「気が若いタクシードライバー。」

菊地成孔の粋な夜電波」第381回は、久しぶりのフリースタイル。
最高の音楽を紹介しつつ、タクシー車内やファミレスやコンビニで採取したWBO話がてんこ盛り。爆笑必至の回となりました。
気が若いタクシー運転手さんとの会話のエピソード部分、文字起こししてみました。


Little Dark Age

Little Dark Age

はい。え〜…「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージサン…、「ジャズミュージさん」って言ってしまいましたけど(笑)。
すいません。なんかもう忙しくてね。正直、くたびれてますよね。55歳。
そうですね。「コント55歳」ですけど。同年輩…同年輩じゃねえや、同級生か…に、モーリー・ロバートソン寺島進ダチョウ倶楽部・肥後…っていうね。
元気なような疲れてるような感じの人たちが、そろそろクタってきたかな?…って。
ま、モーリーは元気だよね〜。モーリーはね、知己があるんですよ。
アイツがね、あんなオーバーグラウンダーになるとは思いませんでしたけどね。ちょうどいいバランスですよね。ギリギリんとこですよね(笑)。ギリギリん所で「朝の顔」…モーリー、やってますけど。
あ、「てらじま」さんね。失礼、失礼。「寺島進(てらじま・すすむ)」さんですね。
はい。まあ、それはともかく。そういった年配ですけどね。
今日も途中でタクシー…こんな話、面白くもなんともない。年間100回ぐらいやってるんだけど。
移動の時にね。
「お客さん…」9時ぐらいにタクシー乗ると、「これから呑みですか?」とかね、「仕事終わりましたか?」とか、必ず言われるんですよ。
「いやいや、これから夜勤で。」っつって。「これから仕事なんですよね。」っつって、しばらく話して。
で、いろんな話してるうちに、向こうはね…20代ぐらいだと思ってて。年の話して。
「ワタシ、55ですよ。」っつって。
「ええ〜!!」ってビックリして。事故るぐらい驚く方とかいるんですけどね。
ま、こんなんね…年間100回ぐらい、これやってるんですよ。だからもう飽きちゃって。
次から「65ですよ。」って言おうと思ってるんですけど(笑)。さすがにそれはもっと驚く…ほんとに事故っちゃうんじゃないかと思うんですけど。ま、55だけでもずいぶん動揺されるんですけどね。
ただ、55って知るとね、年配の運転手の方だと、急に…あんちゃんだと思ってたのが…タトゥー入れてるあんちゃんだと思ってたのが、55のおっさんだってわかると、急に親しげになってくれることも多くてですね。
「お客さん、今聞いてる放送、何だかわかります?」
「ああ。これあれでしょ。」っつって。「極東軍事放送…」FENね。今、FENって言わないんですけど。
その運転手さんはね、70歳だったの。で、タクシーの運転手さんってのは、訳(わけ)有りの人多いですよね。
ま、タクシーの運転手さんだけじゃないか(笑)。いろんな職業が、訳有りの人が多いですけど。訳有り職業のうち、ベスト3に入るんじゃないですかね。
何かね…風俗なんかで働いてる方に「なんでこの仕事してるの?」って言うのは禁句だとか言いますけども。
その…いろんな訳有りで仕事に参入してくる方ね…
ジャズミュージシャンなんて、全然訳有りな人いないですよ。「ジャズが好きなんで。」っていう人がほとんどじゃないですか(笑)。「ジャズが好きなんでジャズミュージシャンになりました。」って人が、ほぼほぼ90%超えている、訳有り無しの世界ですけど。タクシードライバーってのはね、いろんな方いるんで。
で、ずっとその極東軍事放送…FENをかけてて。70歳の方なんですけど。
で、「音楽家なんですよ。」って話をしたんですよ、こっちが。
「あ、これは失礼しました。」って、その人音楽が好きなのね。急にいろいろ…「前向いて運転してよ。」っていうぐらい、こっち向いて話したりするんですけども(笑)。
「じゃ、お客さん。アタシがなんでFEN聞き始めた…理由わかりますか?」っつって。
「いや…」気が若いわけね、その人は。パッと見るとね、結構長い髪の毛をね、もう完全なロマンスグレーっての?…銀髪っつーか白髪っつーかね…きれいなウェーブで撫で付けてて。夜ちょっとバーかなんかで会ったら、オシャレ親父って感じの…その方も気が若いし、見た目も若いんですけど。
「じゃ、お客さん、何でアタシがFEN聞き始めたか知ってます?」っつって。
「いや、わかんないですけどね。」っつって。
「これね、都市伝説なんですけどね。」とか言って(笑)。70歳のお爺さんが「都市伝説」とか言うのか〜とか思ったんですけど。
「都市伝説なんですけどね、アタシが若い頃、小林克也小林克也って、まだ生きてます?って。
「生きてます、生きてますよ。克也さん元気ですよ!」っつって(笑)。不謹慎なジジイだなと思ったんですけど。
「存命ですよ〜。」っつって。「小林さんね、がんになられたりしましたけど、克服されて元気ですよ。」っつって。
「あ、そうですか。あのね、小林克也がね、何で英語が喋れるようになったかっていうと、FENをひと月聞き続けたからだっていう都市伝説が、アタシの若い頃あってね。」っつって。
話が弾んでるし声も若いんですけど、「気が若いんだけど、やっぱりお爺さん」っていう感じの内容なんですよね(笑)。そこがかわいいんですけど。
んで、そういうのがあって聞き始めたんだ、と。だけど、小林克也さんはウルフマン・ジャックをよく聞いて…物真似もされてますけど、ちゃんとした英語教育を受けてるってことが後からわかって。
「まあ、FENだけ聞いてても、英語なんか私なんかチンプンカンプンですよね。」って話があった後に…
そんなこんなしてる間にね、「いろいろ私も訳有りで…。」って、自分で訳有りって言っちゃったんですけど。
「訳有りでこの仕事就いたんですけど。」個人タクシーなんですけどね。
FENばっかり聞いてんだ、と。「考えてみたら、日本に米軍がいる限り、FENは無くならないよな…と思って。」とか言って。ちょっと気が若いところをね、70歳ながら出したりするんですけど。
「そんな時にある日ね、ずっと聞いてたらね、一日中…彼女の歌がかかったんだねえ。」っつって(笑)。
「彼女の歌がかかり続けたんですよ。」…誰かな〜?と思って。ジャネル・モネイとか言われたらどうしようかな〜とか思ったらね。
「…彼女の歌がかかり続けてね、それでもうすっかりハマっちゃったんですよね。…マライア・キャリーに。っつって(笑)。
マライア・キャリーか!と思って(笑)。さすがお爺さん!と思って。微妙にいい感じだな〜と思って。
そっからね、「彼女」って言ったり「奴」って言ったりして。
「もう奴の歌はねえ…。奴はなにせ6オクターブ出る!とかっつって(笑)。
なんてか…どんなに気が若くてもね、出るもんですよね、年ってのはね。
だから、ワタシが55で若いとかね、見た目もやってるもんも若いとか言われますけど、どっかでね…おっさん…
最近はね、だいぶ老けたと思ってるんですよ。魔女の片割れがくたばったんで。もう一人くたばれば、完全に…浦島太郎みたいにドローンって、55歳になると思うんですけど。
え〜…そうですね。一見ワタシと同じぐらいに見えるけども、ワタシより十若かった…10ぐらい若かったんじゃないかな?…ディエゴ・スキッシ。急にディエゴ・スキッシがかかるんですけど(笑)。
先週、ノンストップ…先週先々週と、なんか図々しくも手前のバンドのノンストップ…今週はほんとはダブ・セクステットのノンストップやろうと思ったんですけど、それはさすがに「やめろ!」って声が自分の中でしたんで、やめましたけどね。
3週連続「ジャズ・アティテュード」、3週連続てめえのバンドのノンストップ…ったら、本当に数字下がっちゃうんで。
上がったらすごいですけどね、それやって(笑)。3週ジャズやって3週自分のバンドのノンストップやって数字が上がったら、毎週企画会議やって数字がなかなか上がんないって言ってる人たちの給料の行方は?…とか思っちゃいますよね。
ま、それはともかく。
ディエゴ・スキッシは、この番組のヘビーリスナーの方なら、彼のブレイクスルー盤からずっと、この番組が紹介し続けているという事は御存知だと思いますが。
こないだ「ラティーナ」って雑誌の…こないだっつったって去年?ですけどね、対談したんですよね。ディエゴと。
ま、言うまでもなく意気投合ですよ。
ディエゴ・スキッシはね、もともとジャズミュージシャン…ジャズ上がりでタンゴやってるんで。そもそも活動の内容…っていうか、彼はアルゼンティーナだからですけど。ワタシはジャパニーズですけどね。
とはいえですよ、先週お送りしたペペ・トルメント・アスカラールと、ディエゴ・スキッシが立ててる問題系ってのは、ほぼほぼ同じで。タンゴって音楽をどうしようか、と。
ま、ディエゴのほうがかなりタンゴ寄りだけどね。相当盛り上がりましたけどね。
今度ディエゴとプロレスやりたいですけどね(笑)。何がしたいかって言われると。
一緒に演奏…必ず言うの、欧米の人は。「今度一緒に必ず演奏しような。」「必ず曲の交換しような。お前に曲贈りたいし、お前も曲を作ってくれよ。」って絶対言うのよ。アントニオ・ロウレイロも言うし、バルダン・オブセピアンも言ってたからね。
「いやいや、ラジオで君のCDかけるのが手一杯だよ、こっちは。」って、いつも答えるんですけど。日本人らしく。
ま、とはいえやりたい事はそんな事よりもプロレスですよ。それはディエゴ・スキッシとワタシのツーショットの写真を、なんとかネットで検索していただければわかると思うんですけどね。ローランド・ボックに似てるんですよね、ディエゴ・スキッシはね(笑)。…なんで、プロレスごっこがしたいわけですけど(笑)。
…ディエゴ・スキッシ、馬鹿にしてると思われるといけないんで(笑)。すんごい立派なミュージシャンですよ。
ジャズ上がりのタンゴと取り組んでいる人ですよね。音楽聞いていただければすぐわかると思います。ペペ・トルメント・アスカラールと同じ命題を抱えたディエゴ・スキッシのキンテート。今年アルバムが出ました。
古い世代のタンゴの第一人者である、マリアーノ・モレスって人がいるんですけど、その人の作品を新しく換骨奪胎して、素晴らしいアレンジメントで、ディエゴがプレゼンテーションしてるってアルバムですけどね。
アルバム「TANGUERA」から「TANGUERA」、タイトルチューンですね。


