「なんて甘えたヤツなんだ!」

「粋な夜電波」第383回放送はフリースタイル。ゆるいトークと最高の音楽。
「アルバム丸々全部いい曲特集」ともいえる、充実の内容の回。
番組前半のトークの一部を文字起こししてみました。

VENTRILOQUISM

VENTRILOQUISM

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの、しかも妥協無き男…(笑)。薬は糖衣錠、カプセル錠のみならず、粉薬まで水無しで飲める、菊地成孔が…(笑)TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
まあ…水で飲もう…薬を水で飲むなんてのはね、甘えですよね(笑)。唾で飲まないと。やっぱり。ええ。
そうですね、ワタシなんか糖衣錠だったら唾で何錠でも…ひと瓶飲めちゃいますよね(笑)。そんな飲む必要無いわけですけども。
なんか最近世の中そんな…ここ20年とかじゃなくて10年とか5年ぐらいだと思うんですけど、もう…甘えん坊が勝ち組になる世界ですよね。
だって…ま、アタシなんかガキの頃から仕込まれてましたからね。「薬は水で飲むもんじゃねえ!」って言われて(笑)…「唾で飲むもんだ!」って。もう一所懸命ね、ゴフゴフ言いながら…龍角散とか唾で飲んでたりしたんですけど。
あの…何年前かな、医者の投薬…何だあれ?…調剤薬局に行ったら、おばさん…っていうかね、お母さまがね、ゴネてんですよ。どのぐらいの年齢だったのかな…自分の年齢が年齢不詳なんで、人のもわかんないんだけど。
とにかく薬が苦いのが嫌だから、「この薬、苦いですか?」って薬剤師さんに訊いてて。
「あー…それはちょっと苦いかもしれませんね。」
「あの…私、苦いのが飲めないんで!」っつって。
いや、「そりゃ『良薬口に苦し』って言うでしょう!」…って思ったんですけど。
その…「とにかく苦いのが飲めないんで。」…で、「ああ…。」っつって薬剤師さん困ってるんですよ。
「どのぐらい苦いですか?」っつって。「これは苦いですか?」…10種類ぐらい薬出てるんだけど、「これとこれ、どっちが苦いですか?」って始まっちゃって。
ちょっとメンタルが破裂した方かな?と思って楽しみに見てたんですけど、どうやらそうじゃなくて、単なる甘えん坊なんですよね。
そいで、その方が言ってたの。「なんか…薬をね、飲むときに…オブラートみたいなのあるじゃないですか。「あ、オブラートはあります。オブラートあります。」「いや、オブラートはダメなんですよね。オブラートじゃなくて、もっと美味しいゼリーみたいな…甘くて美味しくスッと飲めるゼリーみたいなのがありませんかね?」って、言い出して。
「なんて甘えたヤツだ!」…と思って(笑)。
「なんて甘え腐ったおばさんだ!」って思ってですね。
「昭和の銚子では龍角散飲むのにも水もお茶ももらえなかったんだぞ!」…って思って。うちだけですかね?…憤慨したんですけど(笑)。
何て甘えたヤツだ!…と思ったら、商品化されてメチャ売れてますからね、今ね。

もうちょっと前のね、料亭なんか行くとね、デジタルカメラで写真撮ると、大将が出てきて「写真撮んじゃねえ!」とか言って、バーンと追い出す大将が普通ぐらいで。少しジェントルな大将だと、「ま、お客さん。撮るのは構わないけど、ひと言掛けて下さいよ。」っていうのが普通で。
そんでもね、「いやぁ、ボクのカメラだから…ボクが発信するのは自由じゃないですか!」みたいな感じがいて、「なんて甘えたヤツだ!」って思ってたんですけど(笑)。
今、もう店のほうで「はい、写真どうぞ。」っていうね。結婚式の花嫁さんだとかの模様替えみたいになっちゃって。一皿一皿が。「さあ、写真撮ってくださいよ。」みたいなね。
まあまあ…フランス料理でプリザンテっつーんですけど、「これからこの鴨を焼きますよ。」とか「この鯛焼きますよ。」とかつって、調理する前に食材見せてから、引っ込めて…焼いてからまた出すっていうこともありますから、まあ…中世から、もしカメラがあったら、そん時にパシャパシャッて写真撮る時間なんでしょうけどね。プリザンテはね。
だけどそれにしても、もう今「写真撮らせないの?」って感じじゃないですか。「えっ!撮ったらダメなの?」みたいな世界ですよね。なんて甘えた世界なんでしょうね(笑)。
最近…やっぱり…若いミュージシャンとかとね、付き合いがあるじゃないですか。先週出てくれたODなんて、アタシの23下ですからね。下手したら…下手しなくても親子の年齢差ですよね。で…ODよりももっと若いミュージシャンとかもつるむんですけども。
カフェで3人で行って、2人は注文するけど、1人は注文しない…ってのが、まかり通ってるらしいですよね。
それはどうなの?…って思うんですけど。もうその事に憤慨してるのは古いらしいですよ。
この話したな、前。カットされたっけ?…もうあんま憶えてないですけど。
実際パリのカフェなんか行くと、何にも頼まずに座ったままの人がいるんですよ。
だから本来それでいいんだって言われたら、それっきりなんですけど。
ま…二重売りになったら申し訳ないですけど、「なんて甘えたヤツなんだ!」って感じですよね、とにかく(笑)。
で、頼まないで…ね、要するに何にも頼まないで座ってる人に聞いたんだって。「なんで頼まないんですか。何しにカフェに来てるんでしょうか。」っつったら、「雰囲気を楽しむため」ってのが1位で(笑)。2位は「友達が頼んだ物を少しずつ貰うため」っていう理由だったらしいんですけど(笑)…どうですか、これ。なんて甘えたヤツなんだって思いますよね。
まあでも…勝てば官軍ですからね。みなさん、どんどん甘えていきましょうね。
どのぐらい甘えれば、甘え倒せるんでしょうね。
「知らない間に再放送していた」…ってのは、どうでしょうね。で、「ギャラは貰う」っていうね(笑)。「甘えんのもいい加減にしろ!」っていうね。
「あんまり今回面白い曲とか面白い話が思いつかなかったんで、あの日…えーと、3年前のあれが面白かったんで、ちょっと流しといてもらえますか。」っつって、まかり通るってことですよ。
要するに、どんどん甘えていくってことが許され続けるってのはね。だと思いますよ。
あるいは、このままこの番組を…なんか適当に壊れるがままに、ニッポン放送でやる…ってことですよね。甘えもいいとこですよね(笑)。契約もへったくれもないんですから。
「いや、ちょっと…たまにはニッポン放送でやりたくて。ダメですか?」みたいな感じだと思いますけどね。そのうち、「そのことに目くじら立ててるやつがおかしい。」みたいなことになってって(笑)。
赤ちゃん世界ですよね。ベイビーワールドが待ってるわけですけども。
まあね、「来たるべきベイビーワールドまで…あと2年!」って感じなのか、よくわかりませんけども(笑)。「赤ちゃんオリンピック」ですよね。「金メダルの赤ちゃん」みたいな感じだと思いますけどね。「ローズマリーの赤ちゃん」みたいな感じだと思いますけども。
まあ…だんだん自分でも何言ってるか…フリースタイルだとね。

Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)

Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)

「大坂なおみさん問題。」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」第382回放送は、「2018労力士(ロレックス)大賞発表!」。
単なる「そっくりさん発見」にとどまらない、独特のセンスが問われる投稿コーナーを特集。
急遽SPANK HAPPYのODをゲスト審査員に迎えて、溜まっていたリスナーからの投稿をどんどん判定していきました。
番組のトークの一部を文字起こししてみました。

