「菊地訳『Super Rich Kids』」
2週分放送が飛んでしまった、TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」。
第128回は、野球中継のためにお蔵入りになる覚悟で収録した実験的な内容のものを放送。
1曲の日本語訳詞を作りながら解説していくというもので、お題の曲はフランク・オーシャンの「Super Rich Kids」。
歌詞の内容を吟味すると同時に、R&B〜HIP-HOPの分析&解説にもなっているという、まさに菊地先生にしかできない、素晴らしい内容の番組になりました。
音源を聞きながらの放送になるため、Podcast配信が難しいと思われましたので、ほぼ全内容を文字起こししてみました。
(過去最長、渾身の文字起こしです(笑)。)
- アーティスト: フランク・オーシャン,ジョン・メイヤー,アンドレ3000,アール・スウェットシャート
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2012/08/22
- メディア: CD
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はい、現在収録中ですが、収録している今日は10月23日の水曜日です。
ま、こういう時だからこそっていうかね、普段やれないようなことでもやってみようかな?…ってことを考えまして。
今夜はですね、1曲しか聞きません。
あえて1曲にしてですね、その曲の歌詞…ですよね…を、少しずつ訳していく。英語の勉強でもあるってね。
英語の勉強っつっても、ワタシ先生じゃないですよ。ワタシ、英会話もろくすっぽ危なっかしい人間ですから、皆さんと一緒に考えていくってね。…どうやって一緒に考えていくんだか、よく分かりませんけども(笑)。ま、やってこうって感じで。
まずは1曲、聞いてみましょう。
あの…「もう聞いちゃうの?」って話なんですけど、実はですね、カバー楽曲なんで、元々のオリジナルがあります。そのオリジナルを聞いてください。メアリー・J.ブライジさん…この楽曲自体は90年代のもんです。
えとね、聞いていただきたいのは…まあまあ…聞いていただきたいのは全部ですけど(笑)。特に注目していただきたいのは、サビだけです。
サビは…カタカナで言うとですよ…「リアル ラブ。 アイム サーチング フォー ア リアル ラブ。リアル ラブ。 アイム サーチング フォー ア リアル ラブ。」…これだけですから、このサビだけを注目してください。
このサビだけを抜いて、前後を足したトラックってのが、今日1曲だけ聞く曲になります。フランク・オーシャンがカバーしてるんですけどね。
というわけで、サビにご注目ください。
メアリー・J.ブライジで「Real Love」。
(曲)はい、お聞きいただきましたね。さっきの「♪リアル ラ〜ブ」って、また出てきますんで、そこ注目してくださいね。
(曲)
…はいここまででだいじょぶです。これを短期記憶でよく覚えておいてください。CMです。
(CM)
はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔がTBSラジオをキーステーションにして、全国にお送りしております。
ま、今回はなんといいましょうかね、「R&B・HIP-HOPの歌詞を訳していく、1曲だけしかプレイしない」ってコンセプトで進めていきますね、これね。果たしてそういう感じで番組1時間もつのかしらね?っていう。
え〜…メアリー・J.ブライジの「Real Love」聞いていただきました。
「♪リアル ラ〜ブ。アイム サーチング フォー ア リアル ラブ。」…もう入りましたね、これね。
ここだけサンプリングして、前後を作って…フランク・オーシャンですね…フランク・オーシャンはもうR&B…ていうか、ブラックミュージックファンの方には、もう今や…「Ollie(オーリー)」とかを買うとね…「Ollie」ってのはヒップホップのウェアの雑誌ですけどね(笑)。ワタシがいつも買ってる「Ollie」とか買うとですね、まあ…エイサップ・ロッキー、ワカ・フロッカ・フレイム、ケンドリック・ラマー、タイラー・ザ・クリエイター…四天王と言われてる20代の非常に才能豊かなラッパーなんかと並ぶ…やっぱり25〜6歳だと思いますけど、この人はラッパーではなくて、R&Bのシンガーですけどね。
先日、ゲイ…じゃねえや、バイ…か…セクシュアルであることをカミングアウトしたとか、しないとか?