タンゲーラ

タンゲーラ

  • アーティスト: ディエゴ・スキッシ・キンテート,DIEGO SCHISSI QUINTETO
  • 出版社/メーカー: Unimusic
  • 発売日: 2018/06/20
  • メディア: CD
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Bits & Pieces

Bits & Pieces

ラティーナ 2018年2月号

ラティーナ 2018年2月号

「JAZZANOVAの功罪。」

「粋な夜電波」第378回は、またしても「ジャズ・アティテュード」。
とりとめもない与太話と、最高の音楽。これがこの番組のトーン&マナーのスタンダード。
ジャズ特集が固定化されようが、急遽特集の回になろうが、番組の面白さは変わりません。
オープニング明けのトークと、ジャザノヴァの新譜を紹介したところを文字起こししてみました。

Blue Sky

Blue Sky

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの、そしてですね…
最近、急にあの〜…うーん、言っちゃうと場所バレちゃうかな、ま…いいやバレちゃってもね。事務所のすぐ隣の、最初スタンドバーだった所がですね、まったく同じ店のまま営業を拡張しまして、クラブになりまして(笑)。
クラブになるって、どういう事か?…別にただ単にでっかいスピーカー入れてDJ入れただけなんですけど。もともとスタンドバーだった場所がクラブになった…クラブだって言い張ってるだけなんで。結局どうなるかっていうと、騒音が外に漏れてですね、さらには客が外に漏れるんですよね(笑)。
クラブ営業してるの夜中なんで、場所柄…もうワタシ歌舞伎町じゃないですからね、もうちょっと固い所にいますから。もう夜中になったら辺り一面ピシャーッと閉まっちゃってますんで。もうそこだけからガンガン音出してるから、そもそも誰も住んでないって感じの所で、苦情も出ないんでしょうけどね。
とにかくもう…ゲロ吐いちゃってるんですよね、その店がブワーッて…1件だけ(笑)。まあ、二丁目からね…二丁目からの位置言うと分かっちゃいますけど、二丁目から流れて来た外人ですよね。ほぼほぼが白人なんですけど。
あの…白人どうのこうのって話じゃないですけどね。もう二丁目で飲んで、飲み疲れて、あるいは二丁目で揉めて、揉め疲れて。ほいで流れ流れて、「あ、ここに飲めるとこある。クラブあるんだ。」っつって来て。で、朝方にナンパしたりしてる…要するに、簡単に言うと…クソ外人ですよ、クソ外人!(笑)。
ま、別に…日本に観光に来てる…ね、海外からのお客様をクソ呼ばわり、SHIT呼ばわりするつもりはまったく無いですけれども。普段…ま、要するにどこの国だろうと、クソ外人ですよ。あんな酔っ払った状態のね。
酔っ払った白人ほどクソなものはないですからね(笑)。「いや、酔っ払った黒人や酔っ払った黄色人種だって、クソはクソだろう!」って言われたら、それはそうなんですけども。あんま「クソ、クソ」言っちゃいけませんけどね。


ま…とにかく白人ですよね。で、そんなクソ外人溢れるスクエアにワタシの事務所がありまして。事務所で静かに…人生の機微などを考えながら、いかしたエッセイなんか書いちゃったりして(笑)。そいで、編集者の方にパッと送信して。
「さあ、外でちょっと一服…なんでしょうね…強炭酸水でも飲もうかな、暑い夜だ。」なーんつって、おもてに一人降りると、もう…どーでもいいようなクソエレクトロニカが「ブッキャ、ブッキャッ…」って流れてて、クソ外人がブワーッていっぱいいるんですよ(笑)。
コンビニ行くのに信号渡んないといけないんで、信号の所に立ちまして。そうすっと、ものすごい視線を感じたんですよね。
視線はね、皆さんもよく感じられると思いますけど、後方からの視線です。厳密に言うと、左後方からの視線なんですけれども。
左後方から非常に熱い視線を感じまして。それがどうやら白人男性からのものだということが、なんとなくですね…「菊地’s EYE」によって、こう…分かってしまったわけですよね。
白人男性の…まあ、2メートル近くある、もう酔っ払ってクソ化している白人男性の視線を感じたわけですよね。
まあ…振り返って「ハロー。」なんか言った日にゃあ、何が起こるかわかんないですからね。
喧嘩だって事になりゃあね、まだそんでもマシですよ。マシって…良くないですけどね、やっちゃあね。やっちゃ良くないけど、まだ喧嘩ならマシですけど。抱きつかれたりした日には、どうしたらいいかわかんないですよね。その…二丁目から流れて来た可能性も十分ありますから。ちゅうのは、まあ…チューしてる奴らとかも見てるんで(笑)。
ヤベエなあ…と思って。早く信号渡っちゃえ…と思って。でも時差式でボタンでなかなかね、ボタン押して…で、道幅が広いんで、さっと駆け足で渡っちゃおうってわけにいかないんですよ、やっぱり。車の通りも多いんで。
なので、もうこれ信号待ちするしかないんですよね。で、じーっと待ってると、ジトッとした視線を感じまして。「ヤベーな、ヤベーな、ヤベーな、やだな〜。」と思って、青になってパッと飛び出したら、そいつがサササッと前に出たんですよね。


ちなみにワタシその時に、麦わら帽子・黒いTシャツ・半パン…もう海パンみたいなやつですよ、半パンに、サンダル履きだったのね。で、Tシャツだから左手のほうにちょっとタトゥーが入ってるのが分かっちゃったりするわけじゃないですか。夜中でも。
ほいで、ヤダな〜と思って、そんななりして…後ろから見たら女の子ぐらいのもんですよ、アタシなんか。ほんとに。あいつらから見たら。
いっそのこと…ま、同じ話になっちゃいますけどね、いっそのこと凶暴にガーンってやられたら、こっちもやり返す方法がありますからね。細いなりにね。小鼻に噛み付いたりとか、いろいろあるんですけど。
愛されたらどうしようって(笑)。萌えられてたらどうしよう…と思って、ブルブル震えながら渡ったら…そいつが俺を追い抜いて行ったの。
そしたら、そいつの格好が、麦わら帽子に黒いTシャツに半ズボンにサンダルで、左手にだけタトゥーが入ってて(笑)…「同じ格好してる奴がいるよ!」と思って見てただけってことが分かってですね…。
ま、非常に楽しかった…というわけですよね。
その後、ハローこそ言いませんけど、こっちニヤニヤしながらチラ見してたんで、「おんなじだね!」って感じで。
まあ、何て言うんですか…コントみたいなね。ペアルックっていうやつですね(笑)。でっかい・小っちゃいでペアルックでしたけどね。
はい、そんな菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしてまいります。