異次元旅行のサウンドトラック

異次元旅行のサウンドトラック


菊地 はい、どうも。「菊地成孔の粋な夜電波」。力道山刺されたる街、東京都港区赤坂よりTBSラジオからお送りしております。えーと、さっきまでいた現場がですね…別現場なん…別現場って別に言っちゃってもいいと思いますけどね、宇川直宏くんがやってるDOMMUNEっていう現場にいたんですけど(笑)。そこでちょっとSPANK HAPPYが一曲だけパフォーマンスしたんで、ODが来てたので、まあ…そのままODが車にころんと転がり込んで、そのままころんと降りて、ころんとそのまま…ブースにいるという感じで。今日は突然決まった事ですけど、ODとお送りしたいと思います。OD、よろしくお願いします。
OD こんばんは。よろしくお願いしますじゃないスか。
菊地 あの〜こないだまで小田朋美さんの…キーボーディストの…
OD ん?
菊地 ceroさんのツアーで…アジアツアーにODも…
OD はあ。
菊地 OD、パスポート無いでしょ?
OD パスポート無いから、カバンの中に忍び込んで行ったじゃないスか。
菊地 (笑)。密入国者としてね。
OD そうデス。
菊地 捕まっちゃったりして…小田さんが警察に捕まったりしたら大ごとですからね。
OD うん。
菊地 だから、まあ…変装してね。
OD そうデス。
菊地 バレンシアガ…流行りのBALENCIAGAのキャップを被って、かつらも被って。
OD そうデス。
菊地 小田さんの鞄の中に忍び込んで移動したらしいですけど。旅はどうでしたか。
OD 旅は…そうですね、韓国・台湾・香港と行ったんですが…
菊地 うん。
OD まあ…お腹をこわしたじゃないスか。
菊地 (笑)。
OD みんなが…皆さんが打ち上げとかに行かれてる間に…台湾で火鍋の打ち上げだって皆さんが行かれてる間に、「自分はやめておくじゃないスか。」ってホテルに帰ったら、痔になっちゃって(笑)。
菊地 (笑)。
OD 独りで…火鍋みたいな…トイレが…状態になって(笑)。「ヤバいなあ。」って感じだったじゃないスか。
菊地 要するに、火鍋を食べたので痔になったんじゃなくて、火鍋を食べなかったのに…
OD 食べなかったのに…「ひとり火鍋」みたいになっちゃったんですね。
菊地 うん。まあ…ギリギリのネタですけどね。
OD (笑)。
菊地 え〜…まあ、ODだということで。
OD そうです(笑)。
菊地 なるほど。じゃあ、ね…ちょっとした…旅先でお腹こわしたってのは、よくある事ですけどね。
OD そうですね。
菊地 ま、仕方なかったですけど。まだツアーありますからね。がんばってください。今日はね…
OD はい。
菊地 「秋の労力士(ロレックス)大賞」ということで。
OD ロレッ…?
菊地 「労力士」ってのはですね、誰かと誰かが似ているっていうことなんですよね。
OD えっ…なんでロレックスって言うんですか?
菊地 ロレックスってのは漢字で書くんですけど。中国や韓国などでよく作られているスーパーコピーのことです。
OD ほー。
菊地 スーパーコピーで、ROLEXってのは漢字があるんですよ。中国語の。
OD ふんふん。
菊地 なので、スーパーコピーということで、ギリで似てる…よく見れば似てるんだという人たちを番組で公募しているんですが。
OD なるほど。
菊地 1年間放置したんですけども、まだ…1年間放置して1回も読み上げなかったにもかかわらず、毎週のようにメールがくるので(笑)。
OD (笑)。
菊地 溜まったのを、今日放出しようということなんですね。


(中略)


菊地 あとね…今回とにかく1年分あるんで…
OD あ、溜まってるんですね。
菊地 溜まってんの。
OD あら〜。
菊地 溜まってるんですよ。溜まってるんだけど、その中から精査したの。「これは読める!」ってやつを。
OD なるほど。うん。
菊地 で…その結果、ODにも判定を仰いでもらいたいということですが。2つの問題が浮上してきたんですね、やっぱね。
OD はい。何でしょう。
菊地 やっぱこれだけ溜まると傾向というのが出てきますね。
OD はい。
菊地 ひとつは大坂なおみさん問題」
OD (笑)。
菊地 大坂なおみさんは誰に似ているのか?」ってことが、あまりにバラけ過ぎてしまっているという問題。
OD ああ。バラけてるんですね。
菊地 バラけてます。これに対して統一的な解答を与えるのが、やっぱこの番組の使命なので、やっていきたいと思うんですね。
OD 使命…なるほど。
菊地 もうひとつは「それって…俺のイメージ?」問題があって。
OD どういうことでしょうか。
菊地 ここの「俺」ってのは菊地なんですけど。
OD うん。
菊地 だから言い換えると「オレってそういう感じ?」っていう。
OD ああ。菊地さんが誰に似てるか。
菊地 そうです。まずは、大坂なおみさん…御存知ですか。
OD もちろんじゃないスか。
菊地 何やってる人か知ってますか。
OD テニスじゃないスか。
菊地 やっぱちゃんと知ってるね(笑)。
OD いや、大坂なおみさんは…すごい…YouTubeでいっぱい観たじゃないスか。自分。
菊地 ああ、ほんとに。ODはテニスをやるの?
OD えっ…一時期…1年間ぐらいやってたじゃないスか。
菊地 (笑)。
OD 全然ついていけなくてやめたじゃないスか。
菊地 やめた…なるほど。それはパン食い始める前ですか。
OD そうじゃないスか。
菊地 なるほど。テニスを諦め、それでガックリしながら…とぼとぼ歩いてたら、パンが美味かったみたいな…
OD そうじゃないスか。
菊地 感じですね。はい。


(中略。「大坂なおみさんと労力士なのはフォレスト・ウィテカー?」というメールを読んで)


菊地 これ、ただね…黒人系繋がりだけで、似てないと思うんですけどね。
OD そうですね。日本人から見るイメージみたいなので、似てるように見えるだけかもしれないですね。
菊地 そうなの。結局ね、みなさんね…シリアスな話のつもり全然ないですけど(笑)…やっぱね、肌の色で判断し過ぎ。
OD うん。
菊地 例えばですね…(メールを読んで)、大坂なおみとOMSBeat’s
OD (笑)。
菊地 色だけだろ?って思いますね。
OD それは結構ヒドいじゃないですか。
菊地 たくさんきてるんですよ。で、その中でも…これは肌の色に惑わされずにきている方ですが、(メールを読んで)テニスプレイヤーの大坂なおみさんですが、お笑い芸人の小藪さん…
OD ああっ!…でも、ちょっと小藪さん…わかるじゃないスか。
菊地 ちょっと似てるよね。どうでしょうか。
OD うーん。小藪さんに一票じゃないスか。
菊地 小藪さんに一票ね。うん。「小藪さんに似てる」っていうような視点が、この番組で求められているところで。
OD うん。
菊地 「あ、やっぱほんと似てるわ。」っていう。似てるってことにビックリするっていうね…とこなんですけど。
OD うん。
菊地 まあ、私がここで統一的な…「大坂なおみさんが誰に似てる」ということを、ここで番組的に…ごくごく私的ですけどね。決定したいと思います。
OD はい。
菊地 え〜、大坂なおみさんに似ている人は…岡本夏生さんです!
OD ああ〜。あー……ちょっと似てるじゃないスか。
菊地 はい。まあ、まったく肌の色も(笑)…岡本夏生さんは結構、日サロ系ですから…
OD うん。結構焼いてらっしゃいますよね。
菊地 どっちかっつったら焼いてますけど、とはいえ…とはいえですよ。ねえ。最初に大坂なおみさんを見た時から、岡本夏生っつってましたけど。
OD うん。
菊地 誰も追随者がいないっていうね。
OD そう。能面の顔に似てる顔がありますね。その小藪さんも、岡本夏生さんも、大坂なおみさんも。
菊地 はい。
OD その…特徴のある美しいお面の…顔が。
菊地 ああ。面に似てるっていうことね。
OD うん。
菊地 なるほど。ちょっとそこらへん追求の余地がありますよね。
OD そうですね。

