「菊地少年の料理人修行。」

「粋な夜電波」第285回放送は、〈ものんくる〉の吉田沙良さんをマンスリー・ガールフレンドに迎えて。
楽家になっていなかったら料理人になっていた可能性が高いという菊地先生が、幼少の頃に叩き込まれた料理の英才教育の思い出について、沙良さんに語られていたトークの一部を文字起こししてみました。

Pohlad

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Quilombo Do Futuro

Quilombo Do Futuro

菊地 吉田さんは、運転されますか?
沙良 します。
菊地 免許持ってますか?
沙良 免許持ってます。
菊地 やったー!
沙良 やったー?(笑)
菊地 すごいね。いつ取りました?
沙良 えーっと〜…大学の時ですね。
菊地 ほーう。
沙良 授業に…行きたくなくて。嫌だーって思って。
菊地 嫌だーって思って(笑)。それは…活発かつドロップアウトしてたってことですね。
沙良 そうですね。
菊地 (笑)。
沙良 でも、ちゃんと復活して…卒業はしましたけど。
菊地 もちろん、もちろん。だって優秀な成績でしょ?
沙良 いやいや…そんなことないですけど。
菊地 沙良さん…優等生でしょ?
沙良 いや…ほんとに…授業とかに関しては全然ダメなんですけど、実技はいちおういい感じの…感じな…
菊地 ま、自分では言えないですよね。「実技は優等生でした!」って(笑)。
沙良 (笑)。
菊地 なるほど。じゃあ、運転できるわけね。
沙良 はい。
菊地 今…じゃあ、ペーパーではないですね。
沙良 そうですね。車持ってないですけど。〈ものんくる〉のツアーの時とかは、たまにみんなが呑んだら運転したり…とか。
菊地 ヤバいですねえ。もう…ワタシの年収が今より20%増しで年齢が5つ上だったら1台買ってますよね。
沙良 えっ!
菊地 「あげるよ、沙良ちゃん。」みたいな感じでね。
沙良 いやいやいや…。
菊地 受け取れないですよね、車なんかね(笑)。
沙良 でも、今なんだっけ…いろんな所で車借りれるじゃないですか、カーシェアとかって。
菊地 あ、カーシェア。
沙良 それはやってるので。
菊地 なんでもシェアですね。
沙良 そう、カーシェア最高ですね。
菊地 あ、そうですか。
沙良 地方に行っても、そこですぐ借りれるっていう。
菊地 レンタカーじゃないの?
沙良 レンタカーよりもカーシェアのほうが…安いんですかね?…なんだろう。
菊地 あー、なるほど。料金が。
沙良 料金も安いですね。
菊地 すごいなー。じゃあ、とにかく沙良さんは、バンドのメンバーが酔いつぶれたら、乗っけて運転したりするんですね。
沙良 運転しますね。
菊地 すげえなあ。やっぱカッコいいですね。
沙良 けっこう飛ばすんですよ、しかも。
菊地 (笑)…なんかちょっと…わかる気がします。
沙良 ほんとですか。わかります?
菊地 はい(笑)。まあ、沙良さんの内部に「怒り」がある事に、最初に気が付いた男ですからね。
沙良 あ、そうだ!…そうでした(笑)。
菊地 そりゃあ…行くでしょうね。ガーンとね。
沙良 (笑)。
菊地 ちなみにワタシは…免許は無いです。
沙良 あ、そうなんですね。
菊地 はい。あらゆる免許がありません
沙良 ほーう。
菊地 ま、人生があと…何てんですかね…0.1度でも角度が違ってたら、調理師免許は持ってた男ですけどね。
沙良 へえ〜。なんかされてたんですか。
菊地 えーと…うちは母方が鮨屋、父方が料亭というか大衆割烹でございまして…
沙良 あ、そうか。
菊地 三代目なんで。もうとっくに…13〜14年前にくたばった親父が、ワタシに継がそうとしたんですよね。
沙良 ああ〜。
菊地 なぜかと言うと、愚兄がおりまして…愚兄が先に逃げまして、「もうお前しかいない!」という事で、特訓を受けたんですけど。
沙良 うーん。
菊地 英才教育を受けたんですけども…ワタシも逃げまして(笑)。厳しいんですよ。
沙良 あ、じゃあお料理されるんですか?
菊地 ああ、えーとね…そうですね、吉田さんなんかが一番…ワタシ、なんだかんだで年間最もデュエットする人間のお一人なので、よくわかると思うんですけど…。
沙良 はい。
菊地 サックス、歌、ラップなど、ワタシ演りますよね。
沙良 はい。
菊地 作曲…ま、音楽行為全般としましょうか。
沙良 はい。
菊地 鼻の差で、料理のほうが上手いです、いまだに
沙良 ええ〜!
菊地 はい。
沙良 え…何…日本食ですか?
菊地 いや、何でも作りますよ。
沙良 何でも!
菊地 何でも出来ます。元々親父が天麩羅職人、母親が鮨屋ですから、鮨・天麩羅周りから始まってますけど。でも何でも作ります。
沙良 へえ〜。お魚捌けますか?
菊地 あのね…鯛のカブトってどうやって割るか知ってます?
沙良 わかんないです。
菊地 歯の数が偶数なんですよ。だから、前の反っ歯…あるでしょ?…ここに出刃当てて、体重乗せてバカッと割るの。
沙良 へええ〜。
菊地 だから、鯛の歯が見えないといけない。もうダメです、老眼になっちゃったんで。
沙良 ふうん。
