「エリジウム」


観たい映画がたくさんあるのだが、このところ忙しくてなかなか観に行く時間がとれない〜。
この日、予想より早く仕事が終わったので、何か1本観て帰ろうと思って検索したが、ちょうどいい時間に始まるのがなかったりして。
水曜はテアトルシネマグループのサービスデーなので、なるべくテアトル系で上映されているのを…と思い、わざわざ池袋まで出て、シネリーブレで「エリジウム」を観た。
以前、町山智浩氏がラジオで紹介されていたのも聞いて、また劇場で予告編を観て、楽しみにしていた作品。
「第9地区」で一躍その名を世界に轟かせた、ニール・ブロムカンプ監督作品。
前作は南アフリカのロケ地の利を最大に生かし、有名俳優も起用せず、低予算ながら、その斬新な発想と絵作りのセンスで見事な傑作に仕上げていた。
今回はマット・デイモンジョディ・フォスターというスターを起用。ビッグバジェットで、スケールの大きな作品ということで、監督の真価が問われることになりそうだ。

自分はあまりSFとかの類いの映画が得意ではなく(なにしろ「スター・ウォーズ」を1本も観たことがない!)、自分の日常と地続きの作品でないと感情移入しにくかったりするのだが。
今回の「エリジウム」を観て、やはりニール・ブロムカンプ監督は、SF的な設定に現代社会の様々な問題を巧みに組み込んだ、寓話性の高い作品を作るのが上手い人だという印象を強くした。
話の展開もスピーディだし、派手なアクションもあって、エンターテインメントとして一級なのだが、どこか俯瞰した視点が常にあって、そこがこの作品の評価にも影響しているのだろうと思われる。
SFアクション超大作を期待した人からすると、やや物足りないのかもしれない。
良く出来た設定だが、マニアが熱狂するほどのディテールへのこだわりが感じられないとか、キャラクターの描き込み不足で感情移入しきれないとか、確かにそういう指摘にも頷ける。
ただ、自分はこの作品、十分面白いと思ったし、あくまでも現代の寓話として、「こういう状況って起こりうるよな」「未来の世界はこうなってるかもしれないよな」「明日は我が身かもしれないよな」というシミュレーションが出来ただけで満足。
そう思えるぐらいのリアリティの強度はある作品だと思うし、一部の超富裕層だけが独占していた理想郷を、一般ピープルに解放するという話はカタルシスがあった。


肉体派も演技派もできる、安心のマット・デイモン。彼の存在がこの作品のクオリティを体現しているともいえるかもしれない。
(今回、敵役で強烈な印象を残したシャールト・コプリーが「第9地区」の主人公のあの人だったとは、全然気付かなかった。役柄によって変わるものだなあ。)

エリジウム ビジュアルガイド (ShoPro Books)

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ちなみに、そういやペット・ショップ・ボーイズに同じタイトルのアルバムがあったな…と思って聞き返してみたが、本作品との関連性はほとんどない(笑)。
ちょっとスペーシーな音かも…というだけで、こちらも安定のPSB。