「『BLUE GIANT』って何よ?」

「粋な夜電波」第322回は、久しぶりのジャズアティテュード。
BLUE GIANT」のヒットが、サックス教室の新規募集にどれぐらい影響を及ぼしたか。
トークの一部を文字起こししてみました。

え〜…GUCCI、TOGA、マルタン・マルジェラ、GUの服を着ている女性を支持する、結構なコンサバ(笑)…ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
菊地成孔の粋な夜電波」、今週はジャズアティテュードをお送りしております。ま、要するにジャズ…の特集ですね。
ちなみに来週もこの勢いでジャズアティテュード、再来週もこの勢いでジャズアティテュードで行こうと思いますんで(笑)。
上手くするとですね、この番組の切願悲願と言っていいですね、「ジャズ番組になってしまうのだー!」という。「もうアフリカもかけませんよ。R&Bもヒップホップもかけませんよ。韓流なんか絶対かけませんよ。」的な。
まあまあ…今言った…韓国とかね、あるいはジャジーヒップホップとかね、ジャズに関係のある…韓国のジャズとかね、そういうジャズと関係あるものだったらかけるけど…っていう、ジャズ至上主義に戻れるか戻れないかドキドキしているわけですが。
えー…「BLUE GIANT」について。
(メールを読んで)
「『BLUE GIANT』って何だ?」って言っているのは…えっとですね…
ワタシ、サキソフォン奏者なんですけども、サキソフォン教えるっていうクラスを持ってるのね、常にね。
で、持ってるんですけど、サキソフォンって…やっぱり習得にまあまあ時間がかかるので、ゼロから…初めて楽器持ったって方から教えるので、最初に入った方が10年ぐらいいたりするんですよね(笑)。
そいで…去年ね、10年ぶりとは言わないけど7〜8年ぶりで、また新規募集したんですよ。生徒さんを。
去年じゃない…今年か。今年だ。今年、新規募集したんですね。
まあまあ…サキソフォン教え始めて…どのぐらいかなあ。20年ぐらい経つんですけど。
最初はね、マンツーマンだったの。アタシも暇で。なんていうか…遊び半分で(笑)。
今ちゃんと遊び半分じゃなく仕事全部でやってるか?って言われれば、遊び7割ぐらいですけどね。やる事なす事(笑)。当時はもっと遊び半分だったんで。最初の3〜4年はね、マンツーマンだったんですよ。
それこそこの番組で昔やったけど、高円寺時代ですよね。高円寺ロケした時に、そのスタジオ行きましたけど。
まあ…その頃の、マンツーマン時代が一番やっぱり面白いですね。1対1で(笑)。
しかも、こっちも何の知名度も無くてですね…ま、今だってさしたる知名度も無いですけど、ほんとに生徒さんも何処の馬の骨かわかんない、先生も何処の馬の骨かわかんないっていう中で、知り合って、「サキソフォン教えます。」とか言って。
普通で済むわけがないですよね、だいたい(笑)。ヤバい人とヤバい人のぶつかり合いですから。
まあ、その頃の話するだけでも、番組4本ぐらいもつんですけど。ま、ま、ま…何て言うんですかね、そんな大盤振る舞いもどうかっちゅう話で。話、「BLUE GIANT」ですから。
ま、その時代を経て、だんだんだんだん生徒さんも増えてきて、クラスレッスンになってきたの。7〜8人から10人…15人。
で、まあ…募集かけても、そうですね、ここ…前回までの募集は、7〜8年前までだと、募集がね…かけても、ま…50人ぐらいだったんですよね。応募数が。
50人ぐらいだったんで、ま…今回かけても、50人プラスマイナス10人ぐらいだろうと、大雑把に…判断してたのね。
で、「サキソフォン教えます。」
ずいぶんと長らく教えてなかったんですけど、7〜8年ぶりですけど、前の回の人たちがみんな独り立ちして、まったく何にも…楽器に触った事もない…どころか、「音程って何ですか?」っていう人とかですね(笑)、アドリブなんて出来るとか出来ないとかそういう問題じゃない人が、一応チャーリー・パーカージョン・コルトレーンっていうとこまで、育てて出す…っていう事まで、やるとずいぶんかかるんですよ。
で、一応みなさん育ってくださってね、一緒に歳をとりましたけども(笑)。
「久しぶりで募集しまーす。」っつったら…
うーんとね…盛らないで言いますけど、十倍付けで来たんですよ。すんげえビックリして。十倍付けかあ…って思って。
そもそもアタシのメールボックスね、ファンメールボックスなんてやってる…ワタシ、SNSやらないんで。いまだに公式サイトからファンメール宛っていうボタンをクリックしてもらわないとメールが出せないっていう人なんですよね(笑)。
なんで、もう…一番ファンメールが来た瞬間っての覚えてるんですけど、「情熱大陸」って番組に出た時なんですよ。
それはオンエア中に、コンピュータが爆発すると思ったんで(笑)。メールが来すぎて。オンエア中にどんどんどんどんメールボックスにメールが来てですね、まだ「情熱大陸」がすごい訴求力もあったし。メールボックスなんちゅうもんが…メーリングソフトなんちゅうもんが、まだまだ現役だった時代ですよね。13〜14年前かな。
まあ…オンエア中にどんどんどんどんメールが来て、このままだとPCが破裂すると思って、電源を落とした記憶があるんですけど。まあ、それから幾星霜、もう…カラッカラですよ(笑)。なんて言うか…カラッカラの荒野っていうか野原ですよね。
何かあった時だけ、たまにチラッとね、「誕生日おめでとうございます。」とかいうメールが、中年以上…ワタシと同じぐらいの年齢の方からチラホラ届くっていうぐらいの、静かーな優しーい感じになってたんですけど。
メールボックスで応募をかけたところ、久しぶりにメーリングソフトが爆発するかなってぐらい、メールが来たんですね。
で、「これ何よ?」って言ってたら、「いや、『BLUE GIANT』が流行ってるからでしょ。」って、みんなが言うんです。周りにいるやつが。
で、「『BLUE GIANT』って何よ?」って話をしていた…という話ですね。前振りが長かったですけど。
(メールの続きを読んで)


(中略)


だってねえ…「何?『BLUE GIANT』って。何なの?」って言ってたらねえ、教えてくれたの。友達が。
今、習い事で、習ってみたい事って…全部、オールジャンルですよ…「音楽/楽器」とか、そういうふうに区切んないで、全部のジャンル、あらゆる習い事…もう英会話からビジネス…何もかんも全部入れて、サキソフォンが6位だったの。今。
すごいことですよ。だって、あらゆる楽器の中で一番だもん。サックスが。
だから、ある種の…やっぱ凄いですね、マンガの訴求力ってのは。面白いマンガの訴求力ってのは。
日本の国是ですよね。やっぱり。マンガ・アニメってのはね。