今週は、前回に引き続き3週連続で「ジャズ・アティテュード」ですね。先に申し上げましょう。来週も「ジャズ・アティテュード」です!(笑)。
来週は「ジャズ・アティテュード JAPAN」!…日本のジャズ特集(笑)。
もう「やめてくれ。」ってのも通り越して、なんかもう突き抜けた笑いがサブから湧き起こりましたけどね。こういう事を、誰にも相談せずに一人で決めている番組でございます。はい。
えー…The Coreのね、「Shoot The Evil Dog」…録音は1年前ですけどね、ノルウェーのジャズですね。北欧もんでございます。
やっぱり、あの…当たりがデカいよね。やっぱデカい奴らがやってるから。うん。
軽く打ったって「カンッ!」ってのがね、ウチらが思いっきりスナップ利かせて「カンッ!」ってのと、連中が全体重かけて軽く落としただけで「ドンッ!」ってのと同じぐらいでしょうね。ま、そういう世界ですよ。結局ね。


はい。さあ、早速もうどんどんいきましょう。ジャズ特集ですからね。
え〜…ジャザノヴァ!(笑)。
「えーっ、JAZZANOVAかけんの?」って思ったマニアの方もいらっしゃると思いますけど、ジャザノヴァをかけるんですよ。
何でかけるかって?…ジャザノヴァが今年新譜を出したからに決まってるじゃないですか。
「ええ〜っ!」っていうね。ジャザノヴァの全盛期は20年前ですからね。
それこそ「Nu Jazz」とかね。New(ニュー)って言わないで「ヌー・ジャズ」っつったんだけど。とか、「クロスオーバー」とか…いわゆるクラブジャズですよね。
ジャザノヴァはね…ちなみに今「へー、そんなのあるんだ〜。」って人のことはぶっち切って喋ってますけどね、JAZZANOVAってのは簡単に言うと…ドイツのもんですよ。
ジャザノヴァをね、ブラジルだと思ってる人とか、イギリスだと思ってる人…多かったんじゃないかなあ。20年前も。
新作がね、そうですね…11年ぶりだそうです。SPANK HAPPYと同じじゃないですか(笑)。
ジャザノヴァはね、功罪大きいよ。
ジャザノヴァはね…いや、もちろん「功罪大きいよ。」って、ジャザノヴァは功・罪だから良いところもいっぱいあったわけだけど。
ジャザノヴァが「JAZZANOVA」って名前じゃなかったら、あんなにもクラブジャズが4つ打ちじゃなかったと思いますけどね、ワタシね。
クラブジャズってのが4つ打ちで、「結局、ラテンハウスでしょ、これ!」って言われちゃう…っていうね。上に載ってるネタがジャズのネタだっていうだけで、音楽の構造的にはラテンのハウスじゃないの?って言うのが、クラブジャズの悪口っていうか、クラブジャズをくさす人の常套句なんだけど。
まあ、別にそんでもいいと思いますけど。ただただですね、なぜクラブジャズってもんが、4つ打ちに固定されてしまったのか?…もっとファンクやヒップホップに寄っても良かった可能性だってあると思うんですよ。並行宇宙には。
ですけど、やっぱりクラブジャズが4つ打ちのラテンハウスに似てしまったのは、ジャザノヴァがJAZZANOVA」っていう名前にしたからだと思うんですよね、ワタシ(笑)。
名前はすごい重要ですからね。言霊はね。言霊・ジャザノヴァですよ。
文字通りこれはジャズとボサノヴァの融合の言葉をですね、ドイツ人が考えたわけですよね。「JAZZANOVA」っていうのをね。
はい。11年ぶりの新譜でございます。ま、とにかく聞いてください。こんな感じになったわけです、ジャザノヴァもね。ちゃんと進化してますよ。
機械使う人たちは進化が速いよね。とりあえず、目先の進化は。
Heatwave feat. Oliver St. Louis」、ジャザノヴァの新譜からお聞きください。


DOUBLE UP, PLAYS DOUBL

DOUBLE UP, PLAYS DOUBL

エジプシャン・ジャズ

エジプシャン・ジャズ

「やる時はやる人でないと。」

「粋な夜電波」第376回はジャズアティテュード。ジャズの最新鋭を紹介。
時に旬のネタも絡めつつ、詳しい解説。
酷暑が続いたこの夏、ライブ後に脱水症状になりかけた話のところを文字起こししてみました。

Frisson Sextet

Frisson Sextet

Bamako Love Song (featuring Shabaka Hutchings)

Bamako Love Song (featuring Shabaka Hutchings)


はい。シェーン・クーパー率いる…このトラックは普通に…普通にっていうか、アコースティックの演奏ですけど、トラックが替わるとクラブミュージックだったりするんですね。クラブミュージックと生演奏を二股掛けしているユニットですね、これね。
MABUTAっていう。今ね、調べたら、ちゃんと漢字で「瞼」って入ってたんで、日本語の「まぶた」でしたね。
「Bamako Love Song」。フィーチャリングに言わずと知れた…言わずと知れたっていうか、好事家の間では有名ですね。シャバカ・ハッチングスってね。
ほんっとの好事家ね。そんなこと言う人は本当の好事家で、東京に何人いるのかな?…2〜3人ぐらいしかいないと思いますけど(笑)。
ワタシよく「テナー吹くとシャバカ・ハッチングスに似てる。」…逆の事言う人もいるんですけど。「シャバカ・ハッチングスって、テナー吹いてると菊地成孔に似てる。」って言う人が、たまにいるんだけど。まあ、ちょっとそういうとこがあるんですよね。
まあ、シャバカ・ハッチングスとワタシの一番違うところは、シャバカ・ハッチングスは合衆国にまで轟かんというフェイムを得ているのに対して、ワタシはサックス奏者だってことすら知らない人が多い…っていうようなことでしょうね(笑)。ここが大きいと思いますけど。
ここんとこ全然ね…ライブが無い時でもね、ほぼほぼ…教会に通うような感じで、日々の務めでサックス吹いてたんですけど。
SPANK HAPPY結成してからね、その…ODを踊らせるのが大変で。「踊らせる」って抽象的な意味じゃなくて、具体的な意味ですけど。ダンスさせんのが大変で。
1日のスタジオにいる時間のほとんどがそれに使われちゃってるんで。しばらくサックスも手に取ってないんでね。
「いやあ、風呂屋にも行ってねえやあ。」っていうか、何て言ったらいいんですかね…「最近、ウチ帰ってねえなぁ。」って感じですかね。「最近、家帰ってねぇやあ。」って気分でいっぱいですけども。
あ、でも今度ね、モーションブルーでライブがある…今度って来月だ。まあ、いいや。その話は(笑)。
久しぶりにサックスだけ吹くってライブがあるんですけどね。
ピアノがOD…ODじゃねえや、小田朋美さんで(笑)。ベースがペペ・トルメント・アスカラールの鳥越啓介くんで、3人でやるんだけど。その3人に、QNが入るっていうね(笑)。
知らない間に小さく歴史を変えてる男ってね。誰〜も知らないところで、地味〜に歴史を変えてる男。
歴史の中で生まれた歴史の男…って感じですけどね(笑)。
ま、辞任するまでのパフォーマンスとしては、相当なもんですけどね。ま、いいんじゃないですかね。
ボク連も柔連も水連もね…一緒にしちゃ、怒られると思うんですけど。あの…スポーツのアソシエーションの…
汚職があるとかね、犯罪があるって言ってるわけじゃないですよ。
だけど、真ん中がワイルドだったとしても、しょうがないでしょ。もう、だって。
そんな事までやいのやいのね…ま、あの方はいろいろ…悪い事した人はダメなんだけど。基本的にワイルドですよ。スポーツマンの人ってのは。
やる時はやる人たちですからね。あ…これはダメだな、使えねえな(笑)。
「やる時はやる!」ってのは微妙な…。犯罪とかじゃないですよ。あと暴力とかでもないです。
気持ちがね。「やる時はやる!」っていう人なん…
先週のメールでありました。「凄え殴りてえんだけど、私はやりませんけどね。」っていう人が多いのよ。要するに抑制が働いている人が。
だけど、スポーツマンってのは、それじゃできないから。絶対。
パフォーマンスやる人は全部そう。うちらもそうですよ。女の子だって、みんなそう。音楽家は。
「やる時はやるんだ。やっちゃうよ!」っていう人じゃないとできないですよね。
このニュアンスなかなか伝わんないですけどね(笑)。
「もう…やる臨界まで行ってるんだけど、鞘に収めて、敢えてやらない。」っていう人ってのはね、また違う仕事いくと思うんですよね。