え〜…R&B〜HIP-HOP界で、大変勇気のある行為だと思うんですけどね。言われてみれば…的な感じで、随所にちょっとそういうセンスが感じられる、ま…さっきのメアリー・J,ブライジの「Real Love」の小節…歌詞のラインで言えば2Lineだけ、小節数で言えば4小節から8小節だけですね…そこだけサンプリングしてるんですけども。
これ、何で「Super Rich Kids」っていうかというとですね、
これはもう…これ言っちゃって多分大丈夫で、むしろ宣伝になると思うんですけど。
ソフィア・コッポラ…が、エマ・ワトソン…「ハリー・ポッター」の可愛コちゃん…もう大人になりました。エマ・ワトソンを主演に「The Bring Ring」っていう映画が…もう東京国際映画祭でも招待作品になってるし、もう言っちゃって大丈夫だと思うんですけど。
「ブリングリング」っていう映画はですね、実話の映画化でして、ハリウッド・セレブの家だけを狙って、いろんな物を盗み出した窃盗団…それが子ども達だったんですね。10代の子ども達だった…っていう話、これは実話です。
で、その窃盗団のリーダーで、かなりのタマの女の子をエマ・ワトソンが演じてるんですよ。
ま、映画の内容をあんまり言っちゃうと、観たい人いっぱいいる映画だと思いますから、あんまり細かく言えませんけど。とにかく実話を基にしてます。
パリス・ヒルトンなんかは、実際2回家に来られてんのね(笑)。要するに、留守の間に…ああいう人ってブログとかで「今日はタヒチよ♡」とか書くじゃないですか。だから「ああ、留守だな。」って分かっちゃうんで(笑)。
そんで、その後にいろんなインターネットの情報駆使されて、家に入り込まれちゃうんですよ。セキュリティを突破して。
「え〜!ハリウッド・セレブの家のセキュリティって、こんなに簡単に突破できんの?」っていうのも、観てて分かる映画なんですけど。
で、パリスなんかは、盗まれてんのにも関わらず、今回のこの映画の撮影に自宅をリアルなロケ現場としてですね(笑)…リアルなロケ現場っていうか、犯行現場ですけどね…として提供してるってことで、非常に話題になっていますが。
全体の調子はね、いつものソフィア・コッポラ調で、「何かもうアメリカってのはキツイよなあ…。」っていう、鬱鬱としたムードに満ちてて、エマ・ワトソンが中心になったハイティーンの少年少女達によるハリウッド・セレブの家の強盗団…原作はね、「容疑者たちはルブタンを履いていた」っていう…それも面白いタイトルですけどね、なんかすごい楽しい映画になりそうじゃないですか。キラキラしたこう…ドキドキ、キラキラした映画になりそうなのを、ものすごい地味に抑えてるんですよ(笑)。
さすがソフィア・コッポラ…って思ったんですけど。全然キラキラしてないのね。そういう良さの映画なんですけど。
その映画が全部終わると、エンドロールでこの「Super Rich Kids」っていう曲が流れるんですよね。
この曲はね、全然地味じゃないの。ま、今から聞いていきますけど、ものすごい泣ける曲なんですよ。
だから、結構重くて渋くて爽快感が無い、鈍い良さの映画が終わったエンディングで泣いちゃう…っていう感じで、これが流れるんですよね。
で、今からこれをワンセンテンスずつ訳していきながら、番組の最後でまとめて聞こうっていう企画なんですけどね(笑)。
ちょっとまず…何が始まるんだ?って感じだと思いますけど、まあ…やってみますね。ワタシもどうなるか分かんないんですけど。
こういう曲です。
(曲)…はい、これイントロね(笑)。こんな感じで4小節ずつぐらい聞いていきますね。え〜…もっかい戻りますね。
じゃあ、最初の2行分聞いてみましょう。(曲)
はい、分かりましたか? ヒアリングできました?
R&B〜HIP-HOPってのは、日本でも…日本のそれを思い出せば分かると思うんですけど、普通に発音しないんで、聞き取るのほんと難しいんですよね。場合によっては、そこを狙って歌詞カード載せないって音源もいっぱいあるんで。
これはね、「Channel ORANGE」は全曲しっかり載ってますから、おかげさまでヒアリングの苦労はなかったんですけど。
「Too many bottles of this wine we can't pronounce」…この「Too many」をですね、「ツメニ」って発音するんですね(笑)。これが今っぽいんでしょうかね。
「Too many bottles of this wine we can't pronounce」…「pronounce」は「発音」ですから、「we can't pronounce」…「発音もできないような」、まともに発音できないような「Too many bottles of this wine」。「this」ですから、目の前にあるわけですから。
ものすごい数の、発音できないような高級ワインってことでしょうね。これは多分ね、「Romanée-conti(ロマネ・コンティ)」とか、フランスのワインをアメリカのガキが読もうと思っても発音できませんから、「何ていう名前だかも分からないような」…意訳すればですよ、「名前も分かんねえぐれえの高級ワインが山ほど目の前にあるし。」ってことです、一行目は。意訳ですよ、これ。(曲)
はい。「Too many bowls of that green, no lucky charms」…これまた「ツメニ」で頭の韻を踏んでるわけです。
最初のワインは「bottles(ボトルズ)」でしたけど、今度は「bowls」…ボウルですね、ボウル。
