「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」


ヒューマントラストシネマ有楽町に、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」を観に行った。
デレク・シアンフランス監督、ライアン・ゴズリング主演。
傑作「ブルーバレンタイン」のコンビで再び撮られた作品ということで、そのうち観たいとは思っていた。
あまり大きな話題になっていないのか、絶賛の評判を目にしないので、どうなんだろうと躊躇していたが、先週のタマフルの「ムービー・ウォッチメン」のコーナー(未だにこの新タイトルにしっくりこない。「シネマハスラー」のままでよかったのでは?)での評論を聞いて、ようやく観に行く気になった。
どういう作品か、事前に予備知識のないままに観る方がいい作品もあるだろうが、これは大まかなあらすじを掴んでいて観ても問題のない作品だったと思う。
※以下、ネタバレ含みます。
ライムスター宇多丸氏も、細かいネタバレは避けつつも、三部構成になっていて、15年を経て父と子の因果を描いたヒューマンドラマであることを踏まえた解説をされていた。
確かに、なんとなくライアン・ゴズリングがカッコいいクライムアクションなのかと思いこんでいたので、そのつもりで観に行っていたら、後半の展開を退屈に感じてしまっていたかもしれない。
凄腕ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)がバイクの腕を生かして、銀行強盗を繰り返すという、最初のクライムアクション的な第一部を、これが後にどう影響していくのかという、張られた伏線を意識して観ていたことで、後半にすんなり入って行くことができた。
宇多丸氏のいう通り、「ワルだが憎めない男・ルーク」を魅力的に描くことで、その後の彼の不在をめぐる物語に、はかなさや切なさが通底していた。このトーンに乗れるか乗れないかで、作品の好き嫌いが分かれそうだ。
自分は最後まで全然退屈することなく観れた。上映時間が長いとも感じなかった。
抑制の利いた演出で、がっつり感情移入して号泣…という感じでもなかったが、登場人物のそれぞれの心情は理解でき、その苦悩に人生の因果の重さを感じずにはいられなかった。
(第三部の主役を演じたデイン・デハーンという役者さんは、いい目をしてるな〜。もう26歳?少年にしか見えなかった。確かにベニチオ・デル・トロに似ててカッコいい!)
技術的なことはよくわからなかったが、テレク・シアンフランス監督の物語る力の確かさはよくわかった。この監督の作品は次回作も信用して観に行っていいと思う。
ライアン・ゴズリングの出る映画にハズレなしの法則も、いまのところ裏切られていない。「L.A.ギャングストーリー」はあまりいい評判聞かないけど、そういう作品を観ていないだけなのかも(笑)。

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