(中略)


(メールを読んで。)


ま、酷暑ですよねえ。いろんな事に気を付けて下さい。
ワタシね、こないだSPANK HAPPYのライブ…スパンクスの話ばっかりしてちゃいけないんですけど。
毎週…3週連続であって、今週末もあるんで。で、こないだ単独ライブ…初単独ってのやったんですよ。
え〜…空調がどうやら壊れてたらしくて、途中からずーっとサウナみたいな感じになってきて。
あっちゅう間にODの衣装が、もう水に飛び込んで上がってきた人みたいになっちゃって。ええ。ワタシのスーツもそうですけどね。
ワタシ、DJの時はTシャツだったんですけど、いちおう自分でスタイリングしてるんで、「これはフロアん中に入ったらヤベエな。」と思いながら、ジャケットを着ていった。
これがね、「やる時はやる人間」のことなんですよ(笑)。
普通だったら、Tシャツ脱いで飛び込んで行くところですよ。でも、そうじゃないっていうね。
「ちゃんとウェアリング決めたんだから。」っつって。
TシャツでDJやってるだけでも、もうフーフーだったの。で、今からあの灼熱の…DJブースからSPANK HAPPYのステージまで結構距離があったの。で、そこ行くまでに、もう相当な…何℃か上がってるってのが分かってはいたんですけど、敢えてそこに上着着て行くってのは…。
だから、サウナ入る時にですよ、みなさん。裸でサウナに入って、また水かなんか浴びてから入るでしょ。あの逆で、サウナに入るのに、それまで裸だったのに、サウナに入る直前にスーツ着て入るのと一緒ですよ。
だから、そういう気持ちで始めたところ、二人とも脱水状態になっちゃって(笑)。
それ以前にお客様が脱水状態になったかもしれないですけど、倒れられた方がいらっしゃらなかったのでね。幸いでしたけども。
その…二人とも脱水状態になっちゃって。気が遠くなっちゃって(笑)。頭が軽く痛くなってきちゃって、「危険だ、危険だ!」とか言って。終わった後、水飲んだんですよ。「水、飲め!飲め!」って言われて。スタッフに。
でもね、本当に脱水すると、水入ってこないね。身体に。
あのね、具志堅さん…具志堅用高さんがテレビで発言してて、すごい感動して、いまだに憶えてる言葉があるんですけど。
「12R戦って帰って来て、喉渇いたから水飲もうとしたら、もう舌先が全部水吸っちゃって…口ん中が。喉でゴクッて水入ってこないよ。」っつってましたね。
要するに喉まで水が到達しないんだ、と。口先の所で…(笑)。
脱水を起こしてると、口先の所で水が全部吸い取られちゃうんで、シューッて。だから、ゴクッて…ゴク、ゴクッて飲みたくても入ってこないんだっていう話を、具志堅さんがしてて。「凄えな、ボクサーって…」って思ったんですけど。
あのね、逆の経験しましたよね。水飲め!っつって、ガブガブ飲むんですけど、まったく吸収されないんですよ。だから乾きが癒えないの。腹ばっかり張っちゃって。
で、「ヤバいな、この状態。」と思って。全然その…「脱水した感じがね、潤わねえ、水じゃ。」と思って。
そいで…ワタシね、普段甘い飲み物ってのを飲まないんで。それは何と言わずですよ。コカコーラ・ゼロとか、そういうのもめったに飲まないです。何年かにいっぺんしか飲まないんで。
飲まなかったんですけど。イオンサプライ飲料っていうんですか?…まあ、コカコーラ・ゼロまで言って、ポカリスエットの名前出すことに遠慮する必要ないから出しますけど(笑)。ポカリスエットってのを飲んだの。
そういうもんが売ってるっていうか…何て言うんですか、イオンサプライ飲料って水分補給用の物が存在するってのは知ってたんですよ。「でも、絶対水に敵うわけねえじゃん!」とかいう…まあ、偏屈に。「水が一番だよ、結局。」と思ってたんですけど。
ビックリしたのね。イオンサプライ飲料飲んだら、うわーっとすんげえ勢いで(笑)。プラシーボかもしんないですけど。もう、あっという間に渇きがね、秒速で渇き感が無くなったの。
さっきまで目が吹っ飛んで、フワーッとなってたODに、「飲め、ポカリスエット!」って飲ましたら(笑)…ODの目もキリッとして。
「スッキリしましたぁー。」とか言って。「目が冴えたじゃないスかぁー!」とか言って(笑)。元に戻ったんですよね。
だから、危ないところだったんですけど、ポカリに助けられたっていう感じですね。初めてああいう物の効用を知りましたけどね。

「鬱…とはいえ。」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」第375回はスペシャルウィーク
「音楽漢方菊地堂」と題して、リスナーから募集したお悩みメールに音楽で回答するという企画。
悩みに誠実に向き合いつつも、軽く笑い飛ばせるくらいのウィットとユーモアを添えて粋な選曲。
トークの一部を文字起こししてみました。

Killing Time

Killing Time


女性上位時代 【DSDリマスタリング】

女性上位時代 【DSDリマスタリング】

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」ですよぉ〜。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしておりますよぉ〜。
今週は「音楽漢方菊地堂」開店。皆様から寄せられたお悩みに、私、菊地成孔が音楽でお答えしています、と。まあ…こんな感じですよ(笑)。
特にね…まあ、あと2つですけど…。とにかく、悩んでる人が、あのねえ…
そう。ま、しょうがねえんだよなあ〜。やっぱり。
あのね、やっぱ鬱っぽい…っていうね。とにかく鬱っぽい…で、いろんなものの適応障害だっていうふうに、お医者様に言われたんだ、と。自分でもそう思ってるんだって方が多いですけど。
そうですねえ〜。今…鬱病はね、怖い病気ですから。こじらせたら…どんな病気だってそうですけど、こじらせたら死病ですからね。死に至る病になりますけど。
ワタシも…近親者っていうかね、鬱病から自殺した近親者いますけど。
何つーんでしょうね、とはいえ…ですよ。
今ね、鬱だとかメンヘラだとか…ま、メンヘラと鬱一緒にしてないでしょうけどね。…っつってんのは、極端に言ったらですよ。まあ、敢えて言いますけどね、敢えて挑発的にポップに言いますけど。
今、鬱だメンヘラだっつって喜んでんのは…要するにね、「偽鬱(ぎうつ)」って言葉もあんの。「偽(にせ)」。
うん。放送では言えないですけどね、昔は「似非(えせ)何々」っていうのがあって、「エセ」…「丘サーファー」みたいなもんですけどね(笑)。
今、とにかくね…インターネットによって、人格がこう…キャラクター化して、独立しちゃって、止めらんない人多いから。
スマホ…まあ、悪ぃ機械ですよね。良いとこもあんでしょうけどね。いつ良い奴になるんでしょうか(笑)。わかりませんけど。
若い子なんかにね、「あれ、良い奴になる時あんの?」っつって。大震災の時は確かに善玉になったよね…って、ワタシ「時事ネタ嫌い」って本に書きましたけど。ま、そういう事ありました、確かにね。
ですけども…だいたいね、やっぱりあれ持っちゃうと鬱々としちゃいますよね。
あんなに民の言葉が超能力みたいに、まとめて耳に入ってきたら、誰だってまともじゃ…普通に元気にいらんないですよ、あれ。
で、もう脇固めて自制して生きるしかなくなっちゃうから、のびのびしねえし…。しょうがないけどね。依存症だからね、あれは。依存しちゃってるもんね。
ワタシの知り合いのね、伊藤俊治先生っていう…民俗学とかやる方…あ、伊藤俊治先生の専門は民俗学じゃないですけど。ほんで、民俗学のフィールドワークなんか行って、密林とか行ってね。学生に「ここWi-fi全く無いから。」って言うと、どんどんどんどん過換気発作とか起こしていくらしいですよ(笑)。その…通じないってことで。そうなってくると、完全に依存症ですよね。
で、多いんだけど。だけどね、偽鬱みたいな人もいると思うのよ。
昔から「丘サーファー」とかね、「エセ○○」とかあって、だから今だって言われるべきなの。
自己申告したら本当、ネットに書き込んだら本当…とかじゃないですからね。
逆に言えばですよ、ほんとにハードコアに苦しんでる方は本当に大変だと思いますから、お医者様にも任せますし、我々も頑張ります、音楽で。ですけども、ま…似非でやってる方はね、今生きづらいとかメンヘラとか言ってる方は、だいたい自意識過剰ぐらいの人…程度の人で。鬱々としてるっつったって、それは何つったらいいか…「メシ食い過ぎたんで、腹が張ってる。」って言ってんのと大して変わんないと思いますよね。
そのくらいの悩み事が多かったです、とにかく。めちゃめちゃ。はい。
もっとこう…スカッと爽やかなね…悩み事、例えばこれですよ。