IIII+IIII

IIII+IIII

「気が若いタクシードライバー。」

菊地成孔の粋な夜電波」第381回は、久しぶりのフリースタイル。
最高の音楽を紹介しつつ、タクシー車内やファミレスやコンビニで採取したWBO話がてんこ盛り。爆笑必至の回となりました。
気が若いタクシー運転手さんとの会話のエピソード部分、文字起こししてみました。


Little Dark Age

Little Dark Age

はい。え〜…「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージサン…、「ジャズミュージさん」って言ってしまいましたけど(笑)。
すいません。なんかもう忙しくてね。正直、くたびれてますよね。55歳。
そうですね。「コント55歳」ですけど。同年輩…同年輩じゃねえや、同級生か…に、モーリー・ロバートソン寺島進ダチョウ倶楽部・肥後…っていうね。
元気なような疲れてるような感じの人たちが、そろそろクタってきたかな?…って。
ま、モーリーは元気だよね〜。モーリーはね、知己があるんですよ。
アイツがね、あんなオーバーグラウンダーになるとは思いませんでしたけどね。ちょうどいいバランスですよね。ギリギリんとこですよね(笑)。ギリギリん所で「朝の顔」…モーリー、やってますけど。
あ、「てらじま」さんね。失礼、失礼。「寺島進(てらじま・すすむ)」さんですね。
はい。まあ、それはともかく。そういった年配ですけどね。
今日も途中でタクシー…こんな話、面白くもなんともない。年間100回ぐらいやってるんだけど。
移動の時にね。
「お客さん…」9時ぐらいにタクシー乗ると、「これから呑みですか?」とかね、「仕事終わりましたか?」とか、必ず言われるんですよ。
「いやいや、これから夜勤で。」っつって。「これから仕事なんですよね。」っつって、しばらく話して。
で、いろんな話してるうちに、向こうはね…20代ぐらいだと思ってて。年の話して。
「ワタシ、55ですよ。」っつって。
「ええ〜!!」ってビックリして。事故るぐらい驚く方とかいるんですけどね。
ま、こんなんね…年間100回ぐらい、これやってるんですよ。だからもう飽きちゃって。
次から「65ですよ。」って言おうと思ってるんですけど(笑)。さすがにそれはもっと驚く…ほんとに事故っちゃうんじゃないかと思うんですけど。ま、55だけでもずいぶん動揺されるんですけどね。
ただ、55って知るとね、年配の運転手の方だと、急に…あんちゃんだと思ってたのが…タトゥー入れてるあんちゃんだと思ってたのが、55のおっさんだってわかると、急に親しげになってくれることも多くてですね。
「お客さん、今聞いてる放送、何だかわかります?」
「ああ。これあれでしょ。」っつって。「極東軍事放送…」FENね。今、FENって言わないんですけど。
その運転手さんはね、70歳だったの。で、タクシーの運転手さんってのは、訳(わけ)有りの人多いですよね。
ま、タクシーの運転手さんだけじゃないか(笑)。いろんな職業が、訳有りの人が多いですけど。訳有り職業のうち、ベスト3に入るんじゃないですかね。
何かね…風俗なんかで働いてる方に「なんでこの仕事してるの?」って言うのは禁句だとか言いますけども。
その…いろんな訳有りで仕事に参入してくる方ね…
ジャズミュージシャンなんて、全然訳有りな人いないですよ。「ジャズが好きなんで。」っていう人がほとんどじゃないですか(笑)。「ジャズが好きなんでジャズミュージシャンになりました。」って人が、ほぼほぼ90%超えている、訳有り無しの世界ですけど。タクシードライバーってのはね、いろんな方いるんで。
で、ずっとその極東軍事放送…FENをかけてて。70歳の方なんですけど。
で、「音楽家なんですよ。」って話をしたんですよ、こっちが。
「あ、これは失礼しました。」って、その人音楽が好きなのね。急にいろいろ…「前向いて運転してよ。」っていうぐらい、こっち向いて話したりするんですけども(笑)。
「じゃ、お客さん。アタシがなんでFEN聞き始めた…理由わかりますか?」っつって。
「いや…」気が若いわけね、その人は。パッと見るとね、結構長い髪の毛をね、もう完全なロマンスグレーっての?…銀髪っつーか白髪っつーかね…きれいなウェーブで撫で付けてて。夜ちょっとバーかなんかで会ったら、オシャレ親父って感じの…その方も気が若いし、見た目も若いんですけど。
「じゃ、お客さん、何でアタシがFEN聞き始めたか知ってます?」っつって。
「いや、わかんないですけどね。」っつって。
「これね、都市伝説なんですけどね。」とか言って(笑)。70歳のお爺さんが「都市伝説」とか言うのか〜とか思ったんですけど。
「都市伝説なんですけどね、アタシが若い頃、小林克也小林克也って、まだ生きてます?って。
「生きてます、生きてますよ。克也さん元気ですよ!」っつって(笑)。不謹慎なジジイだなと思ったんですけど。
「存命ですよ〜。」っつって。「小林さんね、がんになられたりしましたけど、克服されて元気ですよ。」っつって。
「あ、そうですか。あのね、小林克也がね、何で英語が喋れるようになったかっていうと、FENをひと月聞き続けたからだっていう都市伝説が、アタシの若い頃あってね。」っつって。
話が弾んでるし声も若いんですけど、「気が若いんだけど、やっぱりお爺さん」っていう感じの内容なんですよね(笑)。そこがかわいいんですけど。
んで、そういうのがあって聞き始めたんだ、と。だけど、小林克也さんはウルフマン・ジャックをよく聞いて…物真似もされてますけど、ちゃんとした英語教育を受けてるってことが後からわかって。
「まあ、FENだけ聞いてても、英語なんか私なんかチンプンカンプンですよね。」って話があった後に…
そんなこんなしてる間にね、「いろいろ私も訳有りで…。」って、自分で訳有りって言っちゃったんですけど。
「訳有りでこの仕事就いたんですけど。」個人タクシーなんですけどね。
FENばっかり聞いてんだ、と。「考えてみたら、日本に米軍がいる限り、FENは無くならないよな…と思って。」とか言って。ちょっと気が若いところをね、70歳ながら出したりするんですけど。
「そんな時にある日ね、ずっと聞いてたらね、一日中…彼女の歌がかかったんだねえ。」っつって(笑)。
「彼女の歌がかかり続けたんですよ。」…誰かな〜?と思って。ジャネル・モネイとか言われたらどうしようかな〜とか思ったらね。
「…彼女の歌がかかり続けてね、それでもうすっかりハマっちゃったんですよね。…マライア・キャリーに。っつって(笑)。
マライア・キャリーか!と思って(笑)。さすがお爺さん!と思って。微妙にいい感じだな〜と思って。
そっからね、「彼女」って言ったり「奴」って言ったりして。
「もう奴の歌はねえ…。奴はなにせ6オクターブ出る!とかっつって(笑)。
なんてか…どんなに気が若くてもね、出るもんですよね、年ってのはね。
だから、ワタシが55で若いとかね、見た目もやってるもんも若いとか言われますけど、どっかでね…おっさん…
最近はね、だいぶ老けたと思ってるんですよ。魔女の片割れがくたばったんで。もう一人くたばれば、完全に…浦島太郎みたいにドローンって、55歳になると思うんですけど。
え〜…そうですね。一見ワタシと同じぐらいに見えるけども、ワタシより十若かった…10ぐらい若かったんじゃないかな?…ディエゴ・スキッシ。急にディエゴ・スキッシがかかるんですけど(笑)。
先週、ノンストップ…先週先々週と、なんか図々しくも手前のバンドのノンストップ…今週はほんとはダブ・セクステットのノンストップやろうと思ったんですけど、それはさすがに「やめろ!」って声が自分の中でしたんで、やめましたけどね。
3週連続「ジャズ・アティテュード」、3週連続てめえのバンドのノンストップ…ったら、本当に数字下がっちゃうんで。
上がったらすごいですけどね、それやって(笑)。3週ジャズやって3週自分のバンドのノンストップやって数字が上がったら、毎週企画会議やって数字がなかなか上がんないって言ってる人たちの給料の行方は?…とか思っちゃいますよね。
ま、それはともかく。
ディエゴ・スキッシは、この番組のヘビーリスナーの方なら、彼のブレイクスルー盤からずっと、この番組が紹介し続けているという事は御存知だと思いますが。
こないだ「ラティーナ」って雑誌の…こないだっつったって去年?ですけどね、対談したんですよね。ディエゴと。
ま、言うまでもなく意気投合ですよ。
ディエゴ・スキッシはね、もともとジャズミュージシャン…ジャズ上がりでタンゴやってるんで。そもそも活動の内容…っていうか、彼はアルゼンティーナだからですけど。ワタシはジャパニーズですけどね。
とはいえですよ、先週お送りしたペペ・トルメント・アスカラールと、ディエゴ・スキッシが立ててる問題系ってのは、ほぼほぼ同じで。タンゴって音楽をどうしようか、と。
ま、ディエゴのほうがかなりタンゴ寄りだけどね。相当盛り上がりましたけどね。
今度ディエゴとプロレスやりたいですけどね(笑)。何がしたいかって言われると。
一緒に演奏…必ず言うの、欧米の人は。「今度一緒に必ず演奏しような。」「必ず曲の交換しような。お前に曲贈りたいし、お前も曲を作ってくれよ。」って絶対言うのよ。アントニオ・ロウレイロも言うし、バルダン・オブセピアンも言ってたからね。
「いやいや、ラジオで君のCDかけるのが手一杯だよ、こっちは。」って、いつも答えるんですけど。日本人らしく。
ま、とはいえやりたい事はそんな事よりもプロレスですよ。それはディエゴ・スキッシとワタシのツーショットの写真を、なんとかネットで検索していただければわかると思うんですけどね。ローランド・ボックに似てるんですよね、ディエゴ・スキッシはね(笑)。…なんで、プロレスごっこがしたいわけですけど(笑)。
…ディエゴ・スキッシ、馬鹿にしてると思われるといけないんで(笑)。すんごい立派なミュージシャンですよ。
ジャズ上がりのタンゴと取り組んでいる人ですよね。音楽聞いていただければすぐわかると思います。ペペ・トルメント・アスカラールと同じ命題を抱えたディエゴ・スキッシのキンテート。今年アルバムが出ました。
古い世代のタンゴの第一人者である、マリアーノ・モレスって人がいるんですけど、その人の作品を新しく換骨奪胎して、素晴らしいアレンジメントで、ディエゴがプレゼンテーションしてるってアルバムですけどね。
アルバム「TANGUERA」から「TANGUERA」、タイトルチューンですね。


