソロジー特集で…ていうか、ぶっちゃけもう…外野の方には分かってると思いますけど、2本録りです。
辻村 (笑)。
- アーティスト: 坂本龍一
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2005/03/24
- メディア: CD
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オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」2/菊地成孔
- アーティスト: オリジナル・サウンドトラック
- 出版社/メーカー: ヴィレッジレコーズ
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- メディア: CD
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