(「機械が苦手でトラブルを起こしがちです。機械への苦手意識を無くすような1曲を選んでいただけますでしょうか。」というメールを読んで。)


(中略)


…機械と自分はもう…何て言うか、バディ(相棒)でしょ。一緒のもんでしょ。
だから、機械ってのはブラックボックスで冷たい物で、自分がそれを操ってんだって思うと、この方みたいに悪戦苦闘するんですよね。やっぱり。
ワタシなんかね、パソコンで本書いてる時に…あれ何て言うんでしょ、クルクルクルクル…ってなっちゃって、いつまでたってもクルクルクルクル…ってなってて、全然戻ってくんない時に、恫喝しますからね(笑)。
「オマエ、ほんとに叩き壊すぞ!」っつって。軽く持ち上げたりして。
「いいんだ、全部ぶっ飛んだって。中に入ってるのが惜しいと思ってる?…何にも惜しくないよ!」っつって。
「ほんとに…こっから…窓から落とすから。もう俺パクられてもいいから、壊すぞ!…ほんとに。」って言うと、止まりますからね。ピッ!って。「すいません!」みたいな感じで。ほんで、原稿元に戻りますから。
だから、やっぱり…「人間機械論」!…ノーバート・ウィーナー(笑)。どうでもいいんですけど。
まあ、そんなつもりでね、機械と付き合うといいと思うんですよ。だから…
ワタシ、機械も生きもんだと思ってます、ほんとに。
だから、スマホなんて大変なプレイボーイで、ものすごい…なんかヤクの売人みたいな奴ですよね。みんなを全部依存させて、自分に。
「お前ら、俺無しじゃ生きていけねえだろ。ヘッヘッ…。」みたいな感じですよね、なんか(笑)。相当なタマですよ、あれは。奴さんは。だからマズイな〜と思って。
時計なんかもね、「ちょっと…もうちょっとゆっくり行ってくんない?」とか思う時とかね、ちょっと秒針が遅くなったりしますよ(笑)。気持ち込めれば。
あとね、ワタシは筋トレするんで、プランクとかいって、こう…腕立て伏せの格好でピタッと止まったりすんのね。で、「もうちょっと早く…あと5秒だから早く行ってくれ、早く行ってくれ!」とか思うと、ちょっと秒針が「じゃ、そうスかぁ。今だけっスよぉ。」みたいな感じで、ちょっと早く動いて(笑)。あと5・4・3・2・1が、ちょっと早く動いたりするんですよ。ほんとに。
でね、何が言いたいかっていうと、このガーハーさんは、機械に対して苦手意識もあるし、気持ちの通じない道具だと思ってんでしょうね。ですから、やっぱ機械を自分が上手く操れないんじゃなくて、機械のほうに…「もっとこう…ちゃっちゃっと行ってよ!」っていう。「元気出して!」っていう…ね。
機械を元気付ける。機械の立場に立って…(笑)。機械を元気付けて、機械にヨイショしてね。「お前、やっぱ凄いね!」みたいなね。「やっぱ便利だよ〜!」みたいな感じで(笑)。
機械をヨイショして…そういう音楽ですよ。機械が喜んで、シャンとして、「これ、アガってキター!」みたいなね。だから機械がパリピみたいになって、「よっしゃ行くぞ〜!…ウッヒャー!…もう踊りまくりっスよ!」みたいな曲を選んでみました。機械にとってね。
これ、ワタシの生徒さんなんですけど。委細くんっていう、大変な才能を持ってて。本名なんですけど。大変な才能を持ってます。
この番組でもかけた事あります。「Title fit I felt it」、完全なコンセプチュアルアートのアルバムで、曲のナンバーがアルファベットと照合されてんの。だから「kikuchi」っていうふうに作りたかったら、「K・I・K・U・C・H・I」っていう曲順で…曲が組めるんですよね。
で、「kikuchi」組んでんのも面倒くさいんで、今日は「L・M・N」。12番キー、13番キー、14番キー…要するにタイプライターになってるんですけど、全体が。その3つのキーを聴いて、連続で聴くことで、まあ…タイプライターの立場からいくので、このガーハーさんのパソコンも少しは盛り上がるんじゃないかなっていう気持ちを込めて、いってみたいと思います。


「時すでにお寿司。」

「粋な夜電波」第374回。
前々回の「King & Prince特集」、前回の「SPANK HAPPY特集」への反響が大きかったことを報告しつつも、通常運転のフリースタイル。
うなぎが食べたい思いを堪えつつのトーク、その一部を文字起こししてみました。


Utopia

Utopia

あの〜…行きつけの鮨屋の時計がジョーク時計で、多分大将の趣味だと思うんですけど、いろんな所にその鮨屋はジョーク製品…ジョーク湯呑とかね、ジョーク皿とかね。
ちょっと前ですよね、55年生きてきたけど、一番…何がヤバいかって、最高にヤバいのは何だったかって言われると、シブがき隊の「スシ食いねぇ!」の時の、寿司がいっぱいくっ付いているベルトだって話しましたけど(笑)。まあ、あのベルトはさすがに置いてなかったですけどね。
その鮨屋がジョークが好きなのね。で、時計が…こう全部12個の寿司になってるんですけど、ま…それはいいんですよね。そのぐらいはね。
寿司ジョークの定番ですよね。なんか全部が寿司になってるっていう。「スシ食いねぇ!」のベルトもそうですけどね(笑)。ま、ベルトってのが一番凄いですけど。

なんだけど…そこにね、達筆な墨黒鮮やかな筆文字で「時すでにお寿司。」って書いてあんですよ。で、まあ…(笑)、まーまーまー…ジョーク時計なんでしょうね。ですけど、「いいの?」っていう(笑)。その…「時すでにお寿司。」ってのを、食いながらジーッと見ることになるんですよね。
「いい事思い付いた!」っていうんで、もう商品にしちゃって、「あ、面白いもんがある!」って買っちゃって。んで、「こういうの好きだ。」ってんで飾っちゃった…っていう流れですよね。物流…ってことですかね。物流じゃないか、今のは(笑)。
その結果、大変美味しいお鮨屋さんなんですけども、「どうなの?」って気持ちが抜けないまま、こう…フグの唐揚げとかつまむわけですよね。
はい。そんな…粋とは程遠い菊地成孔が…お送りしております(笑)。「粋な夜電波」でございます。TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
まあ…そうですね、久しぶりのフリースタイルですけども。そうでもねえか。
もうメールボックスがですね、メールボックスっていうか、とにかくね…ジャニーズとSPANK HAPPYでいっぱいですね(笑)。変わった状況ですよね。
ジャニーズ事務所は…ちゃんと検索すればわかりますけど、アタシが生まれるか生まれないかってあたりからあるはずですし。
あれ、確かナベプロから独立していくようなかたちで出て来たんじゃないかな。ちゃんと憶えてないですけどね。
もともとジャニーさんって、日本に少年野球やりに来たんですよね。少年野球のリーグ作りに来た人ですよ。そいで、ジャニーズの野球大会があるんですけどね。
まあ、とにかく…何が言いたいかっちゅうと、ジャニーズ事務所も昔からありました。SPANK HAPPYもね、なんだかんだ言って、アタシ一番最初に始めたの一期ですからね。