「Too many bowls of that green」、「green」ってのはね、ワタシがやってるのは、もう超・我流だってことをね…で、まあ、聞いてる方で英語に堪能な方、特にね、米俗語・スラング、もっと言うとヒップホップ英語に堪能な方は、もう間違いがあったら、どんどんツッコんでいただきたいんですけど。「俺はこういう解釈だよ。」っていう。
「green」っていうのは、ドル札も「green」って言うんですけども、ま…ここではね…大麻だと思うんですよ。…ていうのは、後のラインと関係してくるんですけども。
ものすごい数の、ボウルにいっぱい大麻が入ってる…わけね(笑)。さっきは「this」でしたけど、今度は「that」でしたから、目の前じゃなくて、あっちゃこっちゃに、そういう物が…広い部屋なんでしょうね…「マリファナがたっぷり入ったボウル」があって、「名前も発音できないぐらいの高級ワイン」がゴロゴロ転がっているから、「no lucky charms」…「幸運のお守りなんかいらねえよ。」って言ってんですよね。
まあ「lucky charms」ってのはですね、文字通り直訳すると「幸運のお守り」なんですけども、お土産屋さんで売ってるようなつまんない物が「ラッキー・チャームズ」だとしたらですね、ま…「俺たちにはこんなワインもあるしマリファナもあるし、ラッキー・チャームなんてつまんねえものは要らねえよ。」ってニュアンスになると思うんですけども。
もしこれがもっと精神的な財産として、非常に良い物だと解釈した場合ですね、…ここら辺が歌詞の解釈の難しいところなんですけど…その場合は「〜なんか要らねえよ。」とか言わない方がいいですよね。
「目の前にはフランスの高級ワインがゴロゴロ/あっちこっちにマリファナが入ったボウルがいっぱい/しかしラッキー・チャームは無い」
って訳した方が、気分かもしれないですね。
先に進みましょう。(曲)
…ここは取れたんじゃないですかね。
「The maids come around too much」…「maid」はメイドさんです。「Super Rich Kids」ですからね、メイドが居るわけですよね。で、メイドは「come around too much」ですから、もうウザいわけですよ。僕らの周りで…メイドが構ってくれるっつーか、「お坊ちゃん、なんとかしましょうか?」というようなことで、「The maids come around too much」ですね。
それに対して「Parents ain't around enough」…「parents」は親父…両親ですから、「メイドはウザいほど構ってくれんだけど、親は家に居ないね。」っていう感じですね、これね。
ま、家に居ないっていうか、「around too much」に対して「around enough」になってるわけなんですけども。
さ、次いきますね。(曲)
はい、これ聞き取れました?
「Too many joy rides…」…「ride」もね、すごい発音の仕方しましたけどね。「Too many joy rides in daddy's jaguar」…「jaguar」はジャガーです、あの車の。
「joy ride」ってのは、「遊び半分に乗り回す」ってことですから、親父のジャガー…高級車ですね、英国車です。「親父のジャガーを好き放題乗り回して」。
で、その次ですけど、これはまあ…ヒップホップでやたら出てくる定型…クリシェっていうか、よく聞くやつなんですけど。
「Too many white lies…」…「lies」=嘘。「and white lines」…「white lines」ってのは、コカインってドラッグがあるんですけど、映画なんかで観るじゃないですか、床にサーッと線を引くんですよね、そいで鼻からストローで、ずーっとその線を吸ってくわけなの。で、この「white lines」ってのはコカインのことです。
だから、さっきの「green」ってのが札じゃなくて大麻で、こっち…要するに、名前を言わないっていう…大麻は「green」でコカインは「white lines」って言うっていうことでバランスになってるわけですよね。
そうすっと、これは一種のシャレで、「white wines」=白ワイン…とも合わされることが多いんですけど、「Too many white lies and white lines」…つまり「口から出るのは、もう白々しい嘘ばっか。そんで、コカインばっか。」って、相当退廃してるガキ共ですよね、これね(笑)。
そういう「メイドはウザい。親は家に居ない。親父のジャガーを乗り回して、白々しい嘘ばっか、なんか適当に言って…」…「too many」ですからね、いっぱい言ってるわけね。で、「あとはもうコカインだぜ。」というような感じですね。(曲)
…これはなんかちょっと…哀しいとこですよね。
「Super rich kids with nothing but loose ends」「Super rich kids with nothing but fake friends」…後ろが韻を踏んでるわけです、これね。
「nothing but」はご存知の通り、「それしか無い」ってことですから、「loose ends」ってのは…何て言うんでしょうね…まあ、聞いての通りですよ。なんか「ダラダラ終わって行く」ってことでしょうね。
見たまま直訳すると、要するに「super rich kids」…「超金持ちのガキ共は、ダラダラ終わる以外ない。」っていうことですね、これは。
で、その次の「fake friends」…「超金持ちのガキ共には、偽物の友達しかいない。」っていう。
