「ミラーボール発明者にノーベル賞を。」

「粋な夜電波」第122回放送は、人気企画「ソウルBAR〈菊〉」。
店長と見習いバーテンのベーアー、一人二役の掛け合いも久しぶりということで、ちょっとグダグダでしたが…それもまたパーティー感ということで(笑)。
そんな愉快なトークの中に、さりげなくメッセージがこめられた冒頭部分を文字起こししてみました。

エスカポロジー

エスカポロジー

1941年から43年まで。そして1955年、56年。66年と67年。さらに1972年。
何を意味するか、お判りだろうか。
何かの音楽が豊作だった年?
ソウルミュージック界の重要人物が、生まれたり、死んだりした年?
NO、NO。これはノーベル平和賞の受賞者がいなかった年だ。
1941年から43年まで。そして1955年、56年。66年と67年。さらに1972年。
しかし、他の5部門と違い、戦争の世紀であった20世紀とともに設立されたノーベル賞の中で、平和賞はあらかじめ「ポリティカル・コネクトネス」…政治的な適正性が放棄された賞だと言えるが、ノルウェー・ノーベル委員会は20世紀後半から、それを激化させる。
イラク戦争が最悪化した07年にアル・ゴアが。
バグダードからの戦闘部隊が米国史上最悪と呼ばれる集団的トラウマとともに撤退した09年に、バラク・オバマが。
各々イラク戦争とは全く無関係な理由で、平和賞を受賞したのは、その突端と言えるだろう。
今夜、番組を開始するに際し、ノーベル財団ノルウェー・ノーベル委員会に対し、「ゴア、オバマ両名への授与の剥奪」並びに「平和賞自体の廃止」を要求する。
最後のノーベル平和賞の受賞者が、ミラーボールの発明者になること…それが我々の最終的な目的だ。


そうさ、プレジデント。また9月が来たぜ。
オマエのそのでかい耳がまだ音楽を聞くことが出来、演説が得意なオマエのハートがまだビートに触れるソウルを捨て切っていないとしたら、お気の毒としか言いようがねえな。
(曲)

店長 そうさ、プレジデント。また9月が来たぜ。
オマエのそのでかい耳がまだ音楽を聞くことが出来、演説が得意なオマエのハートがまだビートに触れるソウルを捨て切っていないとしたら、お気の毒としか言いようがないぜ。
つまりオマエは、このエレクトリック・ソウルBARから二回目のアンセムを喰らわされるってわけだ。
誤った平和賞は砕け散り、オマエは踊り、嫌でも愛し合うことになるだろう。
オーケー、DJ。Play that again, and put it back on! もちろん爆音で…だって
…あれ?…バーテンのベーアーはどこだ?…バーテンのベーアーは。今回はいつもと逆だな。
ベーアー、ベーアー!…出てこいよ。なんでそんなカウンターの下に隠れてるんだ?
ベーアー そんなこと言っても店長!…こんなレジェンダリー・トラックの上に自分のダミ声をミックスするのは恐縮至極。でも今夜はお客様でいっぱいであります。
店長 世界に痛めつけられている子羊たちで、ソウルバーは今夜も満員ってことだな。
ベーアー どうやらその通りであります。見渡す限りの人の列、儲かって儲かって仕方がありません。子羊の数を数え過ぎて、安らかに眠ってしまいそうであります。
店長 よっしゃ!ジャック・ダニエルズとカルシウムがいっぱい入った牛乳と、南極で崩落した氷の準備はいいか?
ベーアー アイアイサー!…キャバクラ仲間の皇帝ペンギンに連絡して、赤坂まで運び込みました。
店長 よっしゃ、開店だ!
ベーアー はい、いらっしゃいませ。TBSラジオ局長賞受賞番組「菊地成孔の粋な夜電波」、今夜はソウルBAR〈菊〉からの中継放送。最高の選曲と最高のウイスキーミルクで、お・も・て・な・し!…うわ〜、言っちゃった〜。…オバマ!…ミッシェルと逢った9月を思い出せ!
(曲)

店長 はい、お聞きの曲は2013年、穫れ穫れの作品ですね。メイリー・トッドで「Baby's Got It」。
自分の彼氏をベイビーと呼ぶ歌は数千万曲あると思いますが、実際の赤ん坊と自分の彼氏をダブルミーニングした歌詞というのは、非常に珍しいパターンだと思います。
あの…非常に変わった才人ですね。ある種、不思議ちゃんと言ってもいい感じですね。
ベーアー トロントの「けもの」の青羊さん…といった感じでしょうか。
店長 ま、そうですね。はい、というわけで、曲の途中ですがCMです。
ベーアー え?そんなことやっていいんですか?
店長 だって今日、音楽がノンストップなんだもの。

※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。