グエムル、再び。

グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST) [DVD]

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グエムル-漢江の怪物-」をもう一度観てみた。今度は吹き替えで(笑)。
2、3年前に一度観て「面白いけど…なんだこりゃ?」という強烈な印象は残っているのだけど、実のところどんな話だったかよく覚えていなかった。
母なる証明」「殺人の追憶」ですっかりポン・ジュノ監督のファンになってしまい、「そーいや、『グエムル』も観てるはずなんだけど、あの時は監督が誰かなんて気にもしてなかったな…」と思い出して、今度は「ポン・ジュノ作品」だと意識して観返してみよう、と思ったのだった。
だが、もう一度観てみても、結局のところ「なんなんだ、この映画は…?」というでっかいクエスチョンマークは解消されることはなかったわ。ほんと、ヘンな映画(笑)。
全体的にコミカルなムードが流れていたとは覚えていたが、日本語吹き替えで観てみると、さらにまぬけ感が増して、「あれ?ここまでふざけた感じだったっけ?」という戸惑いも覚えた。セリフが耳からはっきり入ってきたことで、ストーリーの細かい部分は捉えられたけれども、その分、ちょっとこのニュアンス違うんじゃないか?と気になる箇所も多かった。これ、TV放映で観た人は絶対単なるコメディだと思うよな。
いちおうモンスターパニック映画という体(てい)なんだが、非現実的な事が起こっているわりには、周りの風景はゆるい日常。さらわれた娘を救出する家族が主役の話なのに、みんな大まぬけ。必死になればなるほど、観ている側には何とも言えないおかしみがこみ上げてくる。じゃあ完全に笑わせる映画かというとそうともいえず、本気で泣かせる場面もちょこちょこあったりする。最終的に怪物を倒して、そこにカタルシスがあるかというと、むしろやるせなさが残る。救いのない結末にがっかりしても、じゃあこの映画は駄作かというとそうでもない。好きか嫌いかでいうと、結構好き。
でも、「あのポン・ジュノの!」と思って観ても、決してこれは傑作とはいえないなあ。(「母なる証明」は文句無しに傑作で、個人的には「周囲の人に薦めたい映画第一位」だと思っているのだが。)
やっぱりスローモーションを多用した演出で、ちょっと間延びし過ぎていると感じるせいで、アクションの場面でも緊張感が無さ過ぎるのかも。ま、そういう映画じゃ実はない、と言われればそうなのかもしれないけど。