SPANK HAPPYってね、「スラップ・ハッピーSlapp Happy)」ってバンドがあって(笑)。ダグマー・クラウゼっていうヴォーカリストがいるんですけど。
この話はラジオでした事ありますね。年寄りの繰り言みたいになっちゃいけないんですけど。
で、アタシ…ダグマー・クラウゼに、ボローニャね…イタリアの、まあちょっといろんな事して、はしゃいでヤンチャしてた時に、たしなめられた事があって…ま、それはいいんですけど(笑)。
そっからきてるんですね。「スラップ・ハッピー」ってバンドがあるんですよ。「スラップ」は顔面を張るって意味ですね。「スパンク」ってのはケツ叩くことですよね。スパンキング」ってのは、SMを嗜む方ならどなたでも知ってる言葉ですけど。「お尻ペンペン」とか日本語だと言いますね。あれを「スパンキング」って言うんだけど。
だから「おはよう!スパンク」とかいうアニメがあって、犬が出てくるんだけど、犬のケツを叩くのか、犬がケツを叩いてくれるのか…よくわかんないな〜と思いながら、一回も観たことないんですけど。ま、それはともかくですね。
SPANK HAPPY始めたのが92〜3年ですからね。まだ若かったですからね。92〜3年って…ワタシ30じゃないですか!確か。30!?…おお〜っ…30すか!。今のODの年と一緒ですね。何がなんだかわかんない、年齢ってね(笑)。55になると、年齢ってのは何だかわかんないですね、もう。
ですけども、そんな二つがですね…そんな二つってのは、つまりジャニーズ事務所SPANK HAPPYってことですけど(笑)。
それで、8年間やったこの番組のメールが、それでいっぱいになるっていう状況自体が、非常に…何て言うんでうかね、シュールレアリスムですよね。「時計台の上で…コウモリ傘と鰻丼が出会った」…みたいな話ですけど。
ま、今…ほんとは鰻丼じゃないんですけどね。鰻丼が今、すごく食いたいんで。
今、フジロックに向けてダイエットしてるんですよね。ワタシは…いろんなダイエットがありますけど、もちろん運動を中心でトレーニングすんだけど、食事もやるんですよ。で、炭水化物抜くんだけど。
ま、炭水化物抜いても、そんなに苦しくないです、正直。肉ばっか食ってれば。意外と大丈夫なほうで。炭水化物抜くとキツくなるって人もいるんですけど、それは平気なんですけどね。
鰻丼だけはダメですね。この季節は鰻丼食わないと…土用丑の日…なんすかアレ、毎年移動するんですか?…何でもいいんですけど。
鰻が大好きでね、もうとにかく。生まれて初めて食った御馳走…ていうか、あれ何歳ぐらいかな?…4歳ぐらいだと思うんですけど、生まれて初めて…要するに「ほっぺたがような落ちる感覚」っていうのは…。
「最初に買ったレコードは何?」とかって、よくバーでやってんのね。「それ聞くといろんな事がわかっちゃう。」なんつって、大した事わかんないと思うんですけど(笑)。あれ訊いたところで。「帰ってきたヨッパライ」とか言われてね。よくわかんないですけど(笑)。
「最初に食った、本当に美味いな〜って思う物は、幾つの時?何食った時?」ってのは、結構重要だと思うんですよね。
ワタシの場合は、それは鰻で。
銚子ってのは、利根川と太平洋ですから。銚子市ってのは。なんで、鰻が獲れるんですよね。
で、鰻が大好きで、今でも大好きなんですけど。
やっぱ鰻丼が、この季節食えないってのはね。フジロックのためにとはいえね。ま、フジロック終わったら、すぐ食いますけど(笑)。今、鰻丼のことで頭がいっぱいですよね。
こないだちょっと…ホスト君かな?…「もうとにかく何にも考えらんねえよ、チーズタッカルビのことで、今オレ頭いっぱいだから!」っていうホスト君の話しましたけどね(笑)。
ま、今いろんなメール来てますけど、ワタシの頭ん中、鰻丼のことでいっぱいなんで(笑)。メールどころじゃないんですけど。いちおう読みますけどね。

(中略)

だって、そもそもね…あん時ね、マス・ヒステリーを恐れてですね…「マス・ヒステリー」って言葉も懐かしいですけどね。
マス・ヒステリーを恐れて「来週、King & Prince特集です!」って敢えて言わなかったんだもん。
言うと、絶対嗅ぎつけて沢山の人が聴いて、数字が上がっちゃうからね(笑)。上げたくないですから、今。
そうさせないためにですね、敢えて「来週はフリースタイル。」っつって伏せて、開けたら…ゲート開けたら「King & Prince」の話するっていう回にしたんですよね。

(中略)

ま、このような投書がたくさん来ております。とにかく「キンプリ」に関しては聴いていただくということで(笑)。特にダンスですよね。
とにかく「Funk it up」のね…

この話はSPANK HAPPYとも繋がってくるんですけど。
SPANK HAPPYの振り付け、アタシがやってるんで。
ODはもともと…今でこそ全然いい調子で踊ってますけど、もともと…
ODの前のヴォーカルの岩澤さんって方もね、ボックス踏むと目回って倒れちゃう(笑)…ほんとに。本当ですよ。ボックス2〜3回踏んだらね、ぐるぐるバットみたいになって倒れちゃう人だったの。全然踊れないわけ。
一番最初のハラミドリさんって方はダンス得意で。だけどね、ジャズダンスとかタップダンスとか、そっちのほうなんですよ。なんで、ちょっとダンスの好みがワタシと違ったんですけど。
で、岩澤さん全然踊れないから、やっぱ限定されるわけね。ま、いいやSPANK HAPPYの話は。1曲いきましょう。

Wasted Callaway

Wasted Callaway


「小田家は設定が甘甘の家系。」

「粋な夜電波」第373回放送は、「フジロック直前緊急企画!スパンクハッピー特集」。ゲストにSPANK HAPPYのメンバー、ODをお迎えしての1時間。まだ制作途中の新曲など、貴重な音源もオンエア。
「ODノットイコール小田朋美」という設定に混乱するトークの一部を文字起こししてみました。

夏の天才

夏の天才

菊地 はい、というわけで、只今お聞きの曲はFINAL SPANK HAPPYさんで「ヒコウキ」という曲ですね。
OD はい。ありがとうございます。
菊地 こちらの…しつこいようですが動画が「Instagram/SPANK HAPPY」「Twitter/SPANK HAPPY」、いずれも公式アカウントということでしょうか。
OD はい。上がってます。
菊地 そちらで上がっておりますので、ぜひチェックしてください。
OD 聞いてくださーい。
菊地 はい。よっと。というわけでODさんにね、来ていただいておりますけども。
OD はい。ありがとうございます。
菊地 そうですね。何でしょうね。ちょっと待ってくださいね。メールいきますね。


(「スパンクハッピー、地上波で観たいです!」というメールを読んで)


