「ブルーになったことはあるかい?」
日曜夜のメロウな憂鬱をそっと慰める「高橋芳朗HAPPYSAD」。TBSラジオで毎週日曜18時半から放送しているこの番組も、今年の夏あたりから愛聴。洋楽を紹介する番組で、高橋氏の選曲がかなりいいので、オンエアされた曲のCDをチェックしたりもしています。
その番組の中に「グッド・フレンズ」という、ゲストを迎えてトークするコーナーがあり、今週はスペシャルウィークということで、満を持してライムスター・宇多丸氏の登場。高橋氏とは古くからの親友ということで、過去の失恋の思い出を、爆笑の暴露話にして披露しつつ、「クリスマス特集」に合う曲もチョイス。楽しい時間でした。
中でも、自分も大好きなThe Style Councilの曲を紹介していた部分が印象的だったので、文字起こししてみました。
何度も聴いているはずの曲なのに、今までほとんど歌詞を意識して聴いていなかった。宇多丸氏に紹介された歌詞の内容を知ってからこの曲をあらためて聴くと、ほんとにグッときます。
- アーティスト: The Style Council
- 出版社/メーカー: POLYD
- 発売日: 2000/09/18
- メディア: CD
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宇多丸 …で、じゃあ、その97年の冬にね、ま、その精神崩壊した98…を救ってくれたまた別の曲をね。
高橋 (笑)…はい。
宇多丸 多分今、そのイルミネーションを見ながら寂しく歩ってる少年にも響くと思いますんでね。
高橋 ああ、これは響くと思うよ。うん。
川瀬 響く、響く! 響かせよう。
宇多丸 はい。あのですね、これはちょっと先に歌詞の中身をちょっと紹介したいと思うんですけど。
川瀬 お願いいたします。
宇多丸 …あの、スタイル・カウンシル。
高橋 はい。
宇多丸 ね。ご存知ですね、スタイル・カウンシル。
高橋 はい。ポール・ウェラー。
宇多丸 ええ、ポール・ウェラーのグループですよ。で、スタイル・カウンシルが86年の映画「ビギナーズ」という映画に提供した曲で、「Have You Ever Had It Blue」という曲がありまして。
高橋 ほう。
宇多丸 で…ちょうど要するに「ビギナーズ」というのが、すごくこう…ジャズで踊るみたいな…そういうのをすごく押してる曲で、ま、すごくジャズっぽい曲なんです。
川瀬 はい。
宇多丸 で、ビデオでもJazz Defektors (ジャズディフェクターズ)っていう、ものずごいカッコいいダンサーが…。
高橋 ふんふん。
宇多丸 これぜひPVがね、あの…YouなんとかTubeとかで上がってると思いますんで。
高橋・川瀬 (笑)。
宇多丸 あとね、ホーン・アレンジをビル・エヴァンスがやってる。
高橋 ほう!
宇多丸 みたいな、そういう小ネタもあるんですが。
高橋 そうなんだ!
宇多丸 はい。曲自体も非常にカッコいいんですけど…。
高橋・川瀬 はい。
宇多丸 あの…ポール・ウェラーの歌詞って、政治的に過激なメッセージとか…
高橋 そうですよね。
宇多丸 多いですよね。で、これはやっぱりね。「Have You Ever Had It Blue」って、要するにその…「ブルーになったことはあるかい?」っていう、曲なんですよ。
川瀬 ふうん。
宇多丸 で、様々なその…なんていうか、ブルーになるような局面ね。例えばそれこそ、「目が覚めたらまだ外が暗かったことはあるかい?」…とか。
高橋 ああ…。
宇多丸 「新聞が来ないな〜と思ったら、誰かに盗まれていたことはあるかい?」みたいな、そういうことが続くわけですね。
高橋・川瀬 ああ〜…。
宇多丸 でね。3番が、僕ここグッときてしまうんですけどね。はい。これちょっと朗読していいですか、これね。
川瀬 はい。お願いします。
宇多丸 「扉の前を過ぎて行く一日を見つめたことがあるかい?
進路を変える力も無く、足がすくんだことは?
よく知っていたつもりの仲間が、どんどん変わっていってしまったことは?
会いたいと思っていた女性にさえ、無視されたことは?」
高橋・川瀬 はーっ…。
宇多丸 …そしてここが泣けます。「ただひとつの、闘うに値する愛だったのに…」
川瀬 …く〜っ。
高橋 …い〜や〜ぁ。
宇多丸 ……殺す気か?
高橋 (笑)いいですねえ!
宇多丸 「コロス気か?」っていうことですねえ。
川瀬 やばい。
宇多丸 2番の終わりも素敵ですよ。「問題の鍵を握った女に、いつしか心を奪われたことはあるか」
高橋 あららららら。
宇多丸 …グッとくるじゃないですか。…はい、ということでね。
川瀬 ヒューヒュー!
宇多丸 はい、イルミネーションの中ね、歩いている傷心のアナタに贈りたいと思います。え〜スタイル・カウンシルで、「Have You Ever Had It Blue」。
…いやあ、文字起こしも「粋な夜電波」だけで手一杯なのに、「ハッピーサッド」にまで手を出してしまったら…(笑)。対談形式でテキスト化するのが意外に楽しかったので、鼎談ならどうなるかというのを試してみたかっただけです。今回は特別で、ほんとにスタカン大好きなもので。…文字起こししてみてあらためて宇多丸氏のマシンガントークぶりに気がついた。早口過ぎて、例えばこれ「ウィークエンド・シャッフル」をどこか5分間ぶん起こすとなったら…もう無理だ(笑)。