ここまでが一つのブロックなんですよ。この後、歌のパートに入ります。(曲)
はい〜…これも…いいですね。
「Start my day up on the roof」…「roof」は「屋根」で、「Start my day up on the roof」って言われると、なんか田舎の少年が屋根で目でも覚ましたかのようなイメージですけど、まあ、これは…「roof」ってのはね、ペントハウスみたいな…超〜金持ちですから、スーパーリッチキッズは。
だからこれは「一日の始まりはペントハウスで。」って訳すのがいいんじゃないかなと思います、ワタシこれ。(曲)
「There's nothing like this type of view」…これは分かりますよね。「見た事もないような光景なんだよね。」っていう、そこは。
誰も見れないようなイメージもあるでしょうね。要するに、どんだけスーパーリッチかってことですよ。
一日の始まり…つまり目覚めた時は…「ペントハウスで目覚める。見た事も無い光景」…で、その後どうなるかっちゅうと。(曲)
「Point the clicker」…「clicker」ってのは「クリック」の「〜er」。「Point the clicker at the tube」…「ツブ(tube)」はこないだも話題になりました、テレビのことです、これ。「チューブ」とは言わないですよね。ブラウン管の管ですよね。
「Point the clicker at the tube」…「point」は「指す」ですから、「ブラウン管にリモコンを向けると」ってことでしょうね。これ、きっと。
起きて、いい眺めで、そんでテレビにいよいよリモコンを持って来て向けるんですよね。そうすっと、どうなるかっちゅうと。(曲)
…これヤバいっすよ。
「I prefer expensive news」…「俺は金がかかったでっかいニュースが好きなんだよ。」ってことですね。いきなりカマしてきますよね。
まず朝起きてリモコンをテレビに向けると、「expensive news」=金のかかる話題…バーンとどっかの会社の株が暴落しましたとか、なんかいろいろあるじゃないですか、「expensive news」が。
まあ、そういったニュースが好きなんだよ、自分は。「prefer」だ、と。
ここまでいいですね?(曲)
はい、「New car, new girl/New ice, new glass/New watch, good times babe/It's good times, yeah」ってなってんですけど。
「new car」は「新しい車」。「new girl」は「もう…次の女の子」でしょうね、これね。
で、「new ice, new glass」…「新しい氷に新しいグラス」ってんで、なんか家のホームバーっちゅうか、ミニバーみたいなイメージもありますし。
「ice」だとか「glass」ってのは、どっちもハードドラッグのスラングですから。「ice」「glass」はね。
これはまあ…「new ice, new glass」っつって「新しいカクテルを一杯」っていうような雰囲気と、「新しい麻薬がどんどん入ってくる」っていう。
だから「新しい車、新しい女、新しいカクテル、新しいドラッグ」みたいな感じで、もうすごい事になってるわけですね。
先に進みますね。(曲)
「new watch」=「新しい時計」ですよね。で「good times babe/It's good times, yeah」ってなってるわけですね。まあ…「いい時間だよな。」って。まあ…意訳すれば「生活を楽しんでんだ。」って感じだと思うんですよね。
「なんていい暮らしだぜ、イエ〜!」って感じだと思うんですけど(笑)。
これもなんか意訳があるかもしれません。先進みますね。(曲)
…これはヤバいですよ。
「She wash my back three times a day」…sheはnew girlでしょう、きっと。彼女は「wash my back」…「back」は「背中」ですよね。「three times a day」…一日3回背中流してくれるんですよ、その新しい女の子が。
で、「This shower head feels so amazing」って言ってますから、「このシャワーヘッド…」…シャワーのね、水が出るあそこの部分ですよね…は、ここも多分隠語があると思うんですよ。あんまりラジオで言えない隠語じゃないかな?って気もしてるんですけど。そのままとぼけて、純情ぶって訳しちゃいますけど。
シャワー浴びてるわけですから、そのシャワーヘッドはヤベー…「amazing」だって。(曲)
ここら辺ですよね。
「We'll both be high」…それによってお互い…「both」ってのは「シャワーヘッドと俺」かな?…それとも「ガールと俺」かな?…ちょっと分かんないんですけど(笑)。
だから「あいつと一緒にハイになってる」の、「俺」が。
ハイになってても、「the help don't stare/They just walk by, they must don't care」…ま、家政婦さんでしょうね、これね。メイドさんでしょう。メイドさんは、なんか全然知らんぷりで脇を通り過ぎてるわけね。
シャワールームで…さっき「うるさく構ってた」っつったメイドですけど、そうなってると逆に「must don't care」で、要するに「別にこんなの何でもないよ。何も見なかったことにする。」みたいな感じで「通り過ぎて行くんだよね。」っていうとこでしょうね。
で、このセンテンスの締めが…(曲)