タンゲーラ

タンゲーラ

  • アーティスト: ディエゴ・スキッシ・キンテート,DIEGO SCHISSI QUINTETO
  • 出版社/メーカー: Unimusic
  • 発売日: 2018/06/20
  • メディア: CD
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Bits & Pieces

Bits & Pieces

ラティーナ 2018年2月号

ラティーナ 2018年2月号

「JAZZANOVAの功罪。」

「粋な夜電波」第378回は、またしても「ジャズ・アティテュード」。
とりとめもない与太話と、最高の音楽。これがこの番組のトーン&マナーのスタンダード。
ジャズ特集が固定化されようが、急遽特集の回になろうが、番組の面白さは変わりません。
オープニング明けのトークと、ジャザノヴァの新譜を紹介したところを文字起こししてみました。

Blue Sky

Blue Sky

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの、そしてですね…
最近、急にあの〜…うーん、言っちゃうと場所バレちゃうかな、ま…いいやバレちゃってもね。事務所のすぐ隣の、最初スタンドバーだった所がですね、まったく同じ店のまま営業を拡張しまして、クラブになりまして(笑)。
クラブになるって、どういう事か?…別にただ単にでっかいスピーカー入れてDJ入れただけなんですけど。もともとスタンドバーだった場所がクラブになった…クラブだって言い張ってるだけなんで。結局どうなるかっていうと、騒音が外に漏れてですね、さらには客が外に漏れるんですよね(笑)。
クラブ営業してるの夜中なんで、場所柄…もうワタシ歌舞伎町じゃないですからね、もうちょっと固い所にいますから。もう夜中になったら辺り一面ピシャーッと閉まっちゃってますんで。もうそこだけからガンガン音出してるから、そもそも誰も住んでないって感じの所で、苦情も出ないんでしょうけどね。
とにかくもう…ゲロ吐いちゃってるんですよね、その店がブワーッて…1件だけ(笑)。まあ、二丁目からね…二丁目からの位置言うと分かっちゃいますけど、二丁目から流れて来た外人ですよね。ほぼほぼが白人なんですけど。
あの…白人どうのこうのって話じゃないですけどね。もう二丁目で飲んで、飲み疲れて、あるいは二丁目で揉めて、揉め疲れて。ほいで流れ流れて、「あ、ここに飲めるとこある。クラブあるんだ。」っつって来て。で、朝方にナンパしたりしてる…要するに、簡単に言うと…クソ外人ですよ、クソ外人!(笑)。
ま、別に…日本に観光に来てる…ね、海外からのお客様をクソ呼ばわり、SHIT呼ばわりするつもりはまったく無いですけれども。普段…ま、要するにどこの国だろうと、クソ外人ですよ。あんな酔っ払った状態のね。
酔っ払った白人ほどクソなものはないですからね(笑)。「いや、酔っ払った黒人や酔っ払った黄色人種だって、クソはクソだろう!」って言われたら、それはそうなんですけども。あんま「クソ、クソ」言っちゃいけませんけどね。


ま…とにかく白人ですよね。で、そんなクソ外人溢れるスクエアにワタシの事務所がありまして。事務所で静かに…人生の機微などを考えながら、いかしたエッセイなんか書いちゃったりして(笑)。そいで、編集者の方にパッと送信して。
「さあ、外でちょっと一服…なんでしょうね…強炭酸水でも飲もうかな、暑い夜だ。」なーんつって、おもてに一人降りると、もう…どーでもいいようなクソエレクトロニカが「ブッキャ、ブッキャッ…」って流れてて、クソ外人がブワーッていっぱいいるんですよ(笑)。
コンビニ行くのに信号渡んないといけないんで、信号の所に立ちまして。そうすっと、ものすごい視線を感じたんですよね。
視線はね、皆さんもよく感じられると思いますけど、後方からの視線です。厳密に言うと、左後方からの視線なんですけれども。
左後方から非常に熱い視線を感じまして。それがどうやら白人男性からのものだということが、なんとなくですね…「菊地’s EYE」によって、こう…分かってしまったわけですよね。
白人男性の…まあ、2メートル近くある、もう酔っ払ってクソ化している白人男性の視線を感じたわけですよね。
まあ…振り返って「ハロー。」なんか言った日にゃあ、何が起こるかわかんないですからね。
喧嘩だって事になりゃあね、まだそんでもマシですよ。マシって…良くないですけどね、やっちゃあね。やっちゃ良くないけど、まだ喧嘩ならマシですけど。抱きつかれたりした日には、どうしたらいいかわかんないですよね。その…二丁目から流れて来た可能性も十分ありますから。ちゅうのは、まあ…チューしてる奴らとかも見てるんで(笑)。
ヤベエなあ…と思って。早く信号渡っちゃえ…と思って。でも時差式でボタンでなかなかね、ボタン押して…で、道幅が広いんで、さっと駆け足で渡っちゃおうってわけにいかないんですよ、やっぱり。車の通りも多いんで。
なので、もうこれ信号待ちするしかないんですよね。で、じーっと待ってると、ジトッとした視線を感じまして。「ヤベーな、ヤベーな、ヤベーな、やだな〜。」と思って、青になってパッと飛び出したら、そいつがサササッと前に出たんですよね。