菊地 今日はODさんがいらっしゃるとのこと、めちゃ嬉しいじゃないスか。
OD 嬉しいじゃないスか。こんばんわ。
菊地 このOD口調がだんだん拡散している感じですねえ。
OD (笑)。
菊地 たくさんのフェス出演、喜ばしい事ですが、この猛暑の中、行くほうも命懸け。大変じゃないスか。
OD そうじゃないスか。
菊地 単独ライブはすぐ売り切れちゃうし。」…売り切れちゃったんですか?
OD そうなんです。8月5日にクラブ「0(Zero)」という所でワンマンを演るんですけど。
菊地 はい。
OD 発売5分ぐらいで、もう売り切れちゃったじゃないスか。
菊地 何枚売り切れたんですか?
OD 100枚…(笑)。
菊地 100枚は売り切れるでしょう。
OD 100枚は売り切れちゃいますね(笑)。
菊地 売り切れますね。やっぱ2000枚ぐらい売り切れると迫力がありますよね。
OD ねえ。そうですね。
菊地 100枚ってのはね。
OD (笑)。
菊地 場合によっては、ちょっと人気がある女の子の誕生会で100枚いくでしょうからね。
OD 全然いくでしょうね(笑)。
菊地 いくでしょうね。だから、逆に5枚とかだったら凄いですね(笑)。
OD (笑)。
菊地 5枚が1年かけても売れなかったりしてね。5枚が5秒で売り切れた…みたいなのも面白かったですけどね。ま、100人の前で演るということですね。
OD そうです。
菊地 それ以降もライブがいっぱいあるのですね。
OD そうなんで…そうじゃないスか。
菊地 うん。いっぱいあるんですか。
OD いっぱいあるんですね。まずFUJI ROCKがあった後にワンマンがあり、ワンマンの後にはStudio Coast…新木場で、ceroさんの主催で「Traffic」というイベントに出て、そして9月には「夏の魔物」と、アーバンギャルドさん主催の「鬱フェス」というフェスに出ます。
菊地 もう…5本、出まくりですね。
OD ねえ。
菊地 「フェスビッチ」と言われてますね。
OD ほんとです。
菊地 はい。特にFUJI…フジが日曜でしょ。それから3週間、日曜…連続で。
OD そう。毎週。
菊地 日曜。
OD 連続ドラマのように。
菊地 ほんとテレビ番組みたいですね(笑)。
OD そうです(笑)。
菊地 だから「単独ライブのチケットが売り切れちゃったんで残念。」って御便りを…なんだかわかんないけど、どうしてかわかんないけど、この番組にいただくんですよ。
OD ああ〜。
菊地 はい。あんま関係無いですけどね、この番組自体はね。
OD うん。
菊地 なんですが…ま、そんなに気を落とさなくても、いっぱいライブあるってことですね。
OD そう。夏フェスもあるし、その秋冬もなんかいろいろやるじゃないスか。
菊地 もうぶっちゃけ…今だけって、この番組だけ教えていただきたいんですけど、先はどのぐらいまで決まってますか。SPANK HAPPYは。
OD 先は……正直決まってなかったですね(笑)。
菊地 (笑)。
OD 自分の頭の中では、「もう、いっぱいやるんだ!」っていうことが、もう…決まってます。
菊地 なるほど。わかりました。「私は是非とも、テレビの地上波でSPANK HAPPYが観たいです。BOSSにそっくりの菊地成孔さん、そしてタモリさんともなにげに老力士(ロレックス)ですし。」…最近、タモリさんに似てるって言われるんですよね。
OD ほんとですか?…全然似てないですけどね。
菊地 自分でも似てると思います。
OD へえ〜。
菊地 ちなみにですけど、これフライング…あ、絶対言っちゃダメだ。今、危なく言っちゃいけない事を言うとこでした。
OD (笑)。
菊地 はい。「是非とも『ミュージック・ステーション』に出て欲しいじゃないスか!
OD あっ。「ミュージック・ステーション」って…まだやってるんですか?
菊地 (笑)。
OD 私…子どもの頃に、自分…観てたじゃないスか。今も…いっぱいやってるんですよね。
菊地 やってんですね。最後の…ガッツリした音楽番組って言われてますけどね。
OD そうなんスね。うん。
菊地 あの…出たいですか?
OD うん。はい。…出ます。あ、「出ます。」って(笑)。


(「設定限界ボタン」を押して)


菊地 小田さん、落ち着いて(笑)。
小田 「出ます。」って言っちゃった(笑)。
菊地 ま、「出ます。」でもいいんですけど、全然。今…完全にわちゃわちゃしてる状態なんじゃん(笑)。
小田 もうねえ…大変なことになっちゃって。
菊地 大変なことですか、やっぱり。
小田 設定がね。設定が甘い家系なんですよね。
菊地 あ、設定が甘い家系なんですか。
小田 そうなんですよ。私のいとこがね…
菊地 はい。
小田 「カフェ ペロリンガ」っていうカフェをやっていて。
菊地 (笑)。
小田 で、なんか…髪の長いヒッピーみたいな従兄弟なんですけど。
菊地 はいはい。
小田 で、なんか彼が…その「カフェ ペロリンガ」ってのは、ペロリンガ星っていう設定なんですよ。
菊地 ああ〜、そういう設定ね。
小田 そう。で、彼は「のんたす」って名前を名乗ってて。
菊地 結構いってますね。設定家系じゃないですか。
小田 そう(笑)。
菊地 だったら得意じゃないの?
小田 で、それで…テレビに出た事、何回かあるんですよね。「ペロリンガ」…なんか内装が面白くて。
菊地 あ、面白くて。うん。
小田 テレビとかに出るんですけど。すごい設定が甘くて(笑)。
菊地 (笑)。
小田 「のんたす」のお母さんは、私の伯母さんに当たるんですけど、「じゅんたす」っていう…「ジュンコ」さんだからなんですけど。
菊地 (笑)。
小田 「じゅんたす」っていう名前で出ていくんですけど、2人とも設定が甘甘になってて(笑)。
菊地 (笑)。
小田 ただ…カフェの中では、通貨は「ペロタン」っていう通貨を使ってて。
菊地 あ、なるほどなるほど。
小田 円じゃないっていう…。
菊地 円じゃないんですね。
小田 そうそうそう。なんか、いろんな…設定が甘い事をやりがちな家系なので。
菊地 なるほど。
小田 ちょっとツライですね〜。
菊地 だから小田朋美さんも、「ODが…」って事に関して、設定が…細部ゆるいですからね。
小田 そうですね。
菊地 今日は行きのエレベーターの中で、「ODは、パン工場に子どもの頃から潜入して、パンを盗んでいて怒られた。けど、歌ってたら『お前の歌、いい!』って言われて…」
小田 そうそうそう(笑)。
菊地 とかいう話を打ち合わせて来て。さっき打ち合わせて来たんですよね。
小田 3分前ぐらいに打ち合わせて。
菊地 3分前ぐらいに決めた事ですからね(笑)。インスタグラムはね、そのまま後から何とでもなりますからね。
小田 そうですね。編集したりしてね。
菊地 編集したりしてね。はい。じゃあ、小田朋美さんのまま進みますけども。えーと…「ODさんから菊地さんにも話を通してもらえるようにお願いしてください。」…この人のメールも、もう設定おかしくなってますね。
小田 (笑)。
菊地 「菊地さんに話を…」って、菊地さんじゃないですよね。SPANK HAPPYはBOSSですからね。
小田 そうですね。
菊地 あっ、違う。俺がタモさんに話を通してくれってことか。OD 
小田 あー、なるほど。
菊地 なるほどね。
小田 SPANK HAPPYを繋いで欲しいってことですね。
菊地 はい。「『ミュージック・ステーション』で『King & Prince』と『スパンクス』が共演なんてことになったら、考えただけで失神しそうデス!」…「です」がカタカナになってますね。
小田 わー、すごい。嬉しいし…したいですね。
菊地 したいですよね。
小田 うん。
菊地 はい。え〜…じゃあ、まあ…ちょっと戻しますよ。じゃあまた催眠術みたいに3・2・1でODに戻ってもらいますよ。
小田 はい。
菊地 3・2・1…はい、OD!


OD ODじゃないスかぁ!
菊地 (笑)…いいっすね。

「人を喜ばせたくてしょうがない人。」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第372回放送は、ジャニーズの新人グループ「King & Prince」について熱く語る緊急特集。
エンディングのターン以外でオンエアされたのはこの1曲、「King & Prince」のデビュー曲「シンデレラガール」。
その革新性について、歌詞の解説まで交え、語り倒した貴重な回となりました。
(キンプリについてのロングトークの書き起こしは、みやーんさんのサイトでお読みいただけます。)
番組の最後に、市川愛さんが電話で緊急出演された部分を文字起こししてみました。

シンデレラガール(初回限定盤A)(DVD付)

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シンデレラガール(初回限定盤B)(DVD付)

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シンデレラガール(通常盤)