はい。「A million one, a million two/A hundred more will never do」ですね。
これは…「million one」って言ってるでしょ。「million two」でしょ。これ、ワタシ…すごい悩んだんですよね。
最後は分かるんですよ。「A hundred more will never do」ってのは、「100ぐらい多くたって、何にもなんねえよ。」ってことだと思うんですね。
その前になんたって「million」つってんだから。「100万」っつってんの。
だから「million doller」って言葉がひとつの言い方になってて、アメリカでは。だから「ミリオン・ダラー」だと100万ドルですよね。日本における100万よりも、アメリカにおける100万はすごい意味があるの。「100万ドル」ってのが。慣用句になってんですね。
で、ここでは「doller」付いてませんから、お金かどうか露骨に言ってないと思うんですよね。
「a million one, a million two」ってことは、何か100万の物とか…ですよね。それが200万…もう100万…「200万の物」って言って、最後に「hundred」ぐらい上がったところで、「何にも意味ないよね。」っていうような言い方ですよ。
それがここまでの流れですね。
相当悪意を煽ってますよね(笑)。可哀想であると同時に悪意を煽ってる。
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- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2013/04/23
- メディア: CD
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はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。本日は特別企画ですね。1曲を少しずつ訳してって、組み立てていこうという…普段では絶対やれない企画にチャレンジしている最中です。続きいきましょう。
(曲)
はい、これさっきやりましたね。「100万の物、もう100万…」…うーん…「もう100万」って言い方…「a million two」ですね。「100ぐらい上がったって何にも起こんねえよ。何にもしねえよ。何でもねえよ。」といった感じで、「Super Rich Kids」の生態がまず1ヴァース、終わりました。
そしたらその後何が出てくるかというと、また最初のラップに戻ります。(曲)
この後、思い出してください。「Real Love」の引用した部分、ここで出てきます。
…これは、泣けますねえ〜。ここに持ってくるっていうね。
大変な才気、ほとばしる感じですね。フランク・オーシャンのね。
「リアル・ラヴを探してるんだ。」
…はい、ここからラップです。(曲)
はい、突然訳せなくなりますね、これね。難しくなるわけ。
歌の歌詞ってのは、つぶさにやってけば、ワタシみたいに学の無い人間でも、なんとか形にすることができるんですけど。
ラップはさすがにね…韻は踏んでるわ、抽象表現だわ、俗…スラングがきついわ、単語レベルのスラングじゃなくて、熟語レベルのスラングや暗喩が多いですから、ガクンと分かんなくなるんですよね。
なんとかやるとですね…(曲)
まずここでね、最初に入ってくる時に…今聞こえました?(笑)…「アイ。」
これがね、歌詞カードによると、今の「…アイ。」ってのが「all right」ですからね(笑)。相当…もう「…ちっス。」ですよ。「うぃっス。」=「おはようございます。」って書いてあんのと一緒ですね。今のが「all right」ですからね。そこはいいとして、まだね。(曲)
…ここまでいきましょうか。全部韻を踏んでますよね。
「Close your eyes for what you can't imagine」…ここは簡単です。「imagine」からずっと踏んでくんですけど、ライミングしてくんですが。最初の部分はね、中学生英語ですよね。「目を閉じて、想像できないぐらいのことを想像してみろ。」っていうことですよね。「Close your eyes for what you can't imagine」
その後が「we are …」主語が「we」になってるところがすごいんですけど、「俺たち」って感じですね。ま、これもヒップホップによくある表現ですけども。
「we are the xany gnashing」…「xany」ってのは「ザナックス」っていう精神安定剤なんですよ。…の愛称ですよね。
これは映画にも出てきますけど、セレブがガンガン飲んでる…パリス・ヒルトンとか朝から晩までバンバン飲んで、箱がいっぱい出てくるから、「そのザナックスの箱、一箱ちょうだい!」ってシーンが出てきますけど。それに当てたかなんだかね。順番逆だかどうだか、分かりませんけど。映画よりこの曲の方が古いですから。
「we are the xany gnashing」…「gnashing」もね、歌詞カードが無かったら、ワタシ「nothing」…「精神安定剤は持ってない」って訳し間違えるところですけど、これは「G」で始まる…「G」を発音しない「gnashing」。これはね、「ガリガリ噛む」ってことなんですよ。だから「we are the xany gnashing」ってのは、「俺たちはいつも精神安定剤をガリガリやってんだ。」ってことですね。