ちなみにワタシその時に、麦わら帽子・黒いTシャツ・半パン…もう海パンみたいなやつですよ、半パンに、サンダル履きだったのね。で、Tシャツだから左手のほうにちょっとタトゥーが入ってるのが分かっちゃったりするわけじゃないですか。夜中でも。
ほいで、ヤダな〜と思って、そんななりして…後ろから見たら女の子ぐらいのもんですよ、アタシなんか。ほんとに。あいつらから見たら。
いっそのこと…ま、同じ話になっちゃいますけどね、いっそのこと凶暴にガーンってやられたら、こっちもやり返す方法がありますからね。細いなりにね。小鼻に噛み付いたりとか、いろいろあるんですけど。
愛されたらどうしようって(笑)。萌えられてたらどうしよう…と思って、ブルブル震えながら渡ったら…そいつが俺を追い抜いて行ったの。
そしたら、そいつの格好が、麦わら帽子に黒いTシャツに半ズボンにサンダルで、左手にだけタトゥーが入ってて(笑)…「同じ格好してる奴がいるよ!」と思って見てただけってことが分かってですね…。
ま、非常に楽しかった…というわけですよね。
その後、ハローこそ言いませんけど、こっちニヤニヤしながらチラ見してたんで、「おんなじだね!」って感じで。
まあ、何て言うんですか…コントみたいなね。ペアルックっていうやつですね(笑)。でっかい・小っちゃいでペアルックでしたけどね。
はい、そんな菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしてまいります。


今週は、前回に引き続き3週連続で「ジャズ・アティテュード」ですね。先に申し上げましょう。来週も「ジャズ・アティテュード」です!(笑)。
来週は「ジャズ・アティテュード JAPAN」!…日本のジャズ特集(笑)。
もう「やめてくれ。」ってのも通り越して、なんかもう突き抜けた笑いがサブから湧き起こりましたけどね。こういう事を、誰にも相談せずに一人で決めている番組でございます。はい。
えー…The Coreのね、「Shoot The Evil Dog」…録音は1年前ですけどね、ノルウェーのジャズですね。北欧もんでございます。
やっぱり、あの…当たりがデカいよね。やっぱデカい奴らがやってるから。うん。
軽く打ったって「カンッ!」ってのがね、ウチらが思いっきりスナップ利かせて「カンッ!」ってのと、連中が全体重かけて軽く落としただけで「ドンッ!」ってのと同じぐらいでしょうね。ま、そういう世界ですよ。結局ね。


はい。さあ、早速もうどんどんいきましょう。ジャズ特集ですからね。
え〜…ジャザノヴァ!(笑)。
「えーっ、JAZZANOVAかけんの?」って思ったマニアの方もいらっしゃると思いますけど、ジャザノヴァをかけるんですよ。
何でかけるかって?…ジャザノヴァが今年新譜を出したからに決まってるじゃないですか。
「ええ〜っ!」っていうね。ジャザノヴァの全盛期は20年前ですからね。
それこそ「Nu Jazz」とかね。New(ニュー)って言わないで「ヌー・ジャズ」っつったんだけど。とか、「クロスオーバー」とか…いわゆるクラブジャズですよね。
ジャザノヴァはね…ちなみに今「へー、そんなのあるんだ〜。」って人のことはぶっち切って喋ってますけどね、JAZZANOVAってのは簡単に言うと…ドイツのもんですよ。
ジャザノヴァをね、ブラジルだと思ってる人とか、イギリスだと思ってる人…多かったんじゃないかなあ。20年前も。
新作がね、そうですね…11年ぶりだそうです。SPANK HAPPYと同じじゃないですか(笑)。
ジャザノヴァはね、功罪大きいよ。
ジャザノヴァはね…いや、もちろん「功罪大きいよ。」って、ジャザノヴァは功・罪だから良いところもいっぱいあったわけだけど。
ジャザノヴァが「JAZZANOVA」って名前じゃなかったら、あんなにもクラブジャズが4つ打ちじゃなかったと思いますけどね、ワタシね。
クラブジャズってのが4つ打ちで、「結局、ラテンハウスでしょ、これ!」って言われちゃう…っていうね。上に載ってるネタがジャズのネタだっていうだけで、音楽の構造的にはラテンのハウスじゃないの?って言うのが、クラブジャズの悪口っていうか、クラブジャズをくさす人の常套句なんだけど。
まあ、別にそんでもいいと思いますけど。ただただですね、なぜクラブジャズってもんが、4つ打ちに固定されてしまったのか?…もっとファンクやヒップホップに寄っても良かった可能性だってあると思うんですよ。並行宇宙には。
ですけど、やっぱりクラブジャズが4つ打ちのラテンハウスに似てしまったのは、ジャザノヴァがJAZZANOVA」っていう名前にしたからだと思うんですよね、ワタシ(笑)。
名前はすごい重要ですからね。言霊はね。言霊・ジャザノヴァですよ。
文字通りこれはジャズとボサノヴァの融合の言葉をですね、ドイツ人が考えたわけですよね。「JAZZANOVA」っていうのをね。
はい。11年ぶりの新譜でございます。ま、とにかく聞いてください。こんな感じになったわけです、ジャザノヴァもね。ちゃんと進化してますよ。
機械使う人たちは進化が速いよね。とりあえず、目先の進化は。
Heatwave feat. Oliver St. Louis」、ジャザノヴァの新譜からお聞きください。


DOUBLE UP, PLAYS DOUBL

DOUBLE UP, PLAYS DOUBL

エジプシャン・ジャズ

エジプシャン・ジャズ

「やる時はやる人でないと。」

「粋な夜電波」第376回はジャズアティテュード。ジャズの最新鋭を紹介。
時に旬のネタも絡めつつ、詳しい解説。
酷暑が続いたこの夏、ライブ後に脱水症状になりかけた話のところを文字起こししてみました。

Frisson Sextet

Frisson Sextet

Bamako Love Song (featuring Shabaka Hutchings)

Bamako Love Song (featuring Shabaka Hutchings)


