「予定を変更してお送りしております。」

「粋な夜電波」第192回放送は、第5金曜日がある月恒例のあの人気企画……と思いきや、突如「番組の内容を変更してお送りします。」とのこと!
いったい何があった?…そして何を流すつもりなのか?
という疑問に答えた番組冒頭部分を文字起こししてみました。
〈ソウルBAR・菊〉ならば、愛のメッセージを伝える前に、時に辛辣に世界情勢を皮肉ってみたりするのが恒例ですが、ひょっとしてそれに対して局側から自粛を求められたのだろうか?とも思いましたが、それも杞憂。
急遽用意されたこの企画によって、さらに強く確実に、愛のメッセージは電波にのったと思います。

Diana Karazon

Diana Karazon

ラジオをお聞きの国民の皆様、毎夜の臨時ニュースでございます。
只今、深夜零時を持ちまして、「昨日」と「明日」が同時に「今日」と名を変え、「今日」だったあの日が「昨日」と名を変えました。
今宵ばかりは、あらゆるアナロジーの通じない…どうやら我々、地球というありきたりな惑星の、孤独という砂漠の国境線沿いで、またしても一日生き残った模様です。
…っとぉ!
「あれれれれ?…今日は〈ソウルBAR〉じゃなかったの?」…という、番組の御贔屓筋もいらっしゃるかと思います。
仰せの通りでございまして、このコンテンツがどういうものか御存知の方ならば、ワタクシが今夜ばかりはいつもより気合いを入れた、トロットロの愛の音楽を選曲して準備万端整えていると、御期待されていたかもしれません。
もちろん、御期待を遥かに上回る選曲で以て、店長のワタクシ…そして万年バーテン見習いのベーアー君は、開店を今か今かと待っておりました。
たった今、これを収録しておりますのは、1月29日の23時…つまり、皆様の主観ですと「昨日の夜中の11時」ということになりますが…
ここ数日、あらゆるテレビ・ラジオ番組が「予定を変更してお送りしております。」というクレジットを出し、砂漠からのニュースをお送りしていたのは御存知の通りであります。
そこで当番組も、多くのブロードキャスト・プログラムに倣いまして、突然ですが、本日は敢えて予定しておりました内容を変更しようと思います。
もちろん…御安心下さいませ。本日放送予定だった〈ソウルBAR・菊〉は、そっくりそのまま、来る3月の第一週に…むしろバージョンアップしてお送り致しますので御期待下さい。
そして、番組を初回からお聞きの…とまでは申しません。当番組の人気コンテンツであります〈ソウルBAR・菊〉を一度でもお聞きになった方には、皆様の御愛顧により、おかげさまで5年目を迎えんとする当番組が、予告無しに内容を突然変更するなどということは、ワタシがインフルエンザで倒れたSEASON4での1回を除けば、他にはたったの一度もありません。
そして、本日の内容変更の理由に関しては、御贔屓筋におかれましては「みなまで言うな。」…というところであると信ずるものであります。
ワタクシがあのプログラムで、ソウルBAR開店前にお送りするウィズダム…本日も何パターンか、いやさ…何パターンも用意しました。
…が、現時点ではどれを申し上げればよいかの判断が付きかねます。
「お察し下さい。」とは申しません。いつもの通り番組をお楽しみ下さいませ。


というわけで、本日は予定しておりました〈ソウルBAR・菊〉あらためまして、別番組を御用意致しました。
起床から7時間かけて、選曲を含むあらゆる準備を急ピッチで行ったのは、番組開始年…2011年に一度行われたきりになっております、「粋な夜電波・ナルジャジー」。
懐かしいわ〜。アラブ圏のポップスを御紹介致します。
特に今回はイラクとシリアとレバノン、そしてヨルダン、そして我が国日本、そしてアメリカ…の現在のヒットチャートからまとめてお送りいたします。
アメリカと日本のものに関しましては、ウイークリーチャートの5位から1位までの曲。そして中東諸国の楽曲に関しましては、残念ながらチャートの調査ができませんでしたので、ワタクシが選ぶ…(笑)、現在発売中の曲の5位から1位までとさせていただきます。
ポピュラーミュージック…中でも、チャート上位の楽曲というものは、その国の素っぴんを映し出す鏡であります。
今宵はノンストップ・スピニングで、アラブ諸国の、日本の、アメリカのポップスをお送り致します。
番組的には、アラブ圏のポップスが流れるよりも、KAT-TUNの音源が流れることのほうが、はるかに希少価値…いやさ、KAT-TUNの楽曲と、イラクそしてヨルダンのポップスが繋がれることのほうが、希少価値としてはいささか上かもしれません。
というわけで、東京は港区赤坂、力道山刺されたる街よりお送りしております「菊地成孔の粋な夜電波」。
今夜は「ナルジャジーラINTERNATIONAL」と題しまして、各国のヒットチャート曲のノンストップ・プレイをお楽しみいただきます。
お相手は、彷徨えるジャズミュージシャン、AMラジオ界の太鼓持ちにして反逆児、ワタクシ菊地成孔が務めさせていただきます。
世界は不穏、しかし人類は自分たちが作った世界という遊び場を、不穏と思うように拵えよう…と、群れから離脱した神経症の猿です。
比較文化論としても、遊びとしても、そして祈りとしても、治療としても、成立するであろう…各国の音楽のチェインを存分に御堪能下さい。
「粋な夜電波・ナルジャジーラINTERNATIONAL」…それでは早速まいりましょう。
再び、本日は時勢に倣いまして、放送内容を変更してお送りしております。


はい、1曲目…1国目は、ヨルダンでまいりましょう。今年32歳になりますが、ディアナ・カラゾン。ヨルダンの国民的なアイドルです。
ヨルダン国民の人々はほとんどがこの楽曲を口ずさめると思います。
ディアナ・カラゾンで「kelmet Ahbk」。
(曲)

はい、え〜…アメリカの5位です。2015年1月31日付ビルボードHOT100チャートの5位は、え〜…「まだこの曲入ってたの?」という、テイラー・スウィフトのアレ。「Shake It Off」でございます。
ま、この曲聞いたことないって人いないですよね?…この番組聞いてて。いる?…いたら、この番組は来週からアメリカのヒットチャート番組に変えようと思いますけど(笑)。
テイラー・スウィフトだから、いいよね?…CMに行ってしまっても(笑)。
というわけで、今週は「菊地成孔の粋な夜電波」、特別に内容を変更しまして「ナルジャジーラ+INTERNATIONAL」と題しまして、中東諸国、アメリカ、日本のヒットチャートの曲をお送りしております。
音楽による世界平和を!…CMです。