「マイルス・デイビス自叙伝 2」
- 作者: マイルスデイビス,クインシートループ,Miles Davis,Quincy Troup,中山康樹
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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ジャズを聞き始めの初心者としては、やっぱりマイルスから入ることになりまして…。
やはり中でも、現在のブラック・ミュージックと共通点の多い「エレクトリック・マイルス期」の盤からが聞きやすい。
「ビッチェズ・ブリュー」「オン・ザ・コーナー」などファンクの要素の強い曲の入った盤は、今聞いても単純にカッコいい!と思えた。それはやはりDCPRGのコンセプトの基にその頃のマイルスがやっていたことに通じるものがあると、聞き取れたからでもある。
なので、マイルスの伝記本も前半をすっ飛ばして後半からだけ読んだ(笑)。
生い立ちとかはともかく、70年代のあのマジックかかっていたころの音楽がどうやって生み出されたのか、秘話的な内容になっているのではないかと思って…。
ロングインタビューをまとめたものだとはいえ、マイルス本人の口から語られる当時の状況はすごくリアルに感じられた。
細かいことまで覚えているその記憶力の良さから、まずはマイルス本人が、ものすごく頭が良い人だということがすぐにわかる。
そして、酒やクスリや女に溺れていたことも包み隠さず話すマイルスの正直さにも驚く。
だから、そのうえで、はっきりとした確信を持って新しい音楽を生み出そうとする真摯な態度が一貫していたことも、信用できる。
波瀾万丈の人生でありながら、「あの頃のオレはワルだった」的なかまし半分の妙な自慢に陥ることなく、淡々と語っているが、とにかく彼にとって音楽が最重要であったことだけは疑いようがない。
過去の栄光に固執せず、常に音楽を進化させることにのみ興味が向いていて、その結果偉大な功績を残してきたマイルスは、やはり比肩する者がいない突出した存在なのだということもよくわかる。
帝王と呼ばれ、絶対的なリーダーとしてバンドに君臨するその佇まいから、傲慢で横暴で粗野なイメージも持たれるが(実際そういう側面はあったかもしれないにせよ)、過去の偉人に対する尊敬、バンドメンバーの素質を鋭く見抜く客観性、自分より優れた才能を認める謙虚さ、仲間の私生活まで心配する優しさなども垣間見える。
「なんだ、マイルス、すげえいいヤツじゃん!」と思ってしまった自分は、まんまとこの本にしてやられたクチなのかな(笑)。
ジャズメンの一筋縄ではいかないアクの強さなどまでは、まだ読み取れない初心者なので…。