はい。シェーン・クーパー率いる…このトラックは普通に…普通にっていうか、アコースティックの演奏ですけど、トラックが替わるとクラブミュージックだったりするんですね。クラブミュージックと生演奏を二股掛けしているユニットですね、これね。
MABUTAっていう。今ね、調べたら、ちゃんと漢字で「瞼」って入ってたんで、日本語の「まぶた」でしたね。
「Bamako Love Song」。フィーチャリングに言わずと知れた…言わずと知れたっていうか、好事家の間では有名ですね。シャバカ・ハッチングスってね。
ほんっとの好事家ね。そんなこと言う人は本当の好事家で、東京に何人いるのかな?…2〜3人ぐらいしかいないと思いますけど(笑)。
ワタシよく「テナー吹くとシャバカ・ハッチングスに似てる。」…逆の事言う人もいるんですけど。「シャバカ・ハッチングスって、テナー吹いてると菊地成孔に似てる。」って言う人が、たまにいるんだけど。まあ、ちょっとそういうとこがあるんですよね。
まあ、シャバカ・ハッチングスとワタシの一番違うところは、シャバカ・ハッチングスは合衆国にまで轟かんというフェイムを得ているのに対して、ワタシはサックス奏者だってことすら知らない人が多い…っていうようなことでしょうね(笑)。ここが大きいと思いますけど。
ここんとこ全然ね…ライブが無い時でもね、ほぼほぼ…教会に通うような感じで、日々の務めでサックス吹いてたんですけど。
SPANK HAPPY結成してからね、その…ODを踊らせるのが大変で。「踊らせる」って抽象的な意味じゃなくて、具体的な意味ですけど。ダンスさせんのが大変で。
1日のスタジオにいる時間のほとんどがそれに使われちゃってるんで。しばらくサックスも手に取ってないんでね。
「いやあ、風呂屋にも行ってねえやあ。」っていうか、何て言ったらいいんですかね…「最近、ウチ帰ってねえなぁ。」って感じですかね。「最近、家帰ってねぇやあ。」って気分でいっぱいですけども。
あ、でも今度ね、モーションブルーでライブがある…今度って来月だ。まあ、いいや。その話は(笑)。
久しぶりにサックスだけ吹くってライブがあるんですけどね。
ピアノがOD…ODじゃねえや、小田朋美さんで(笑)。ベースがペペ・トルメント・アスカラールの鳥越啓介くんで、3人でやるんだけど。その3人に、QNが入るっていうね(笑)。
知らない間に小さく歴史を変えてる男ってね。誰〜も知らないところで、地味〜に歴史を変えてる男。
歴史の中で生まれた歴史の男…って感じですけどね(笑)。
ま、辞任するまでのパフォーマンスとしては、相当なもんですけどね。ま、いいんじゃないですかね。
ボク連も柔連も水連もね…一緒にしちゃ、怒られると思うんですけど。あの…スポーツのアソシエーションの…
汚職があるとかね、犯罪があるって言ってるわけじゃないですよ。
だけど、真ん中がワイルドだったとしても、しょうがないでしょ。もう、だって。
そんな事までやいのやいのね…ま、あの方はいろいろ…悪い事した人はダメなんだけど。基本的にワイルドですよ。スポーツマンの人ってのは。
やる時はやる人たちですからね。あ…これはダメだな、使えねえな(笑)。
「やる時はやる!」ってのは微妙な…。犯罪とかじゃないですよ。あと暴力とかでもないです。
気持ちがね。「やる時はやる!」っていう人なん…
先週のメールでありました。「凄え殴りてえんだけど、私はやりませんけどね。」っていう人が多いのよ。要するに抑制が働いている人が。
だけど、スポーツマンってのは、それじゃできないから。絶対。
パフォーマンスやる人は全部そう。うちらもそうですよ。女の子だって、みんなそう。音楽家は。
「やる時はやるんだ。やっちゃうよ!」っていう人じゃないとできないですよね。
このニュアンスなかなか伝わんないですけどね(笑)。
「もう…やる臨界まで行ってるんだけど、鞘に収めて、敢えてやらない。」っていう人ってのはね、また違う仕事いくと思うんですよね。


(中略)


(メールを読んで。)


ま、酷暑ですよねえ。いろんな事に気を付けて下さい。
ワタシね、こないだSPANK HAPPYのライブ…スパンクスの話ばっかりしてちゃいけないんですけど。
毎週…3週連続であって、今週末もあるんで。で、こないだ単独ライブ…初単独ってのやったんですよ。
え〜…空調がどうやら壊れてたらしくて、途中からずーっとサウナみたいな感じになってきて。
あっちゅう間にODの衣装が、もう水に飛び込んで上がってきた人みたいになっちゃって。ええ。ワタシのスーツもそうですけどね。
ワタシ、DJの時はTシャツだったんですけど、いちおう自分でスタイリングしてるんで、「これはフロアん中に入ったらヤベエな。」と思いながら、ジャケットを着ていった。
これがね、「やる時はやる人間」のことなんですよ(笑)。
普通だったら、Tシャツ脱いで飛び込んで行くところですよ。でも、そうじゃないっていうね。
「ちゃんとウェアリング決めたんだから。」っつって。
TシャツでDJやってるだけでも、もうフーフーだったの。で、今からあの灼熱の…DJブースからSPANK HAPPYのステージまで結構距離があったの。で、そこ行くまでに、もう相当な…何℃か上がってるってのが分かってはいたんですけど、敢えてそこに上着着て行くってのは…。
だから、サウナ入る時にですよ、みなさん。裸でサウナに入って、また水かなんか浴びてから入るでしょ。あの逆で、サウナに入るのに、それまで裸だったのに、サウナに入る直前にスーツ着て入るのと一緒ですよ。
だから、そういう気持ちで始めたところ、二人とも脱水状態になっちゃって(笑)。
それ以前にお客様が脱水状態になったかもしれないですけど、倒れられた方がいらっしゃらなかったのでね。幸いでしたけども。
その…二人とも脱水状態になっちゃって。気が遠くなっちゃって(笑)。頭が軽く痛くなってきちゃって、「危険だ、危険だ!」とか言って。終わった後、水飲んだんですよ。「水、飲め!飲め!」って言われて。スタッフに。
でもね、本当に脱水すると、水入ってこないね。身体に。
あのね、具志堅さん…具志堅用高さんがテレビで発言してて、すごい感動して、いまだに憶えてる言葉があるんですけど。
「12R戦って帰って来て、喉渇いたから水飲もうとしたら、もう舌先が全部水吸っちゃって…口ん中が。喉でゴクッて水入ってこないよ。」っつってましたね。
要するに喉まで水が到達しないんだ、と。口先の所で…(笑)。
脱水を起こしてると、口先の所で水が全部吸い取られちゃうんで、シューッて。だから、ゴクッて…ゴク、ゴクッて飲みたくても入ってこないんだっていう話を、具志堅さんがしてて。「凄えな、ボクサーって…」って思ったんですけど。
あのね、逆の経験しましたよね。水飲め!っつって、ガブガブ飲むんですけど、まったく吸収されないんですよ。だから乾きが癒えないの。腹ばっかり張っちゃって。
で、「ヤバいな、この状態。」と思って。全然その…「脱水した感じがね、潤わねえ、水じゃ。」と思って。
そいで…ワタシね、普段甘い飲み物ってのを飲まないんで。それは何と言わずですよ。コカコーラ・ゼロとか、そういうのもめったに飲まないです。何年かにいっぺんしか飲まないんで。
飲まなかったんですけど。イオンサプライ飲料っていうんですか?…まあ、コカコーラ・ゼロまで言って、ポカリスエットの名前出すことに遠慮する必要ないから出しますけど(笑)。ポカリスエットってのを飲んだの。
そういうもんが売ってるっていうか…何て言うんですか、イオンサプライ飲料って水分補給用の物が存在するってのは知ってたんですよ。「でも、絶対水に敵うわけねえじゃん!」とかいう…まあ、偏屈に。「水が一番だよ、結局。」と思ってたんですけど。
ビックリしたのね。イオンサプライ飲料飲んだら、うわーっとすんげえ勢いで(笑)。プラシーボかもしんないですけど。もう、あっという間に渇きがね、秒速で渇き感が無くなったの。
さっきまで目が吹っ飛んで、フワーッとなってたODに、「飲め、ポカリスエット!」って飲ましたら(笑)…ODの目もキリッとして。
「スッキリしましたぁー。」とか言って。「目が冴えたじゃないスかぁー!」とか言って(笑)。元に戻ったんですよね。
だから、危ないところだったんですけど、ポカリに助けられたっていう感じですね。初めてああいう物の効用を知りましたけどね。

「鬱…とはいえ。」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」第375回はスペシャルウィーク
「音楽漢方菊地堂」と題して、リスナーから募集したお悩みメールに音楽で回答するという企画。
悩みに誠実に向き合いつつも、軽く笑い飛ばせるくらいのウィットとユーモアを添えて粋な選曲。
トークの一部を文字起こししてみました。

