「仮借なき明日」

仮借なき明日 (集英社文庫)

佐々木譲作品を読むのは初めて。
企業小説をハードボイルドに仕立てたストーリーは刺激的で、すぐに引き込まれて一気に読んでしまった。
簡潔な文体も読みやすい。主人公があまりにハードボイルドすぎるので、感情移入はしにくいが、強い決断力をもってピンチを切り抜けていく様は痛快だ。
最後の銃撃戦のシーンはさすがにやり過ぎな感もあるが、これを原作として映画を作るとしたら、クライマックスとしてはずせないのかもしれない。
よくベストセラーランキングにその名があがるので、著者名だけを覚えていた程度だったが、警察小説だけでなく冒険ものや歴史ものなど幅広いジャンルを手がけているらしい。
現代社会の問題をうまくフォーマットに落とし込むのが得意らしいので、他の作品も読んでいくと、「佐々木節」というのが通底しているというのがわかってくるのだろう。