菊地 ちょっと怖いですけど、でもちゃんと出刃に手当てて、体重乗せて…しかるべき位置に刃乗せてガッと体重乗せればパカッと割れます。
沙良 へえー。
菊地 僕これ朝飯前です。
沙良 ほんとですかー!
菊地 はい。挽き肉…練った事あります?
沙良 挽き肉練った事…あります(笑)。
菊地 ハンバーグ作る時でしょ。
沙良 はい。
菊地 あのね…つまり、いろんな配合がありますよね、挽き肉って。
沙良 うん。
菊地 だいたい合挽きっつって…合挽きなんて売ってる物があるじゃないですか。
沙良 はいはい。
菊地 でもあれは仕事でやるとなると、これが鶏の白身、ささ身だけ、ホワイトミート…。これは鶏の皮が入ってるやつ。豚、牛…牛でも部位がありますよね…で、いろんな色の…粘土遊びみたいですよ。20種類ぐらいあんの、肉が。
沙良 ふーん。
菊地 それ全部挽いて。粗挽きから絹挽きまで。
沙良 へえ〜。
菊地 それを混ぜて、つくねにして。どのぐらいの配合にして塩かけると一番美味いか?…っていうのを調べてました
沙良 へええ〜。
菊地 それ、「学校の宿題やんなくていいから、それやれ!」って言われて。
沙良 それ、いつごろの話ですか?
菊地 小学生ですね。
沙良 早いですね!
菊地 小・中学生で英才教育受けてました。
沙良 へえ〜。
菊地 日本酒の燗つけ…させられるのに、燗つけのマシーンがあるんですよ。それは何っつったらいいんですかね〜…夏場のよみうりランドみたいになってるんですけど。つまり、こう…熱いお湯の中にね、熱いっていうか適正の温度の中に、徳利がぎっしり入ってるんですよ。
沙良 はい。
菊地 で、カチャカチャカチャ…って、チーン!ってなるんですけど。で、煽られるじゃないですか。アルコール分が飛んで。
沙良 うんうんうん。
菊地 それで失神したことがありますからね(笑)。
沙良 へえ〜…アルコールで?
菊地 アルコールで。子どもだったんで。
沙良 あ…いやあ、そっか。
菊地 あとは、このラジオでもお馴染みのね、「米櫃で泳いだ」っていう。
沙良 コメミズ?
菊地 米びつ(笑)…すいません、滑舌悪くて。
沙良 ああ、米びつね。
菊地 米櫃の業務用の…知ってます?
沙良 知らないです。
菊地 まーまー…縁起悪いですけど、棺桶ぐらいの大きさがあるんですよ。
沙良 うんうんうん。
菊地 これがねえ…開けると、たまんないの。精米された…まだ何にもしてない常温の米の香り。
沙良 はいはいはい。
菊地 昔の米の香りはねえ…ほんとに強くて。ま、今もブランド米とか、いい香りしますけど。
沙良 うん。
菊地 大変な匂いで…クラッときちゃったんですよ、ガキが。
沙良 うんうん。
菊地 もう、これはヤバい!…っつって、だんだん…気が付いたら吸い込まれるように…米櫃に吸い込まれてって(笑)。気が付いたら、米櫃の中で、米に戯れて…こんななって泳いでたんですけど(笑)。
沙良 よく吸い込まれるんですね。
菊地 そうそうそう。いろんな謎に吸い込まれていく(笑)。
沙良 (笑)。
菊地 米櫃に吸い込まれてたんですけど…それは大量の米ですね、業務用ですから。米はいい米ですよ、ただ業務用の大きさですから、子どもがすっぽり入っちゃうんですけどね。
沙良 うん。
菊地 ただ、靴は履いてるわね、夏場で大汗かいてるわ、Tシャツ脱いでなかったんで…
沙良 いやあ〜。
菊地 そっからバーンと…今は亡くなったクソ親父に(笑)…引っ張り上げられてね、そのまま地面に叩きつけられましたけど。
沙良 うー。すごい御実家ですね。
菊地 すごい御実家っていうか…親父がオカシイだけなんですけど。全員おかしかったんですけどね、ウチは(笑)。
沙良 へえ〜。
菊地 カップヌードルなんか絶対食うな!」って言われて。
沙良 うんうん。
菊地 「冷凍食品・カップヌードルなんか食ったら、舌が馬鹿になる!」っつって。そんなこと全然無いんですけど。
沙良 うんうん。
菊地 ま、そういう事を信仰のように信じてて。
沙良 はい。
菊地 昔は食ってたんですよ、出たばっかりの頃は。面白くて。なんかオモチャみたいで。
沙良 うんうん。
菊地 今、普通の食い物になりましたけど。てか…ヘタしたら主食級に格が上がってますけど。出た頃は宇宙食みたいだったんで。面白くて食ってたんですよ。また、美味いのね…あれが。
沙良 美味しいですよね。
菊地 でも絶対ヤバいんで、部屋で隠れて食ってたら…よくある話で、食いもんに熱中して背後に鬼が立ってたことに気がつかなかったんですよね(笑)。
沙良 鬼?
菊地 鬼が。
沙良 あ、ああ〜(笑)。
菊地 ま…靴下履いたまま踏み潰しましたからね。
沙良 うわあ。
菊地 さぞや熱かったと思いましたけど、熱いの「あ」の字も無かったですよ。もう…憤怒の表情で。
沙良 すごい(笑)。
菊地 染みてくのが見えたんだもん、靴下に。ジワーッと(笑)。ま…その後、ボロカスにやられましたけどね。
沙良 すごいですねえ…。
菊地 はい…曲いきましょうか(笑)。


All We Need

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