Killing Time

Killing Time


女性上位時代 【DSDリマスタリング】

女性上位時代 【DSDリマスタリング】

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」ですよぉ〜。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしておりますよぉ〜。
今週は「音楽漢方菊地堂」開店。皆様から寄せられたお悩みに、私、菊地成孔が音楽でお答えしています、と。まあ…こんな感じですよ(笑)。
特にね…まあ、あと2つですけど…。とにかく、悩んでる人が、あのねえ…
そう。ま、しょうがねえんだよなあ〜。やっぱり。
あのね、やっぱ鬱っぽい…っていうね。とにかく鬱っぽい…で、いろんなものの適応障害だっていうふうに、お医者様に言われたんだ、と。自分でもそう思ってるんだって方が多いですけど。
そうですねえ〜。今…鬱病はね、怖い病気ですから。こじらせたら…どんな病気だってそうですけど、こじらせたら死病ですからね。死に至る病になりますけど。
ワタシも…近親者っていうかね、鬱病から自殺した近親者いますけど。
何つーんでしょうね、とはいえ…ですよ。
今ね、鬱だとかメンヘラだとか…ま、メンヘラと鬱一緒にしてないでしょうけどね。…っつってんのは、極端に言ったらですよ。まあ、敢えて言いますけどね、敢えて挑発的にポップに言いますけど。
今、鬱だメンヘラだっつって喜んでんのは…要するにね、「偽鬱(ぎうつ)」って言葉もあんの。「偽(にせ)」。
うん。放送では言えないですけどね、昔は「似非(えせ)何々」っていうのがあって、「エセ」…「丘サーファー」みたいなもんですけどね(笑)。
今、とにかくね…インターネットによって、人格がこう…キャラクター化して、独立しちゃって、止めらんない人多いから。
スマホ…まあ、悪ぃ機械ですよね。良いとこもあんでしょうけどね。いつ良い奴になるんでしょうか(笑)。わかりませんけど。
若い子なんかにね、「あれ、良い奴になる時あんの?」っつって。大震災の時は確かに善玉になったよね…って、ワタシ「時事ネタ嫌い」って本に書きましたけど。ま、そういう事ありました、確かにね。
ですけども…だいたいね、やっぱりあれ持っちゃうと鬱々としちゃいますよね。
あんなに民の言葉が超能力みたいに、まとめて耳に入ってきたら、誰だってまともじゃ…普通に元気にいらんないですよ、あれ。
で、もう脇固めて自制して生きるしかなくなっちゃうから、のびのびしねえし…。しょうがないけどね。依存症だからね、あれは。依存しちゃってるもんね。
ワタシの知り合いのね、伊藤俊治先生っていう…民俗学とかやる方…あ、伊藤俊治先生の専門は民俗学じゃないですけど。ほんで、民俗学のフィールドワークなんか行って、密林とか行ってね。学生に「ここWi-fi全く無いから。」って言うと、どんどんどんどん過換気発作とか起こしていくらしいですよ(笑)。その…通じないってことで。そうなってくると、完全に依存症ですよね。
で、多いんだけど。だけどね、偽鬱みたいな人もいると思うのよ。
昔から「丘サーファー」とかね、「エセ○○」とかあって、だから今だって言われるべきなの。
自己申告したら本当、ネットに書き込んだら本当…とかじゃないですからね。
逆に言えばですよ、ほんとにハードコアに苦しんでる方は本当に大変だと思いますから、お医者様にも任せますし、我々も頑張ります、音楽で。ですけども、ま…似非でやってる方はね、今生きづらいとかメンヘラとか言ってる方は、だいたい自意識過剰ぐらいの人…程度の人で。鬱々としてるっつったって、それは何つったらいいか…「メシ食い過ぎたんで、腹が張ってる。」って言ってんのと大して変わんないと思いますよね。
そのくらいの悩み事が多かったです、とにかく。めちゃめちゃ。はい。
もっとこう…スカッと爽やかなね…悩み事、例えばこれですよ。


(「機械が苦手でトラブルを起こしがちです。機械への苦手意識を無くすような1曲を選んでいただけますでしょうか。」というメールを読んで。)


(中略)


…機械と自分はもう…何て言うか、バディ(相棒)でしょ。一緒のもんでしょ。
だから、機械ってのはブラックボックスで冷たい物で、自分がそれを操ってんだって思うと、この方みたいに悪戦苦闘するんですよね。やっぱり。
ワタシなんかね、パソコンで本書いてる時に…あれ何て言うんでしょ、クルクルクルクル…ってなっちゃって、いつまでたってもクルクルクルクル…ってなってて、全然戻ってくんない時に、恫喝しますからね(笑)。
「オマエ、ほんとに叩き壊すぞ!」っつって。軽く持ち上げたりして。
「いいんだ、全部ぶっ飛んだって。中に入ってるのが惜しいと思ってる?…何にも惜しくないよ!」っつって。
「ほんとに…こっから…窓から落とすから。もう俺パクられてもいいから、壊すぞ!…ほんとに。」って言うと、止まりますからね。ピッ!って。「すいません!」みたいな感じで。ほんで、原稿元に戻りますから。
だから、やっぱり…「人間機械論」!…ノーバート・ウィーナー(笑)。どうでもいいんですけど。
まあ、そんなつもりでね、機械と付き合うといいと思うんですよ。だから…
ワタシ、機械も生きもんだと思ってます、ほんとに。
だから、スマホなんて大変なプレイボーイで、ものすごい…なんかヤクの売人みたいな奴ですよね。みんなを全部依存させて、自分に。
「お前ら、俺無しじゃ生きていけねえだろ。ヘッヘッ…。」みたいな感じですよね、なんか(笑)。相当なタマですよ、あれは。奴さんは。だからマズイな〜と思って。
時計なんかもね、「ちょっと…もうちょっとゆっくり行ってくんない?」とか思う時とかね、ちょっと秒針が遅くなったりしますよ(笑)。気持ち込めれば。
あとね、ワタシは筋トレするんで、プランクとかいって、こう…腕立て伏せの格好でピタッと止まったりすんのね。で、「もうちょっと早く…あと5秒だから早く行ってくれ、早く行ってくれ!」とか思うと、ちょっと秒針が「じゃ、そうスかぁ。今だけっスよぉ。」みたいな感じで、ちょっと早く動いて(笑)。あと5・4・3・2・1が、ちょっと早く動いたりするんですよ。ほんとに。
でね、何が言いたいかっていうと、このガーハーさんは、機械に対して苦手意識もあるし、気持ちの通じない道具だと思ってんでしょうね。ですから、やっぱ機械を自分が上手く操れないんじゃなくて、機械のほうに…「もっとこう…ちゃっちゃっと行ってよ!」っていう。「元気出して!」っていう…ね。
機械を元気付ける。機械の立場に立って…(笑)。機械を元気付けて、機械にヨイショしてね。「お前、やっぱ凄いね!」みたいなね。「やっぱ便利だよ〜!」みたいな感じで(笑)。
機械をヨイショして…そういう音楽ですよ。機械が喜んで、シャンとして、「これ、アガってキター!」みたいなね。だから機械がパリピみたいになって、「よっしゃ行くぞ〜!…ウッヒャー!…もう踊りまくりっスよ!」みたいな曲を選んでみました。機械にとってね。
これ、ワタシの生徒さんなんですけど。委細くんっていう、大変な才能を持ってて。本名なんですけど。大変な才能を持ってます。
この番組でもかけた事あります。「Title fit I felt it」、完全なコンセプチュアルアートのアルバムで、曲のナンバーがアルファベットと照合されてんの。だから「kikuchi」っていうふうに作りたかったら、「K・I・K・U・C・H・I」っていう曲順で…曲が組めるんですよね。
で、「kikuchi」組んでんのも面倒くさいんで、今日は「L・M・N」。12番キー、13番キー、14番キー…要するにタイプライターになってるんですけど、全体が。その3つのキーを聴いて、連続で聴くことで、まあ…タイプライターの立場からいくので、このガーハーさんのパソコンも少しは盛り上がるんじゃないかなっていう気持ちを込めて、いってみたいと思います。


「時すでにお寿司。」

「粋な夜電波」第374回。
前々回の「King & Prince特集」、前回の「SPANK HAPPY特集」への反響が大きかったことを報告しつつも、通常運転のフリースタイル。
うなぎが食べたい思いを堪えつつのトーク、その一部を文字起こししてみました。


Utopia

Utopia

あの〜…行きつけの鮨屋の時計がジョーク時計で、多分大将の趣味だと思うんですけど、いろんな所にその鮨屋はジョーク製品…ジョーク湯呑とかね、ジョーク皿とかね。
ちょっと前ですよね、55年生きてきたけど、一番…何がヤバいかって、最高にヤバいのは何だったかって言われると、シブがき隊の「スシ食いねぇ!」の時の、寿司がいっぱいくっ付いているベルトだって話しましたけど(笑)。まあ、あのベルトはさすがに置いてなかったですけどね。
その鮨屋がジョークが好きなのね。で、時計が…こう全部12個の寿司になってるんですけど、ま…それはいいんですよね。そのぐらいはね。
寿司ジョークの定番ですよね。なんか全部が寿司になってるっていう。「スシ食いねぇ!」のベルトもそうですけどね(笑)。ま、ベルトってのが一番凄いですけど。