その次に「Caddy smashing」…「caddy」はキャデラックですから、キャデラックは車のキャデラック。キャデラックを「smashing」してるんで、なんつったらいいんですかね…スマッシュですよ。要するに「ボコボコにする」とか…まあ、違うな。実際は「すり潰す」っていうか、グシャッとやるような感じですね。「smashing」ってのはね。
だから「俺たちはザナックスをボリボリ、ガリガリ食いながら、キャデラックをぶっ潰してんだ。」って。
で、さらにその先が…(曲)
これはあの…ヒップホップでよくやる、バーを越えて…単語の切れ目が違ってるんですけど。
「bratty ass ; he mad, he snatched …」…「snatched」は「かっぱらう」って意味ですけど。
これも「ass ; he」と「mad, he」「snatched」に割って踏んでるんですけど。言葉的には「bratty ass」「he mad」「 he snatched」。で、何を「snatched」するかというと、「his daddy's Jag」…また出てきますね。「お父ちゃんのジャガーをかっぱらう」わけ。
で「bratty」は「生意気な」、で「ass」は「肛門」ですから、これはなんか意味も無いような、韻を踏むための「bratty ass」ってのは「生意気なクソ」っていうような感じのね。
で「he mad」=「あいつはもう狂ってる。」…あいつの頭オカシイっていう。
「生意気なクソで、頭オカシイ。親父のジャガーをかっぱらって…」どうしてるかっていうと…(曲)
…これもすごいですね(笑)。ここら辺は分かりやすいですよね。
「And used the shit …」…「shit」は「クソ」ですよね。「for batting practice」…バッティングは野球のバッティングです。「practice」は「練習」なんで、要するに「キャデラックはぶっ潰すわ、親父のジャガーをかっぱらってきて、それで野球のバッティングの練習してんだ。」っていう。
要するに、バットでジャガーをボコボコボコッて叩いてるんだってことですよね。それは「bratty ass」だし「he mad」だからですけど。
「adamant and he thrashing」…これはもう発音が、書いてあるのと全然…ヨレちゃってるんで、書いてある紙と聞き取れなくなってるんですけど。
最初は「adamant」。紙には、カタカナで言うと「アンド ヒー スラッシング。」…「thrashing」は「スラッシュ・メタル」の「thrash」。「鞭で打つ」っていうことですよね。ビシビシビシッて。…まあ、なんかキツイ言葉が並んでるわけですよ(笑)。
バッティングの練習を車にボコボコやるわ、「adamant and he thrashing」の「adamant」ってのは「固い」ってことですね。「ガチガチ」っていう。まあ、ヒップホップ的に訳すとしたら「ガチンコ」っていうか、「俺、誰の言うことも聞かねえし。」って感じなんですよ。「あいつって、もう言っても分かんねえから…」そういう固さですよね。
なんで「adamant and he thrashing」…カチカチのうえに、スラッシュしてるんで、要するに「あいつ、もうヤバい。」ってことですね。
これはもう具体的に…どこまで意訳していいか分かんないですけど、日常的にガールフレンドとかビシビシ打って、やり放題…みたいな、「結構残虐ギリギリまでやり放題だぜ。」 というような感じだと思います、これ。(曲)
…ここら辺、ワタシもうお手上げなんですけど(笑)。さすがに電子辞書を出しましたけど。
「purchasing」が分かんなかったんですよね。「purchasing」は「購買力」って書いてありました。
だから「購買力が…」「crappy grams」は「質の悪い、悪質な〜」、「grams」…まあ、1グラム、2グラム…。
「with half the hand of cash you handed」…ここら辺は意訳する以外手がないですよね。直訳がきかない世界ですけど。
「購買力が質の悪いグラムを手に半分だけ。」…しかも「crash」って、オマエの手のひらをパンッてクラッシュする方法によって…だから結局これね、「麻薬をぼったくられてる」ってことだと思います、大きく言うと。
金がいっぱいあるから、スーパーリッチキッズなんで。だから、ものすごい金持ちなんで、しかも「thrashing」だし「bratty ass」だし「he mad」ですから、親父の車も盗んでるような奴なんで、ものすごくぼったくられちゃってるってことだと思うんですよね。質の悪いもん出されたり、量が少なかったり。…ってもう、そんなふうなんだ、ってことですよ、この「he」は。
なんで、まあ…これ悪いですよね(笑)。で、そうなるとどうなるかっていうと…(曲)
「panicking」…はパニックの「panic」ですよね。この「Panicking, patch me up」ってなってます、「patch me up」は「パッチ」です。アイパッチのパッチですから、「patch me up」ってのは傷口を治したり、たるんだところを絆創膏で直すみたいなイメージですよね、「patch me up」は。
これ、誰がしてるかっていうと、後の節に続かないと分かんないんですけど、親がそうなったんですよね。
こういう状態を見かねて、親が「panicking」になって、まあ、ここでのパニックってのは、そんなにパニクってるっていうか、「ちょっと慌てちゃって、焦っちゃって」みたいな。親がヤバいと思って、「patch me up」で…上げると、「なんとかしようと立ち上がった」ってとこでしょうかね。これはなんとかしなきゃならん、と。(曲)
