成れの果て。


椿屋四重奏のニューアルバムが未開封品で500円で売られているのを見つけたので買ってきた。
椿屋といえば、ワタシの中で「最も失望させられたバンド・第一位」なのだが、それは期待感が大きかったからであって、最近の曲のクオリティが著しく下がっているというわけでもないのかなと思い、なんだかんだで中古で見つけると前アルバムも、前レーベルのベスト盤も買ったりして、ほぼ全部の音源を持っていたりする。
「突き刺すロック」と帯に名打たれたデビューミニアルバムと、1stフルアルバム「深紅なる肖像」は傑作だった。
トリオなのに四重奏?でも高い演奏力とダイナミックなバンドアンサンブル、すべて和の言葉の歌詞で表現される、中田本人言うところの「艶ロック」の世界観……、新人にして志の高さも感じさせ、大いに期待したものだった。
ライヴ会場にも何度も足を運び、九段会館で初のホールライヴを行った際には、「いよいよブレイク寸前だ!」と祝祭ムードに包まれ、確実にファンも増やしていて、前途揚々だったのに。
インディーのUKプロジェクトを離れ、メジャーレーベルへの移籍を決意したあたりから、「早く売れたい」という焦りが出てしまったのだろう。
「ファンに対してより開かれたバンド」を目指したのだろうが、和言葉のみの歌詞という制限を外し、横文字も使い始めたことは、結果的にこのバンドの最大の特長を打ち消すことになった。
(「そなたの熱をかたはらに…」と歌っていたバンドが、「シンデレラ/アンブレラ」だものなあ…)
確かに中田の声質からいって、シャウトするよりも歌謡メロディを甘く歌いあげる方が向いているのだとは思うが、それでも今の中途半端な歌謡ロックで、例えばリスペクトすると言われているザ・イエローモンキー並みの成功が得られるとでも本気で思っているのだろうか。
昔に戻れとはいわない。ただ、もっと志は高かったはずだ。奮起をうながしたい……(てエラそうに言ってみたけど、いち元ファンにすぎないのでね、頑張ってください)