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菊地 あー、興奮した〜。ええ。もうでも、すっかり出し切りました。はい。というわけで、出し切ったところで何が起こるかっていうと、ここで突然ですけど、市川愛さん…我らが「スタジオに来れない」「会えない」(笑)…市川愛さんと電話が繋がっています! あ、もしもし?
市川 もしもーし!
菊地 あ、市川さん?
市川 はい(笑)。
菊地 どもどもども。なんか最近あれじゃないすか。なんかFMでマンスリーDJとかやったりとかして調子いいじゃないですか。
市川 はい。やらせていただいて。今日も大阪で5日間、帯で私が出るやつの…6本収録してきました。
菊地 あっ!素晴らしいですねえ。
市川 パーソナリティーづいてます!
菊地 パーソナリティーづいてますよねえ。
市川 はい。
菊地 だけど、あんなに出来がいいのに、あのPVの再生回数が1万いってないってのは、どういう事なんでしょうね?
市川 それはやっぱりちょっとおかしいですね。
菊地 おかしいでしょ。あれ、いいPVだよね?
市川 そう。やっぱ世の中間違ってますよね!
菊地 (笑)…でっかくきましたね。
市川 ほんと。絶対世の中が間違ってる…
菊地 だって、あれはさ、市川さんが好きとか、俺が監督したとか関係無く、素晴らしいよね。
市川 映像として全然素敵ですし、ストーリーとして素敵ですし。
菊地 うん。
市川 何考えてんのかな?…っていう。
菊地 世の中何考えてんのかな。
市川 っていう(笑)。

菊地 あの…「キンプリ」って知ってますか?…「キンプリ」。
市川 キ…キンプリっていうのは…
菊地 うん。
市川 き…「筋肉プリンセス」
菊地 う…ほぼほぼ合ってますね。それで(笑)。
市川 ほぼほぼ(笑)…「金曜日の…」
菊地 ま、今日は市川さんいらっしゃるまで…いらっしゃるっていうか、電話でいらっしゃるまで、「キンプリ」の特集してたんですけど。ま、それはともかく…
市川 えっ…教えてくんないんですか(笑)。
菊地 ま、あの…ジャニーズのアイドル。
市川 あ〜。
菊地 King & Prince」。
市川 なるほどね。…知らないわ。
菊地 知らな…(笑)。
市川 (笑)…全然知らない。
菊地 一番知らない所に立ってるもんね、市川さんね。
市川 そうですね。
菊地 えーとね、でも筋肉は好きでしょ。
市川 筋肉大好きですね。
菊地 筋肉大好き…だったら、もう全然…平野紫耀くんって名前だけ覚えてください。
市川 わかりました。ヒラノショウ君だけ覚えて…
菊地 後で、この電話終わったら検索してください。
市川 わかりました。
菊地 それはともかく…なぜ、なぜ市川さん、今電話なのでしょうか。
市川 本日、ツアーの初日で大阪にいます。ライブです。
菊地 ツアーの初日で大阪にいらっしゃる。なるほど。
市川 はい。
菊地 で、なぜ大阪からわざわざ番組に電話をかけてきたのでしょうか。
市川 …大事なことが、あるんです。
菊地 はい。
市川 7月の20日、金曜日にですね。
菊地 はい。
市川 我らが「My Love With My Short Hair」のリリースライブがあります!
菊地 はい。おめでとうございます。
市川 ありがとうございます! そして…
菊地 どこでしょう。何処ででしょうか。
市川 渋谷の「duo MUSIC EXCHANGE」というライブハウスなんですけども。
菊地 はい。
市川 超…ホテル街のど真ん中にあるとこですね。
菊地 ま、ホテル街でありながら、クラブ街であるところですよね。
市川 そうですね。だから、なんかジャズ箱ではない所で、東京でライブをするのは初めてなので…
菊地 はい。
市川 何て言うか…どうしても…
菊地 フルハウスにしたいわけですよね。
市川 えっ、えっ?…フルハウスにしたいし…。菊地さん来てくれるんですよね?
菊地 えーと…行きません!
市川 えーっ!
菊地 (笑)…行きますよ。
市川 (笑)。
菊地 要するに、duoはそこそこの中箱じゃないですか。
市川 はい、そうですね。
菊地 これはやっぱり…再デビューのレコ発ライブの…最終日でしょ?
市川 そうなんです。
菊地 これが…渋谷でコケたら痛いじゃないですか。
市川 信じられないことに…まだチケットがあるみたいなんですよ。
菊地 まあ、もっと信じられないことに…まだ前売りが700枚ぐらいしか売れてないっていう噂が(笑)。
市川 そんなに売れてたらいいんですけど(笑)。
菊地 (笑)。
市川 だから…あるって言うから、それも世の中が間違ってるんですけど。
菊地 間違ってますよね。駆け付けますよ、ワタシが。
市川 菊地さんが、やっぱ来てくれるんですね。
菊地 もちろんですよ!…1曲だけですけどね(笑)。
市川 1曲だけ(笑)。…トオイさんと一生懸命アレンジをした、新しい曲を用意してるので、菊地さん…お願いします!
菊地 はい。是非伺います。というわけで、私も出演させていただきますので、もう一度…
市川 菊地成孔さんが出演だーい!
菊地 来たる7月20日。渋谷のduoですね。
市川 はい。
菊地 市川愛さんのライブがあります。私も…なんというんですかね…プロデューサーが菓子折りを持って行くような感じで、1曲参加させていただきます。
市川 ありがとうございます。
菊地 はい。

市川 ちなみに今…林さんも横にいらっしゃるんですけど。
菊地 あ、ペペ・トルメント・アスカラールのピアニストの林さんですね。
市川 はい。
菊地 あの…出なくていいです(笑)
市川 いらない(笑)…そうですか。
菊地 あの天才ピアニストを、要らないよばわり。
市川 そうですね。…要らない正樹さん。
菊地 ダメですよ、そんなこと言ったら(笑)。
市川 (笑)。
菊地 言ったら返ってくるよ、市川さん。いじめになって。またいじめられるよ。
市川 そうですよね。
菊地 だからリスナーの皆さんに是非、来い来い…っていうか、客引きをしてください。
市川 あ…客引きですか。
菊地 はい。
市川 え〜…どうしよう。みなさん!…なんか…何て言うんですかね、もう私のすべてがかかったライブなので…
菊地 (笑)。
市川 何て言うのかなぁ…ほんと死ぬほどフルハウスにしたい!…こんなに死ぬほどフルハウスにしたいと思ってるのは…ない!
菊地 マジで…マジで市川さんのすべてがかかってるもんね、このライブね(笑)。
市川 いや、マジですべてがかかってる。もう…だって、この点数次第ですよ。私のこれからは。
菊地 いや…ままま、まだ先はあるとしてもですね、今んとこ…
市川 いや、無いよ!…33ですよ。
菊地 (笑)。
市川 いやいや、もう無いですよ。絶対無いよ。
菊地 ダメ!そんな…ダメ!そんな暗いこと言ったら(笑)。
市川 「My Love With My Short Hair」出せて、すごい嬉しいですけど。この先は、だから7月20日次第だっていうこと。マジで。
菊地 そうですよ。
市川 …って思っています。
菊地 だから、皆さん…どんどん来なきゃダメですよね。
市川 はい。その為に体脂肪率をですね、最近は3%ほど減らしまして、あと2%…10日で減らすんだわ。
菊地 市川さん、何?…グッドシェイプにして、どうすんの?
市川 (笑)。
菊地 脱ぐの?(笑)。
市川 脱がない(笑)。
菊地 どっか出すの、市川さん。どこも出さないでしょ。
市川 脱がないですけど…
菊地 歌の練習でしょう、普通。
市川 はい。歌の練習もしてます。
菊地 してますよね。はい。歌の練習も頑張ってる市川さんですけどね。
市川 がんばりまーす!
菊地 体脂肪率も落とすということで。
市川 はい。
菊地 とにかく、いいライブにしましょうね。
市川 はい!
菊地 ですので、皆さんのお越しをお待ちしております。
市川 お待ちしています!
菊地 はい。というわけで、市川愛さんでした。ありがとうございました。
市川 ありがとうございました。

菊地 はい。というわけで、市川愛さんのライブにね、皆さん是非お越しください。とにかくね…市川さんだって、救うよ。誰かを。誰かの生きる糧になるはずだよ。市川さん自体は暗いから、そう思ってないけどさ。市川さん…だって、人の役に立ちたい人なんだもん。市川さん、もう…ライブやるより手っ取り早いから、レストランの…ファーストフードで働きたいっつってるんだもん。なんでファーストフードで働きたいかっていうと、ファーストフードで働けば、こう…商品渡した時に必ずありがたそうにしてくれるから、人が喜ぶのを…音楽やるより手っ取り早く感じられるから、もうとにかく喜ばれたい一心で、喫茶店かファーストフードでバイトしようと本気で思ってる人ですからね。人を喜ばせたくて喜ばせたくてしょうがない人ですから。



MY LOVE,WITH MY SHORT HAIR

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