「Pappy done latch keyed us」…「keyed」は「鍵をかける=key」の過去分詞。「latch keyed us」ですから…
ここもナマっちゃってるから、分かりにくいですけど、「親父は俺たちに鍵をがっちりかけたんだ。」ってことですよ。なんとかしようとしたからね。がっちりかけたんだけど、親父はそのぐらいしかやんないわけです。
鍵かけるぐらいしかやんない。向かい合ってくんない…向かい合って話し合うとか、根本的な解決に向かうっていうんじゃなくて、とにかく「がっちり鍵かけるようなことしかしないよ」といったような表現が、次に暗示されます、これ。(曲)
「Toying with Raggy Anns and mammy done had enough」…「toying」は「おもちゃ」ですから、「Toying with Raggy Anns」…これも多分慣用句でしょうね。「raggy」ってのは「ぼろぼろになった」、「Anns」…アンってのは女の人の名前でしょ、きっとね。
「Toying with Raggy Anns and mammy done had enough」…これは愛人のことなんでしょうかね。それとも本当に「お人形さん遊び」なんでしょうか。これはスラングに詳しい方、投稿していただけたら、ほんとに勉強になりますから嬉しいです。
親父は俺たちに鍵をかけるばっかりで、自分は何やってるかっちゅうと、「Raggy Anns」と「toying」してるんですよ。「Toying with Raggy Anns」なんで、ぼろぼろになったお人形さん…なんかの意味あるんでしょうね、これね。…と遊んでて、「and mammy done had enough」ですから、「もう母ちゃんはお役御免。」っていうことですよね。おふくろ=「mammy」は「done had enough」ですので、「もう十分終わったよね。」っていう。
だから、親父さんは奥さんはもう十分終わったよねって感じで、息子にはただ鍵かけるばっかりで、自分は「Raggy Anns」とのお人形さん遊びに熱中してますよ、と。(曲)
…(笑)…もう4ワード…Fワード出ちゃったんで、あんまラジオで言えないですけど。
「brash」って単語もヒップホップでよく出てくるんですけど、これもね、やっぱり…喧嘩っぱやいっていうか、何て言うかな…鼻持ちならないっつーか、「brash」は「生意気」ですよね、簡単に言うと。…さっきも生意気出ちゃったからね、「bratty」が「生意気」なんで。
「Brash as fxxk」…もう「クソ生意気な」って感じ。「クソ生意気」で一回切って、「breaching all these aqueducts」って言ってます。
「breaching all these aqueducts」…「breach」ってのは髪の毛のブリーチと同じで、「裂けたり破れたりしちゃう」ってことなんですね。…何ていうか…穴開きですよね。
で「aqueducts」は「水道管」ですから、「all these aqueducts」が「breaching」してるわけなんで、もう何て言うか…この「aqueducts」は何か通じる物なんでしょうけど、これにもう穴が開いちゃって、もうヤバいことになっちゃってるんですよね。「aqueducts」は穴だらけ。裂けちゃって、破れちゃって。
これはまあ…「Super Rich Kids」の荒んだ心の中を表現してると思うんですけど。
「Brash as fuck」「 breaching all these aqueducts」…韻を踏んでるのね。
で、「クソ生意気」「水道管は破れっぱなし」。そいで、(曲)
「don't believe us/Treat us like we can't erupt, yup」で終わってますよね。
「believe」も「ブリーブ」みたいな言い方ですけどね。これはですね。「don't believe us」だから「信用すんなよ、俺たちを。」っていうね。
で「treat us」…「treat」はトリートメントの「treat」ですから、「扱う」ってことですね。
「Treat us like we can't erupt」…「erupt」は「爆発する」っていう。もう「キレる」ってことです。キレちゃう、バーンッて。
だから「like we can't erupt」…「俺たちが爆発しないように扱ってくれよ。」
「俺たちのことを信じるな。俺たちを爆発させないように扱え。」ってことですよね。
で、最後の「yup」…ヤップはY・U・Pです。これもヒップホップと言わずロックと言わず、外国の歌詞にやたら出てきますけど。「…うん。」っていう感じ。「…うん、分かった。」っていう感じが最後にくっ付いてんですよ(笑)。
だから、もう「クソ生意気。親父は鍵かけてお人形さんごっこ。おふくろはお役御免。クソ生意気。水道管はあちこちが裂けてる。俺たち信用すんな。俺たちが爆発しないように扱えよ、うん。」っていうような感じだと思います、これ。思いっきりBボーイ的な意訳ですけどね。
ま、もっと全然違うダブルミーニングがあるのかもしんないですけど、パッと聞きそうなりますね、はい。
…おっと、こんな時間ですね。
じゃあ、この後、このラップを受けて、また歌の部分があり、そして最初のフック「Too many bottles of this wine we can't pronounce 〜」が出てきて、最後「Real love 〜」にいくんですけど、この繰り返しじゃない新しいパートは、曲を聞きながら同時に訳していきましょう。