なんだけど…そこにね、達筆な墨黒鮮やかな筆文字で「時すでにお寿司。」って書いてあんですよ。で、まあ…(笑)、まーまーまー…ジョーク時計なんでしょうね。ですけど、「いいの?」っていう(笑)。その…「時すでにお寿司。」ってのを、食いながらジーッと見ることになるんですよね。
「いい事思い付いた!」っていうんで、もう商品にしちゃって、「あ、面白いもんがある!」って買っちゃって。んで、「こういうの好きだ。」ってんで飾っちゃった…っていう流れですよね。物流…ってことですかね。物流じゃないか、今のは(笑)。
その結果、大変美味しいお鮨屋さんなんですけども、「どうなの?」って気持ちが抜けないまま、こう…フグの唐揚げとかつまむわけですよね。
はい。そんな…粋とは程遠い菊地成孔が…お送りしております(笑)。「粋な夜電波」でございます。TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
まあ…そうですね、久しぶりのフリースタイルですけども。そうでもねえか。
もうメールボックスがですね、メールボックスっていうか、とにかくね…ジャニーズとSPANK HAPPYでいっぱいですね(笑)。変わった状況ですよね。
ジャニーズ事務所は…ちゃんと検索すればわかりますけど、アタシが生まれるか生まれないかってあたりからあるはずですし。
あれ、確かナベプロから独立していくようなかたちで出て来たんじゃないかな。ちゃんと憶えてないですけどね。
もともとジャニーさんって、日本に少年野球やりに来たんですよね。少年野球のリーグ作りに来た人ですよ。そいで、ジャニーズの野球大会があるんですけどね。
まあ、とにかく…何が言いたいかっちゅうと、ジャニーズ事務所も昔からありました。SPANK HAPPYもね、なんだかんだ言って、アタシ一番最初に始めたの一期ですからね。

SPANK HAPPYってね、「スラップ・ハッピーSlapp Happy)」ってバンドがあって(笑)。ダグマー・クラウゼっていうヴォーカリストがいるんですけど。
この話はラジオでした事ありますね。年寄りの繰り言みたいになっちゃいけないんですけど。
で、アタシ…ダグマー・クラウゼに、ボローニャね…イタリアの、まあちょっといろんな事して、はしゃいでヤンチャしてた時に、たしなめられた事があって…ま、それはいいんですけど(笑)。
そっからきてるんですね。「スラップ・ハッピー」ってバンドがあるんですよ。「スラップ」は顔面を張るって意味ですね。「スパンク」ってのはケツ叩くことですよね。スパンキング」ってのは、SMを嗜む方ならどなたでも知ってる言葉ですけど。「お尻ペンペン」とか日本語だと言いますね。あれを「スパンキング」って言うんだけど。
だから「おはよう!スパンク」とかいうアニメがあって、犬が出てくるんだけど、犬のケツを叩くのか、犬がケツを叩いてくれるのか…よくわかんないな〜と思いながら、一回も観たことないんですけど。ま、それはともかくですね。
SPANK HAPPY始めたのが92〜3年ですからね。まだ若かったですからね。92〜3年って…ワタシ30じゃないですか!確か。30!?…おお〜っ…30すか!。今のODの年と一緒ですね。何がなんだかわかんない、年齢ってね(笑)。55になると、年齢ってのは何だかわかんないですね、もう。
ですけども、そんな二つがですね…そんな二つってのは、つまりジャニーズ事務所SPANK HAPPYってことですけど(笑)。
それで、8年間やったこの番組のメールが、それでいっぱいになるっていう状況自体が、非常に…何て言うんでうかね、シュールレアリスムですよね。「時計台の上で…コウモリ傘と鰻丼が出会った」…みたいな話ですけど。
ま、今…ほんとは鰻丼じゃないんですけどね。鰻丼が今、すごく食いたいんで。
今、フジロックに向けてダイエットしてるんですよね。ワタシは…いろんなダイエットがありますけど、もちろん運動を中心でトレーニングすんだけど、食事もやるんですよ。で、炭水化物抜くんだけど。
ま、炭水化物抜いても、そんなに苦しくないです、正直。肉ばっか食ってれば。意外と大丈夫なほうで。炭水化物抜くとキツくなるって人もいるんですけど、それは平気なんですけどね。
鰻丼だけはダメですね。この季節は鰻丼食わないと…土用丑の日…なんすかアレ、毎年移動するんですか?…何でもいいんですけど。
鰻が大好きでね、もうとにかく。生まれて初めて食った御馳走…ていうか、あれ何歳ぐらいかな?…4歳ぐらいだと思うんですけど、生まれて初めて…要するに「ほっぺたがような落ちる感覚」っていうのは…。
「最初に買ったレコードは何?」とかって、よくバーでやってんのね。「それ聞くといろんな事がわかっちゃう。」なんつって、大した事わかんないと思うんですけど(笑)。あれ訊いたところで。「帰ってきたヨッパライ」とか言われてね。よくわかんないですけど(笑)。
「最初に食った、本当に美味いな〜って思う物は、幾つの時?何食った時?」ってのは、結構重要だと思うんですよね。
ワタシの場合は、それは鰻で。
銚子ってのは、利根川と太平洋ですから。銚子市ってのは。なんで、鰻が獲れるんですよね。
で、鰻が大好きで、今でも大好きなんですけど。
やっぱ鰻丼が、この季節食えないってのはね。フジロックのためにとはいえね。ま、フジロック終わったら、すぐ食いますけど(笑)。今、鰻丼のことで頭がいっぱいですよね。
こないだちょっと…ホスト君かな?…「もうとにかく何にも考えらんねえよ、チーズタッカルビのことで、今オレ頭いっぱいだから!」っていうホスト君の話しましたけどね(笑)。
ま、今いろんなメール来てますけど、ワタシの頭ん中、鰻丼のことでいっぱいなんで(笑)。メールどころじゃないんですけど。いちおう読みますけどね。

(中略)

だって、そもそもね…あん時ね、マス・ヒステリーを恐れてですね…「マス・ヒステリー」って言葉も懐かしいですけどね。
マス・ヒステリーを恐れて「来週、King & Prince特集です!」って敢えて言わなかったんだもん。
言うと、絶対嗅ぎつけて沢山の人が聴いて、数字が上がっちゃうからね(笑)。上げたくないですから、今。
そうさせないためにですね、敢えて「来週はフリースタイル。」っつって伏せて、開けたら…ゲート開けたら「King & Prince」の話するっていう回にしたんですよね。

(中略)

ま、このような投書がたくさん来ております。とにかく「キンプリ」に関しては聴いていただくということで(笑)。特にダンスですよね。
とにかく「Funk it up」のね…

この話はSPANK HAPPYとも繋がってくるんですけど。
SPANK HAPPYの振り付け、アタシがやってるんで。
ODはもともと…今でこそ全然いい調子で踊ってますけど、もともと…
ODの前のヴォーカルの岩澤さんって方もね、ボックス踏むと目回って倒れちゃう(笑)…ほんとに。本当ですよ。ボックス2〜3回踏んだらね、ぐるぐるバットみたいになって倒れちゃう人だったの。全然踊れないわけ。
一番最初のハラミドリさんって方はダンス得意で。だけどね、ジャズダンスとかタップダンスとか、そっちのほうなんですよ。なんで、ちょっとダンスの好みがワタシと違ったんですけど。
で、岩澤さん全然踊れないから、やっぱ限定されるわけね。ま、いいやSPANK HAPPYの話は。1曲いきましょう。

Wasted Callaway

Wasted Callaway