ここもほんとに難しかったんですけどね。
解釈によっては、この「Super Rich Kids」が大人になって、投資家になってね。投資家になったんだけど、リーマン・ショックで投資に失敗して、大暴落して、もう死んじゃう…っていうような歌詞にも読めますし、読みようによっちゃですけど。
まだ、そこまで…それ、すごいドラマティックじゃないすか。ラップ挿む前まではガキだったわけだから。それが、ラップ挿んだらグンと大人になってて、投資家になってて、で大暴落しちゃうんですよね。という読み方…か、まあ…もしくはまだそこまでいってない、ガキのままなんだけど、株が大暴落すんじゃなくて、屋根から飛び降りちゃうっていう…ふうにも訳せる…訳なんですよね。
まあ、ちょっと…「屋根から飛び降りる」側の…「飛び降りる」っていうか「落ちちゃう」んですけど。「スリップして落ちちゃう」んですけど。
ま、頭からもう一回聞いてみましょう。
というわけで、ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしてまいりました「菊地成孔の粋な夜電波」、そろそろお別れのお時間でございます。
それではまた来週…といいいますか、再来週というか、いつかといいましょうか(笑)、まあ…番組が安定走行になった時にお会いしましょうって感じですね。
え〜、今回かなり実験的な放送にしてみましたが、聞いてて楽しかったでしょうかね。あの…感想など…普段、あんまり感想が欲しいとか思うほうでもないんですけど、今日は聞いた感じどんな…リスナーの方どういうふうに思ったんだろう?ってのが気になる回ではございました。え〜、では、メアリー・J.ブライジの「Real Love」のサビだけサンプリングして、「Super Rich Kids」という物語を膨らませた、フランク・オーシャンの傑作アルバム「Channel ORANGE」の中の収録曲ですね。「Super Rich Kids」、頭からずらっと、通しで聞いてみましょう。
名前も読めねえ高級ワインが山ほど
マリファナが入ったボウルがそこら中に
幸福のお守りは無し
メイドはウザいぐらい
でも親は家に居やしない
親父のジャガーを遊びで乗り回して
白々しい嘘とコカインの白いライン
超金持ちのガキにはこうして緩い終わりしかない
超金持ちのガキには偽物の友達しかいない
ペントハウスで目覚めると
そこは特別な眺め
まずブラウン管にリモコンを向ける
金がかかるニュースが大好きさ
新しい車 新しい女の子 新しいドラッグと新しいカクテル
新しい時計で人生を楽しんでるよ ベイビー
彼女は一日に3回も背中を流してくれる
このシャワーヘッド かなり最高なんだけど
だもんで こいつと俺がいくらハイになっていようとも
メイドはシカト 見て見ぬふり
100万の物 もう100万…
だから100ぐらい増えたって 俺には何でもないね
名前も読めない高級ワインのボトルがゴロゴロ
マリファナが入ったボウルがそこら中に
だから幸福のお守りなんて要らない
メイドはウザいぐらい
そして親は家に居たためしがない
親父のジャガーを遊びで乗り回して
毎日白々しい嘘と白々しいコカインのラインまみれ
超金持ちのガキ共は緩い死しかない
超金持ちのガキには偽物の友達しかいない
リアルラヴ
俺はそれを探してんだ
リアルラヴ
俺は それを 探してんだ
リアルラヴ
よし分かった
目を閉じて想像できないことを考えてみろ
安定剤ガリガリ齧りながら キャデラック潰してる俺様だ
クソ生意気で頭オカシイから
親父のジャガーかっぱらってバッティングの練習してるし
誰の言う事も聞かねえ
女は殺すぐらいまでやっちまうし
売人にぼったくられても屁でもないね
慌てて親はなんかしようとしたけど
てめえがボロボロのお人形さんと遊ぶのに夢中で
おふくろはお役御免
ろくでもねえさ
こっちは何も言わねえけど
水道管は破裂寸前なんだよ
俺のこと信じるな
そしてせいぜいキレないように扱うこったな…ああ
起きた時はまたペントハウス
一日が終わる
俺こっから飛び降りるって言うんだけど
出来やしない
だけど酔っぱらうとね
ちょっとやっちゃう時があんだな
このテイラードスーツに翼が生える…なんちゃってね
俺は敷石の上に立ったら
彼女がビックリして俺の腕を引っ張って頭叩いた
あん時は楽しかったよ
だけどそん時袖が破れてね
俺 足を踏み外して下に落ちたんだ
60階建てのビルの一番下まで
もともと銀の匙を加えて生まれてきたから恵まれてた
100万の物 100万ドル
だけど今俺がしてることは目を閉じて自分がクラッシュする瞬間
…結局この歌は、特別金がある子供たちという、一般的なヒップホップを聞いてる層とは関係ない連中がふざけんな!って歌ではなくて。
結局この歌が扱ってるのは、愛なき状態…つまりその…「ネグレクト」ですね。
親が自分と向き合ってくれないっていう、もっと総合的な事に対する歌だというふうに、やっぱ解釈してますね、これね。
それをあえて「Super Rich Kids がそうなんだ」というふうに持ってきてるところに、フランク・オーシャンの若々しい才気を感じますね。
「リアルラヴを探してるだけなんだ。難しいもんじゃねえだろ?」っつってます。
「…それについて話し合ってるだけなんだよ。」…と、はい、終了〜って感じですね。
それではまた放送の運行が再開しましたら、お会いしましょう、菊地成孔でした。
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